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責任者の憂鬱・その4

 一夜明けて次の日の朝。


 鉄兵は馬車置き場へと来ていた。というか正確には馬車置き場の近くの野原に寝転がってぐったりとしていた。


 昨夜の食事の席では早くもアルテナ達が火をつけた家の再建は終了したと聞いていた。なので今日はもう王都へ向けて出発するのかと思っていたのだが、今日の朝に聞いたところではまだまだ懲罰が足りないとの事で、もう四五日ほど山賊達は無料奉仕をする事になったらしい。


 当然それを監督するアリス達もここに残る事になり、アリスの一行である自分達も同じ日数だけこの町に拘留される事になる。ならば暇になる事だし、前々から馬車のシートをもうちょい座り心地の良いものに改良したいと思っていたので色々材料を担いでここまで来たのだが、いかんせん二日酔いがきつすぎてシートの改良に着手する前にへたばってしまったのだ。


 昨日の勝負では他の面子の酒量がおかしい事になっていたので、鉄兵はどう考えても勝ち目は無いとみて途中から観戦モードといわんばかりにちびちびと飲んでいた。だが、それでも他の面子につられてかなり飲んでしまい、具体的にはワインをボトル三本程も空けてしまったのだ。確かワインのアルコール度は12%くらいだったから、16%の日本酒に換算すれば750mlのボトル三本でだいたい8合くらいのものだろうか? 二日酔いになるのはまあ当たり前の事である。


 ちなみに昨夜の勝負は酒に関しては底無しと評判らしい巨人族のイスマイルを制してアルテナの勝利に終わったりしている。どうやって腹に押し込めたのやら、大騒ぎしながらイスマイルと並んで10本20本とワインボトルを並べていく姿は空恐ろしいものがあり、果てには酔い潰れたイスマイルの上に腰掛けてワインをボトルごとラッパ飲みで飲み干してた様子には畏怖すら感じられた。それでいてアルテナもイスマイルも今朝は何事も無かったかのようにケロリとしているのだから、あれは正直詐欺である。これが種族差というものなのだろうか。いや、アリスも鉄兵より多い5本のボトルを空けて昨夜はほんのりと怪しい様子になっていたにも関わらず、今朝はしゃっきりとしていたので、単純にこちらの世界の人間は酒に強いだけなのかもしれない。


 そんなわけで午後から本気出すといわんばかりに草っ原に寝転がって体力の回復を試みていたのだが、そんな鉄兵の元に予期せぬ客が訪れた。


「もしや、ひょっとしてあなた様はテツ殿ではございませんか?」


 ぐったりとしていたら、そんな声をかけられた。知らない声だったので体調の悪さにかこつけて無視してしまおうかとも思ったが、不意に知らない声の持ち主がなんで自分の名前を知っているのだろうかという好奇心がもたげてきてた。なので起き上がって声の主を確認してみると、そこにはやはり見覚えの無いおっさんが立っていた。中々立派な身なりの人の良さそうな推定40歳くらいのおっさんだが、はて誰なんだろうか?


「そうですけど、どちら様でしょうか?」


 誰なのかは分からないが、反応してしまった以上は話をする他無いだろう。鉄兵は立ち上がって服についた土を払い、おっさんに応対したら見知らぬおっさんはニコニコと近寄ってきて右手を差し出してきた。


「これは申し遅れました。私、王都で綿を商っておりますニコライと申します」


「はぁ」


 ニコライと名乗った人物がニコニコと近寄ってきて右手を差し出してきたので何の考えも無くこちらも右手を差し出してみる。するとニコライは鉄兵の右手を両手で握り、熱烈に握手を交わしてきた。良く見れば少し興奮気味のようで、顔がほんのり上気しているし、姿勢が前のめりである。ちょっと気持ちが悪いなと思ってしまったのはここだけの話であるが、良い年したおっさんに興奮気味に攻め寄られればそう思うのは無理が無い事だと思って欲しい。


 どうやらこのニコライさんとやらは王都の商人のようだが、その商人が何で自分を知っていて、何の用があるのやら。というかなんでこんなに興奮しているのだろうか?


「あぁ、これは失礼いたしました。噂の人物とこうして出会う事ができて、年甲斐もなく興奮してしまいました。お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ございません」


 そこでニコライも鉄兵が辟易している事に気がついたのか、鉄兵の右手を解放して一歩下がり、胸に手を当て一礼した。どうやらさっきのは素の行動だったようで、本気で照れている様子を見せているが、おっさんが照れても気持ちが悪いだけである。とはいえ良い人なんだろうなぁと鉄兵に思わせる事で鉄兵の緊張感を解くだけの効果はあったようだが。


「はあ……噂、と言いますと?」


 多分一昨日の山賊騒ぎの事なんだろうなぁと思ったが、話の流れ上、鉄兵は聞いてみる事にした。一昨日の昼に山賊によって広間に集められていた人達の中にはこんな身なりの人はいなかったはずなので、多分昨日か今日この町に到着した人なのだろう。別に口止めをしているわけじゃないので、多分村の人にでも聞いたのだろう。


「はい。幽鬼族をも上回る腕を持ち、魔力は大魔道士級。仁義に厚く、何の見返りも無く弱者に手を差し伸べる慈愛に満ちた人物。さらには庶民派で親しみやすいお方だと聞き及んでおります」


