長い一日の終わりに 前編
この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。
歴史・宗教・政治・野球は書くのが怖い分野です。今回の話はあくまで主人公・香坂鉄兵の知識に基づく話であり、作者の歴史観・宗教観・政治観に基づく話ではありません。
Special Thanks:
ふぃふさん pochiさん 合言葉はBEEさん
「貴族院と庶民院……ねぇ」
時は夜半、場所は王宮の王族談話室。その言葉を発したのはシリウス王であった。
貴族院と庶民院とはイギリスの両院制度の事である。日本人ですらあまり馴染みの無い言葉をなんでシリウス王が口にしたのかと言えば、それは無論、鉄兵がその話題を振ったからである。
さて、今現在、鉄兵の身に何が起こり、そんな状況になっているのかといえば、簡単に言ってしまえばシリウス王の晩酌に鉄兵が付き合わされているだけなのだが、今までの間に何が起きたのか軽く話しておこう。
日が暮れて夜が来て、シロの宿泊先に寄った鉄兵は一階にある酒場でシロと一緒に本当に他愛の無い話をしながら軽く一杯引っ掛けていたのだが、ここで鉄兵は一つ忘れていた事があった。
ルナスやイズムの態度からすっかり忘れていたのだが、一般人から見て鉄兵は噂の種にされるような話題の人物である。朝はルナスがいたために遠巻きにされ、夕方は夕日に紛れて気がつかれなかったが、それなりの明るい酒場では顔は隠れず、竜人が相方だとしてもそれは人が近づくのを止めるような効果は無い。唯でさえ目立つシロと一緒にいた鉄兵は、当然の如く噂の英雄だとバレて酒場のおっちゃん共に囲まれた。
興味津々のおっちゃん達に包囲された鉄兵は質問攻めにされてたじろいだが、そこで気を利かせたのはシロである。なにをしたかといえば、ギター片手に例の英雄譚を歌い始めたのだ。
シロの詩は鉄兵達より先に王都へ訪れた吟遊詩人達の手により広められていたため、今ではそう珍しいものでもない。だが、詩も噂も似たようなもので、シロから詩を受け取った吟遊詩人達は、観衆が喜び盛り上がるように詩を好き勝手にアレンジしていた。
故に、王都で歌われている英雄・テツにまつわる英雄譚はどれ一つとして同じものがなかったりする。唯一共通するのは魔獣と山賊と戦ったというこの二点だけだが、中にはリルが三面六臂の大猿であったり、アルテナが率いていた盗賊の人数が千人だったりと、かなりトンデモな内容になっていたりもした。
それはそれで「俺はこの話が好きだ」とか「いくらなんでもこれは嘘だろ」とか話の種として重宝されているのだが、しかしそんな状態だからこそ『どれが本当の話なのか』という疑問は鉄兵の英雄譚を聞いた全ての人にとって非常に関心の高い疑問であった。
そこに現われたのがシロである。
同じ席に座っていた事から鉄兵とシロが知人である事は一目瞭然であり、鉄兵の仲間の内に白竜の竜人がいる事は誰もが知るところであった。
そして竜人は、例え詩であろうが決して嘘を口にしない。
本当にリアルな話が聞けるのだと悟ったおっちゃん達ははっと息を呑み、シロの詩に耳を傾ける。そしてその詩を聞いた観衆は即座にシロの歌声に魅了された。
夜の街で一番騒がしいはずの酒場が驚くほどに静まり返り、ただシロの歌声だけが響く。
弾かれた弦が余韻を残し、リルとの戦いを歌った詩が終わる。
途端、大歓声が湧き上がった。
後は、いつぞやの光景と同じであった。未だシロの詩を聞くたびに恥ずかしさに身が悶えそうに成るが、シロが時間を稼いでくれたおかげで心の余裕が持てた。
とはいえ、心に余裕があったからといって、鉄兵は熱狂的に話しかけてくる人々を適当にあしらえるほど器用でも大人でもないのだが。
結果として鉄兵は次々に勧められる杯を断りきれず、最後にはすっかり出来上がってしまった鉄兵は、シロの歌声に合わせておっちゃん達と肩を組んでの大合唱をしたりしてしまった。
