表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

浮気野郎よりマシデショウ?

作者: 満月氷

駅前の喫茶店を出たばかりの、ある年上彼女と年下彼氏の会話。

「あーもーっ!さっき出てった赤ちゃん可愛すぎる!五歳かな?お腹を『ポンポン』だって、『ポンポン』!あの舌足らずな口で、『ポ』・『ン』・『ポ』・『ン』!!?チューしたい!ぎゅーってだきしめたあいぃー!」



「僕にも言ってください、咲羅さん!いつでもしてあげますから!!」



「年下に言う必要なんてないし、したいともまったく思わない」



「……あの子達僕よりも年下なんですけど」



「あの子は年下じゃなくて幼児だからいいの!私の中で幼児は『年下』カテゴリーじゃなく『愛しい者』カテゴリーに入ってるから、あの子達は一応私の婚約者候補なの!!」



「えっ、じゃ、あ僕はどんなカテゴリーなんですか!?」



「『口にするのも嫌なカテゴリー』。ちなみに翔里くんオンリー」



「えっ。ぼ、僕だけ…!?さ、咲羅さんの中のカテゴリーのひとつを僕は独り占めしてるんですか!?特別!?」



「(うるさいなぁ…)どっかの誰かと勝手にいちゃついてきな、この女たらしの浮気もの」



「ひどいです、咲羅さん!……大切な格好いい彼氏に向かって……!」



「私の目の前でこれから他の女の子にデート申し込みのメールしてる彼氏の、どこが浮気じゃないの?」



「で、でも咲羅さんだってさっき僕の目の前で他の幼児を誉めて…」



「あれ、女の子。まあ、私は幼児なら男女関係なく大好きだけどね」



「でも僕以外の誰かに好意を持つなんてそんなの浮気に変わりはありません!!浮気ですよ、咲羅さん!」



「……じゃあいっそのこと別れる?」



「っ!?」



「その方が私も何も気にせずに幼児観察を堪能できるし、翔里くんはもっと色んな女の子を堪能できるし、その方が…」



「咲羅さんは、そんなあっさり別れられるほど、俺が好きじゃないんですか……?」



「ん、いや、別にそういうわけじゃないけどね。翔里くんのことは好きよ?ただあまりに浮気されるとこっちも冷めるというか諦めるというか」



「無理です」



「は………?何が」



「咲羅さんは、僕と別れられませんよ。えぇ。……たとえ咲羅さんが幼児好きでも、おっさん好きでも、同姓好きでもかまいません。でも、………だからといって僕と別れることは絶対に出来ません。そんなことになるなら、誰であろうと消去してみせます。咲羅さんはこれから先ずっと、僕の彼女でありカップルであり恋人であり運命の人でありお嫁さんであり妻であり奥さんであり女房であるんですから、……別れるなんて不可能で、アイタッ!」



「誰がおっさん好きよ!失礼にも程がある!取り消せ!!」



「イ、タッ!そ、そこ?ですか?さ、咲羅さん、やめ……あ、でもちょっぴり嬉しい、かも…」



「こ、の変態!!」



「変態……。咲羅さんと、お揃い!?もっと、叩いて咲羅さん!!変態になってみせますから」



「私は変態じゃなくてただ子どもが大好きなだけよっ!」



「好き、好きです、咲羅さん!大好きです!!愛してます咲羅さあぁん!!」



「来んな、変態浮気野郎ォ!!」



「人目も気にせずに叩くなんて、そんなにも僕のことを!?あ、ああぁ…!こんなこんな気持ちにさせてくれるのはあなただけでなんです!咲羅さあぁ………………ちっ、電話、だと?うるさいなぁ……。今咲羅さんから愛を注入してもらってる最中なのに」



「でろ。どうせさっきの返事に決まってる。誘ったからにはデートしてこい。そして私の目の前に現れるな」



「で、でも、そんなことしてる間に現在興奮中の咲羅さんが見知らぬ他の人を蹴るかも……。そこでもし両思いになんてなったりしたら僕、相手に襲いかからない自信がありませんっ……!!」



「誰がそんなことするか、変態じゃあるまいし!私が蹴るのは翔里くんだけよ!」



「(あ……じゃ、あ、やっぱり僕はあなたにとっての『特別』カテゴリーなんですね、咲羅さぁん!!)」



「そんなことより早く行きなさい。相手の子が可哀想でしょ。私は家に帰って録画した『初めてのおつかい〜兄弟、姉妹、のドキドキわくわく、笑いのおつかいパラダイス三時間スペシャル〜』をもう一度見てるんだから」



「わかりましたっ!!大丈夫ですよ、咲羅さん!たとえどんな女が群がろうとせがんでこようと取り入ろうとしてこようが、僕の真実の愛の受け取り先は咲羅さんだけですから!!」



「そんなのわかってるから。……早くいけっ」



「わかっ…!さ、咲羅さぁん…!!」



「さっさと行かないと別れる」



「バスが来たので行ってきますっ!!……あっ、浮気しちゃダメですよ!!?」



「あんたは今から浮気しに行くんじゃない」










「あれ?そういえば別れ話してたんじゃなかったっけ?…………まあ、いっか。いつものことだし」



「咲羅さあああぁぁぁぁん……!夜には幼児だけでなく僕のことおぉ……(遠ざかって行くやつの声。近所迷惑すぎる)」



「(無視)……翔里くんの大好きなオムライスの材料、買って帰るかな」




冷たいけどなんだかんだで彼が好きな咲羅さん。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 二人が別れた後の話を読みたいです。できれば修復不可で。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