表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第1回 男の娘を起こそう!

この連載小説は未完結のまま約1年以上の間、更新されていません。

今後、次話投稿されない可能性が高いです














ざ ん ね ん だ っ た な !




てわけでプロローグが投稿されて15カ月、やっと第1話が投稿できました。

なかなか執筆できない環境ですけど、今後ともお付き合いいただければ幸いでございます。

 俺の朝は早い。

 怪人、いいや、戦士たるもの、いつまでも布団の中で丸まって惰眠を貪り続けるわけにはいかない。そんなことは愚か者のすることだ。


「くぅ~っ……。あ~、よく寝たっ!」


 朝の6時。布団から出た俺は寝間着姿のまま両腕を天井に伸ばし、手をグーにしながら体全体で伸びをする。

 昨日は張り切り過ぎたもんな~。さすがにまだちょっとばかり疲れが残ってるみたいだな。


 でもまぁ! そんな疲れも朝日の気持ちいい光を浴びちまえば、全部吹っ飛ぶってもんだ!

 俺は部屋の窓にまで歩みを進めると、そのカーテンを勢いよく開けてやった!


「おぉ~っ……きんもちいい~っ♪ へへっ、朝日が眩しいぜ『こらぁっ、誠! あんたいつまで寝とるの! もう7時半よっ!』




 ……っていう夢を見たのさ。

 って7時半だとっ!? やっべ! 始業式早々遅刻の危機じゃねぇか!










 第1回 男の娘を起こそう!










「はぁ~あ……ほんと馬鹿じゃねぇの? 遂にボケたか、あのばばぁ」


 母ちゃんへの悪態を吐きながら、俺は高校への通学の関係で絶賛居候中の従兄弟が眠る寝室へと向かう。従兄弟を起こすためだ。


 つうか俺だって寝坊して急がなきゃいけないって時に、なんだって俺があいつを起こさなきゃいけないんだよ?

 つうかそもそもなんでもっと早く起こさねぇんだよ? 俺を含めて。


「お~い、入るぞ~?」


 部屋の扉をノックした後、俺は従兄弟の返事も聴かずにとっとと扉を開けて部屋に入る。

 ま、どうせまだ寝てるだろうから返事なんて返ってくるわけもないんだけどな。ほうら、案の定、気持ちよさそうに寝てやがる。


 ほどよくブルーベリージャムの塗られたトーストを齧りながら、俺は従兄弟の眠っているベッドまで歩み寄り、なんとな~く従兄弟の寝顔を眺めてやる。




「……すぅ……すぅ……」




 この野郎……ほんと気持ちよさそうに寝てやがるなぁ~。男のくせに可愛い寝顔しやがって。


 ていうか、こいつ……本当に男だよな?


 いや、一応この世に生を受けてから16年、こいつとは親戚にしては割とよく遊んでいた方だから、こいつが男であるということは事実として知っているわけなんだけども……。


 でもなぁ……。耳を覆い隠すくらい長くて、濃いチョコレート色をした、さらっさらの茶髪。

 キューティクルの潤いもたっぷりで、髪全体が艶々と輝いているようにも見える。

 おまけに俺とは使ってるシャンプーが違うのか、フルーツ系の甘い香りまで仄かに漂わせてるみたいだぜ……。


 そんな魅惑的な髪の持ち主が、さらにほんのりピンク色の程よい厚みを持った形の良い唇と通った鼻筋、そして"ぱちっ"と大きく見開かれながらも穏やかで優しげな光を放つ、まるでどっかの愛玩動物みたいにくりくりと可愛い目をした、超絶プリティーフェイスの持ち主でもあったら、あんたら、どう思うよ?


 パジャマ姿の無防備な美少女……にしか見えない男。俺が今から起こそうとしてるのは、まぁ、そういう奴ってこった。


 ……はぁ?

 いやぁ、ないない。それはない。いくら見た目が女だからって、なんで俺がこいつに欲情しなきゃいけねえんだよ?


 だって男だぜ? おまけにこいつ、従兄弟だよ? 遠縁だけど、身内なんだぜ?

 従兄弟相手に恋慕の感情を抱くほど、俺は落ちぶれちゃいない。それくらいは割り切ってるって。


 ……はぁぁ!? 羨ましい!? 「今、世の中は空前の男の娘ブームなのになんてもったいない! 田中、今すぐ俺と代われ」ってお前ら馬っ鹿じゃねえの!?


 世の中終わってんな~。なら、とっととモロッコにでも行ってチン○切ってこいよ、お前ら。話はそっからだ。嫌なら合コン行け。


 っと、こんなしょうもないことほざいてる場合じゃなかったな。一刻も早くこいつを起こしてやらないと始業式早々、遅刻するはめになる。それだけは避けないと。


 よっしゃ、軽く揺さぶってやるか。俺はトーストを持ってない左手で、気持ちよさそうに眠る従兄弟の体を揺すってやった。




「んっ……んんっ……んふふっ……」




 いや、何故笑う? つうか起きろや。こら。(ゆっさゆっさ)




「むぅ……あとご@※%¥……」




 なんて!? わかんねぇよ!

 てかマジで起きねえのかよ、こいつ!?


 ん~……。なら部屋のカーテンでも開けてやっかな~、ってわけで即実行。部屋中が朝日の健やかな光に包まれ、一気に明るくなる。




「んっ……まびゅぃ……」




 窓から差し込む光の眩しさに、従兄弟は不快そうに目をぎゅっと瞑りながら体をもぞもぞさせる。

 どうやら多少なりとも効果はあるみたいだな。まだ起きねえけど。


 よっしゃ、もっかい揺すったろ。(ゆっさゆっさ)




「んふっ、んふふふっ……みいちゃん、まってぇ……」




 げっ! こいつ、腕掴んできやがった! てか、みいちゃんって誰だよ!?