ちなみにこの一件により噂の英雄が本当に庶民派なのだという噂が広がり、人気がうなぎ登りに上ったりしたのはこれより後の話である。
そんな風に若干ハメを外しつつも酔いどれで気分良く王城に戻り、与えられたベッドにダイブした鉄兵を待っていたのは、晩酌に付き合えと言うシリウス王からの伝言であった。ちなみにそれは、そのまま気分良く寝てしまえばいいものの、ホーリィに戸を叩かれて持ち前の生真面目さで対応してしまった結果である。
そして失礼が無いように魔法で酔いを醒ましてからシリウス王の下へ向かった鉄兵は、そこで一人の人物と出会う事になった。
シリウス王の晩酌の席で鉄兵が出会った人物。それは、王子様であった。
シリウス王との晩酌の席にはアリスとシリウス王、そしてもう一人、見覚えの無い人物が待っていた。とはいえ、見覚えが無いとは言っても、それが誰なのかはすぐに分かったが。なぜならその人物は、アリスやシリウス王と良く似た風貌をしていたからである。
シリウス王には三人の王子がいて、そのうちの二人、ヒューバートとガブルエルにはすでに会っている。ならば、目の前の人物がまだ会っていない第一王子なのだろうと言う事はすぐに察せられる事だった。
「おう、来たか鉄兵。遅くにすまんが俺の息子を紹介しておこうと思ってな。息子のヘリオスだ」
「君が鉄兵君か。はじめまして」
シリウス王に紹介され、ヘリオスは立ち上がってにこやかに微笑み、歓迎の意を示した。
「はじめまして。鉄兵です」
その笑顔につられて、鉄兵もにこやかに返事を返した。いや、自分でも不思議だが、笑顔に釣られたというか、鉄兵は初対面だというのにひどくヘリオスに惹かれるものを感じて、心の底からの笑顔を見せた。なんと言うか、言うならば長兄の貫禄というものだろうか。ヘリオスからはそのような気配が立ち込めていて、鉄兵にはそれが心地良いものだったのだ。
それは言葉にするなら他者の上に立ち、支え、治め、それでいて優しく包み込むような気配。シリウス王が持つ王者の風格に似つつも、それでいて柔らかく優しいものと言ったところだろうか。末っ子である鉄兵にとって、その気配は本能的に懐き、甘えたくなってしまうものだった。
王の子と書いて王子だが、そこにはいずれ王になる資格を持っているという意味もあるだろう。その言葉の意味を考えるに、彼はまさしく王子様というに相応しい存在だと鉄兵には思えた。
ルナスが月の公子ならば、ヘリオスは太陽の王子だろう。
光玉が照らす淡い光の中でも黄金色に輝く髪はプロミネンスの輝きを思わせ、燃え上がるような意思を宿したその瞳の色はまさに太陽の赤であった。
体格こそやや細めに思えるが、それは微塵も頼りなさを覚えさせるものではない。鉄兵の一つ年上というだけなのに、ヘリオスは他の王子とは比べ物にならないほどの父親譲りの後光とも呼べる貫禄と、まだまだ成長の途中と思わせる青く若々しいものを同時に持ち合わせていた。
「話は聞いてるよ。昼にすれ違ったようだけど、会うのは初めてだね」
「あの時は失礼しました……」
お互いに姿を確認してはいないが、二人はルナスに連れられ町に出る際に、城門の前でニアミスをしている。言われるままにルナスに連れられ町に出たが、今思えばこそこそ逃げ出したかのようで失礼な事に思えて少し恥ずかしくなった。
「いや、あの時は僕も殺気立っていたからね。恐らくあの場で会っていたら、何がしかのしこりが残ったと思う。アリスの判断は正しかったと思うよ」
「なら、良かったです」
ヘリオスの言葉にほっと胸を撫で下ろす。実のところ未だ会った事の無かった最後の王族がどんな人物か心配していたのだが、話しやすい人物でほっとした。
「さて、挨拶が済んだなら飲むぞ! 鉄兵、こっちに来い」
そう言ってお誕生日席に座るシリウス王が右手で一人掛けのソファーの肘掛けを叩いた。その仕草に、二人掛けのソファーに座っていたアリスが席をずらし、シリウス王の隣りを空ける。
「よく来たな」
「お姫様の仰せとあらば」
言われるままに席に着いた鉄兵に、小声でアリスが話しかけてきた。軽いジョークで返した鉄兵の言葉に互いに笑いあった。アリスに呼ばれて来たわけではないが、そこはどうでも良い事である。
さて、長くなったがようやく冒頭の話に差し掛かる。
そんな感じではじまった晩酌会は、最初は他愛も無い話ばかりが続いたのだが、やがて話題は鉄兵の元の世界の話となった。というか、元よりシリウス王にはその思惑があったのだろう。
「鉄兵の国はどんな国なんだ?」
その話題の口火を切ったのはシリウス王のそんな言葉だった。
「平和な良い国でしたよ。強いて言えば、娯楽が多い国ですね」
この世界と元の世界。色々と生活に差はあるが、何よりも一番目立つ違いは娯楽だろう。
機械文明が発展していないこの世界の娯楽と言えば、飲むか歌うか話をするかとそんなところである。調べればなにやら退廃的な娯楽も出てくるかもしれないが、ここでは軽くスルーする。
ラジオが生まれて二百年。映画でさえも百年ちょい前に生まれたものであり、そう考えればつい最近まで元の世界もこの世界と似たようなものだったのだろうが、しかしそれはそれでこれはこれ。この世界の娯楽も楽しいものであるが、現代っ子である鉄兵には少しばかり物足りないと感じるのは事実であった。
数千の曲を掌サイズの機械に収納して楽しみ、携帯端末で世界から発信された情報を収集する。現実とさして変わらない出来栄えの演劇を見物し、絵師や作家が技術の粋を収束した作品を毎週のごとく数百万部という単位で大量印刷して購読する。
まだこの世界に来て二ヶ月も経っていないが、ややホームシック的なものを感じつつ鉄兵が懐かしむように語って聞かせた話は、しかし少しばかりこの国の王族にとっては刺激が強すぎる内容であった。
「……そこまで国を富ませるとはな。鉄兵の国の王様は大した奴なんだろうな」
シリウス王にヘリオスとアリス。個人的な晩酌として開かれたこの場には給仕すらおらず、王族のみの三人であったために驚きを漏らす者はいなかったが、なんとかその言葉を口にしたシリウス王の口元は若干引きつっていた。
シリウス王達王族の動揺に元の世界を懐かしむ鉄兵は気が付かなかった。それどころか、若干酒が入って思考能力が落ちていた鉄兵は元の世界が王様によって統治されていると勘違いをされているのを聞いて、認識の違いにきょとんとしてしまった。
「王様……はいますけど、うちの国じゃ王様は政治に関わってませんよ?」
その言葉を聞いて、今度はシリウス王がきょとんとした表情を見せる番だった。
「それじゃ、鉄兵の国は宰相にでも政治の全権を握られてるのか?」
宰相と聞いてこれまた鉄兵はきょとんとなった。聞き慣れない言葉に少しばかり混乱したが、内閣総理大臣は宰相とも言われていたはずだと思い出す。
「似たようなものですけど、少し違います。うちの国じゃ国民から政治をする人を決めて、一番多い派閥から選ばれた人が総理大臣……まあ宰相みたいなものになって政治を担当するんです」
宰相とは君主から任命されて国政を補佐する者のことであり、内閣総理大臣は天皇(日本の君主)から任命されて内閣(国の行政を担当する最高の合議機関(話し合いで意思を決定する集まり))の総てを取りまとめて管理する大臣の事である。少し違う存在であるが、意味合いとしては似たようなものだろう。
「ただ、国民から選ばれた政治家による多数決で大事な事は決めるんで、単純に宰相が政治の全権を握っているわけじゃないですよ」
「待て待て、ちょっと整理する……」
さらさらと自分の知っている知識を喋っていた鉄兵だったが、そこでシリウス王に待ったをかけられた。少し専門用語が多かっただろうか?