 えぇ~い、その手を離せぇ―っ!!(バッ!)




「……はぇ? どう……ひて……? みいちゃん、怒ってりゅ……?」




 そら怒るだろ! だいたい俺、みいちゃんじゃねぇしっ!


 あ~……なんか腹立ってきた。

 腕振りほどいただけでなんなんだよ、この胸の奥から湧き上がってくる罪悪感は!

 この野郎、さっさと起きやがれ!(ギューギュー)




「い……いひゃいいひゃい! ほ……ほへんなひゃい! ほへんなひゃい!」




 ようし、わかりゃいいんだよ、わかりゃあ……じゃねぇ!

 まぁでも、思いっきりほっぺたつねってやったしな! もういい加減起きただろ!


 ったく……ここまでしないと起きないって寝つきが良いにも程があるだろ、こいつ……。




「……すぅ」




 って起きねぇのかよ!!




「起きろてめぇこの野郎! おまえのせいで俺まで遅刻の危機なんだよ! いつまで"イン・ザ・ドリーム"してる気だてめぇはよぉー! オーーーキーーーローーーヨーーー!!」


「うっ! うぅっ! やめて! みいちゃん、やめてよぉぉ……! うっ……ううぅ……ぐすっ……すぅ……」




 はぁ……はぁ……はぁ~…………疲れた。

 ダメだこいつ、全然起きねぇ……。めちゃくちゃ乱暴に揺すってやってんのに……。


 俺はぜいぜいと息を切らしながら、両手を突いて床につっ伏していた。畜生、朝からすっげぇ無駄な体力使っちまった……。


 あ~…………ヤバい。


 疲れてるせいなのか、寝ながら泣いてるこいつの姿が……だんだん可愛く見えてきた……。


 くっそぉ……。こうなること分かってたからさっさと起こしたかったのに……。


「いや、確かにこいつが男なのは俺だって知ってるよ? けど、このルックスだぜ? そら嫌でも意識させられるっての」




「……んっ……」




「どう見ても女にしか見えない顔立ちしてるし、童顔だし、おまけに肌も綺麗で身長なんて小数点単位で四捨五入してようやく160cmだし……」




「んっ……ん~?」




「さらっさらの綺麗な髪してるし、そもそも髪型がギリギリ肩にかかるかかからないかくらいのショートボブでこれまた女みたいだし、すっげぇ良い匂いするし、おまけに本当に声変わりしたのかと疑いたくなるくらい女声のままだし……。たぶんソプラノで歌えるだろうな、こいつ」




「……まこっちゃん?」




「いや……落ち着け……落ち着くんだ、俺! そうだよ……どれだけ見た目と声が完璧に女でも、こいつはれっきとした男じゃねえか! 思い出せ、俺……うざいくらい『女かよ! 女かよ!』を連呼した挙句、遂にキレられてこいつに本気の一本背負いを喰らった、まさにいろんな意味で痛い想いをさせられた、あの1日を……!」




「お~い。まこっちゃ~ん。……もしも~し?」




「そうだ! あの痛みを思い出せば、こいつがれっきとした男だってことは、日の目を見るより明らかじゃねぇかよ! 頑張れ……立ち上がるんだ、俺! こいつの……」




「…………」












平沢ひらさわあいの男らしさは、俺が一番よく知ってんだろ!?」













「……って(名前)女かよ!!「うるさいっ!!」


 愛が眠る方向へ振り向きながらツッコミを入れた瞬間、何かモコモコしてて柔らかいものが俺の顔面にクリーンヒットした。さっきまで愛が使っていた枕だ。


 幸い、枕だからそんなに痛くはない……と思いきや眼鏡をしてるせいか、眼鏡を鼻で支える部分が微妙に鼻に食い込んで地味に痛かった。


 微かにズレた白いプラスチックフレームの眼鏡の位置を直していると、愛の奴がベッドから体を起こして、怒った顔で俺のことを睨みつけていた。


「もうっ! 何さっきから大きな声で、ぶつぶつぶつぶつ独り言呟いてんのさ!? しかも人の部屋に来てまで……おかげで目、完全に覚めちゃったじゃんか!」


 声変わりをしたとは到底思えない、まるで女の子のような……いや、むしろ下手な女よりも甲高くて可愛らしい怒鳴り声が部屋中に響き渡る。


「ああ、そりゃ悪かった……って違う違う! そもそも俺、お前のこと起こしに来たんじゃねえか! つうかやっと起きたかこの寝坊助ねぼすけ野郎!」


「えっ?」


 そうだよ! よくよく考えなくても、俺ちっとも悪くねぇじゃん!


「……言われてみれば、確かに外が明る過ぎるような……」


 カーテンの空いてる窓を眺める愛の顔に、次第に不安の色が色濃く出始めてきた。


「……今、何時?」


 恐る恐る、俺に時間を尋ねる愛。


 ……あれ? そういや今、何分だ? 愛に気を取られていたせいで、俺もすっかり時間を確認していなかったことに気付かされた。


 早速、愛は枕元に置かれている、頭に二つのゴングを乗っけた、いかにもな形をしている目覚まし時計を手に取る。俺も横からそれを覗き込みながら、


「7時55分か……」


 時計の針が示す時間をぽつりと呟いた…………












「「遅刻だぁーーーっ!!」」


 ほんっと時間って容赦ねぇな! チックショオーーーッ!!

男の娘な従兄弟君、初登場。

しかし、こいつ可愛いって言うか……図太い?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