「つまり、鉄兵の国じゃ、国民が政治の全権を握っているって事か?」
その言葉に、鉄兵はそういう事かと納得しつつ、こくりと頷いた。仮にも政治権力の最高権利者であるシリウス王が戸惑ったわけは専門用語のためではなく、シリウス王が知る現実と元の世界の現実があまりにも違いすぎたためのようだ。
「嘘だろ?」
「本当です」
マジマジと迫ってきたシリウス王に、鉄兵は少しばかり引き気味に言葉を返した。
なぜこれほどまでに驚かれるのか分からないかもしれないが、割とこの世界にも慣れてきた鉄兵にはシリウス王の心境がなんとなく分かった。
民主主義の世の中で育ってきた人には分からない感覚であるが、封建制(王様と領主などがゆるい主従関係を結んでいる形態)から絶対王政に移行しつつあるこの国では、国民が主権を握るというのは天地がひっくり返るも同然の考えなのだろう。
商業が未発展であり、未だ戦乱が身近にあるこの世の中、臣民は国王の統治の下でようやく人間らしい生活ができる環境である。そんな臣民が国を左右し、国王が政治に関わらない世界とは、この国に住む人々にとってまさに驚天動地の考えなのだという事は想像するに易い事であった。どこの馬の骨かもしれない鉄兵を高く評価して迎え入れた豪胆で思慮深いシリウス王でさえこの有様なのだ。ヘリオスやアリスでさえ、シリウス王の言葉に鉄兵の言葉の意味を理解したのが精々の様子であり、恐らく他の者に話したところで反応は推して知るべしだろう。
鉄兵の話にシリウス王は明らかに衝撃を受けたようであった。が、しかしそこは流石アリスの父親でありこの国の支配者であるシリウス王である。
「おう鉄兵。そいつについて詳しく話してくれないか」
何かピンと来るものがあったらしく、シリウス王は即座に気持ちを切り替えて鉄兵の国の政治について食いついてきた。
工業大学では歴史や政治などの文系に属する分野の授業は教養課程であり、ある程度の単位を取ればそれで事足りるものである。その代わりなのかは知らないが、鉄兵の所属している学校では教養課程を教える教師は割と自由奔放であり、趣味に合わねば気合を入れても睡魔の虜になってしまうが、趣味に合えばやたらと面白い授業が聞けた。
なので専門ではないものの、そこそこ知識がある鉄兵は、覚えている限りの政治体系について話し始めた。
「えっと、うちの国では多数決で総て決まるんです。衆院と参院という二つの話し合いの集団がありまして……」
とそんな感じに最初は日本の両院制である衆議院と参議院について話したのだが、これは鉄兵の知識が浅く、またこの国に馴染みの無い制度なので理解してもらえるまでの基準には残念ながら至らなかった。その大体の原因は、参議院の存在意義である。
「なるほどな。それぞれ性質の違う二つの機関によって議題が検討され、国の指針が決められるって訳か」
というのが鉄兵の説明を聞いたシリウス王の反応だが、残念ながらそれは鉄兵の知っている政治の現実とは違った。
「多分そういう狙いなんでしょうけど、うちの国では衆院も参院も大体同じ思想の集団が大多数を占めてますからそんな事無いですよ」
「じゃあ、鉄兵の国はなんで二つの院があるんだ?」
そんな事を素で問われ、鉄兵は言葉に詰まってしまったのだ。
多分、何がしかその疑問に答えられる回答はあるのだろう。だが、残念ながら鉄兵はこの疑問に答える知識を持っていなかった。
「そうですね……大体において衆議院が国の方針を決定するんですけど、参議院は衆議院を監督する有識者の集まりという面があるんです。分かりやすく言えば……貴族と庶民かな?」
ならばと、鉄兵はアプローチの方法を変えて、この国の特徴である権威を持つ貴族がいるという国の制度として、イギリスの貴族院と庶民院の例を上げる事にした。
「うちの国の制度を作る時に参考になった制度があるんですけど、それは貴族院と庶民院の両院制です。文字通り、貴族院は貴族を主としたもので、庶民院は庶民を主としたものです」
とそんな感じに始まった鉄兵の話だが、簡単に何を言ったかとまとめれば、要するに産業革命やら植民地支配で市民が富んで権利が強くなり、今では貴族院に対して庶民院が優越した立場にある事。そして貴族院は貴族として得た知識と教養から庶民院の法案を精査していると言う事である。
「貴族院と庶民院……ねぇ」
と、ここまで話したところでシリウス王から得た反応が、この話の冒頭にも出てきたこの言葉である。
「つまり、鉄兵に働いてもらうと、俺達みたいな王族や貴族は力を落とすって事か」
「……そうですね。極論を言うとそうなります」
シリウス王の飾り気の無いストレートな言葉に鉄兵はヒヤッとした。余り深く考えてなかった鉄兵は、自分の語っていた話の内容を客観的に聞かされて、まずい事を言ってしまったと自覚する。
「いや、気にするな。それより、鉄兵の国はそんな状況でも王族が残ってるんだろ? どうしてだ?」
慌ててフォローを入れようとした鉄兵だったが、シリウス王に機先を制せられてしまった。シリウス王の様子を見れば、既に関心は次の話題に移っているようである。それもかなり興味津々な様子で。
そんなシリウス王の様子を見た鉄兵は、下手に誤魔化すより今まで通り自分の知っている事を話す事にした。シリウス王に問われた天皇制について考え、まとめた内容を話し始める。
「そうですね……一番の理由は、絶対的な権力を持っていないからだと思います」
鉄兵が考えるに、なぜ天皇家が残っているかと言えば、先程も言ったように絶対的な権力を持っていなかった事だろう。
無論最初は絶対的な君主であり、長く権力の座に座り続けていたが、平氏の台頭と共に影が薄くなり、南北朝時代に若干取り戻したがその後は権威はあれど力は無く、権力者の座に復権したのは幕末である。それにしても傀儡と言う感が強く、海外との戦争の際には現人神に祭り上げられたりもしたが、実質的な権力は無く、源平の当時から今に至るまで、あくまで象徴であるというのが特徴だろう。
鉄兵の認識としてはそんなものだが、だからといって天皇を軽んじているかと言えばそれは違う。身近な存在ではないから普段は意識しないが、昔からテレビで高貴に手を振る天皇皇后両陛下の姿を見て育った鉄兵としては、もし天皇を前にしたら、よくテレビに映っている爺ちゃん婆ちゃんと同じようにありがたやと手を合わせてしまう自信があった。
「……なるほどな」
鉄兵の話を聞き終えたシリウス王が考え込むように目を遠くして機械的に頷く。
「……鉄兵、俺はおまえが『この先』を作れる奴なんじゃないかと思ってたんだが、おまえは『この先』の世界から来た奴だったんだな」
質問の果てにシリウス王が呟いたのはそんな言葉だった。
その言葉に鉄兵はなんと答えて言いか分からなくて口を噤む。
それは無論、単純にその問いに答える事ができなかったと言う意味もある。
だが、それ以上にそう言ったシリウス王は酷く寂しそうで、鉄兵にはどんな言葉もかける事ができなかったのだった。
第一王子の名前は自前で決めさせていただきました。
ヘリオスの名前はギリシャ神話の太陽神の名前から。多分アポロン、ヒュペリオンと続いて三代目太陽神といった神様だと思います。あまり調べてません。
→アポロンは予言や音楽の神で、ヘリオスは二代目太陽神のようです。
2012/01/31:指摘いただいた誤字修正
象徴であ[つ]というのが
→象徴であ[る]というのが
2012/7/17:指摘いただいた誤字・表現修正
シリウス王達王族の[同様]に
→シリウス王達王族の[動揺]に
鉄兵の国の王[様]は大した奴なんだろうな
→鉄兵の国の王[]は大した奴なんだろうな