 最高にむず痒くなる噂である。最初の能力についての事と、最後の庶民派云々はともかく、仁義に厚い慈愛に満ちた人物だとか、いったいどこからでてきたのやら。


 むず痒さに悶えそうになる鉄兵とは裏腹に、話し始めた事で再度興奮したらしいニコライは、どうやらなんかのスイッチが入ってしまったらしくてぺらぺらと聞きもしない事を語り始める。


「実は私、昨日の昼前にはこの村の近くまで到着していたのですが、フェンリル……と申しましたか? あの巨大な魔物が村に居座っている様を見て恐れおののき逃げ帰ろうかとも思っておりました。ですがこの村は大事な友人とも言える商売相手が住む場所です。せめてその友人達の安否を知りたいと遠巻きに魔物を観察していたところ、魔物は特に暴れる様子も無く大人しく、果ては欠伸までして毛繕いをしてくつろいでいるようにも見えました。そこで意を決して護衛の中から隠業に長けた者にこの村を探らせたところ、村人達は魔物を気にした様子も無く普段通りの営みを送っているというではありませんか。

 とにもかくにも危険は無さそうだという事でこの村に入り、商売相手に事情を聞いたところ、あの魔物は村を山賊から救った英雄の使い魔であり害は無いと、俄には信じられない事実を聞きました。

 そうこうしている間に魔物は忽然と消えてしまい、半信半疑のまま夢でも見ていたのかと思っておりましたところ、酒場にてテツ殿の英雄譚をお聞きして、ただただ感動するばかりでした。

 商業都市カディスに迫るフェンリルの脅威を見事な知略を持って打ち払う知恵と勇気。果てはあのような巨大な魔物を手懐けて使い魔にしてしまう器量。いやぁ話を聞いていて痺れてしまいました。

 さらにはこの村であの山賊姫の軍勢を魔法一つで撤退させる手際、被害にあった村の人に救いの手を差し伸べる優しさ、再度襲ってきた山賊姫の軍勢に一人で立ち向かう雄姿! 聞いているだけで私もその場にいるような気がして身が震えました。

 そして魔法一つで全てのかたを付けられるというのに、元騎士である山賊姫の配下達の心を慮って正々堂々の一騎打ちを申し込み、怒涛の17連戦を勝ち抜いたあの名勝負! いやぁ興奮いたしました。

 山賊にすら気を配り、心の救済を図ろうとは、その慈愛に満ちたお心はもはや人の為しえる事とは思えませんでした。これはもう、聞いていてただただ感服するばかりでございました。

 いやいや英雄というものは本当にいるのだなと心底感服いたしました。その英雄にこうしてお目にかかれるとは、感動する事しきりです!」


 とまあニコライは自分の話に興奮してこれ以上ないほどにエキサイトしていたのだが、鉄兵のテンションはそれに反比例していた。


「いや……なんというか……恐縮です。そんな大層な事じゃなかったのですが……」


 ニコライの話が終わる頃には、鉄兵はむず痒いを通り越して薄ら寒くなってきていた。確かにこうして話を整理して並べられてみれば大層な事をやっているようにも見えるのだが、実際のところは成り行き上なんにも考え無しにやった事なので反応に困る。そんな美談になるような内容じゃなかったと思っていたのだが、どうしてそんな噂になったのやら。基本的には小心者なので、どんだけ話が大きくなっているんだと内心ビクビクと怯えてしまいそうになる。


「これほどの事を成したというのに大した事ではなかったとは! その器の大きさ、謙虚な心にますますファンになってしまいそうです」


「いやぁ……恐縮です」


 そうしてまたニコライの賛美の言葉が始まったりしたのだが、鉄兵にとっては予想外の出来事なのでただへこへこと縮こまって頭を下げる他はない。いったいなんでこうなったやら。というかなんでリルの一件まで知っているのだろうか。


 と、そこまで考えて、鉄兵は噂の出所がどこなのか分かったような気がした。非常に嫌な予感がする。そして毎度の如くいうようだが、この世界に来てから鉄兵の嫌な予感が外れた事は一度も無い。今回も多分当たる気がした。


「ちなみにその話は誰から聞いたんですか?」


「はい、シロ殿です。あまりに見事な詩でしたので席にお招きして詳しく話をお聞かせもらいました。テツ殿の容姿についてはシロ殿の詩にありましたのですぐに分かりました。ここらでは珍しい黒髪の美少年だと聞いておりましたので」


 やはり。と、鉄兵は予想通りの答えを聞いてがっくりと肩を下ろした。そういや昨日、なんか良い詩が出来たから酒場に歌いに行ったとか聞いていたが、どうやらリルの時と今回の一件の詩だったようだ……別にやるなよとは言ってないので文句は言えないが、なにを考えているのやら。というかリルの一件の時に一番派手に活躍していたのはシロだった気がするのだが、どんな詩にしているのやら。案外シロはナルシストなのだろうか?


 ってか美少年って……少年という年でもないのだが、考えてみればここらの人は大体白人種っぽい人達なので年より若く見られているのかもしれない。いったい何歳に見られているのやら。


 とまあそんな風に呆然と話していたら、話している間にニコライの出発の準備が出来たようで手代っぽい人がやってきてニコライにその旨の報告に来た。そんなわけでニコライは名残惜しそうにしていたが、「王都にお越しの際は是非我が商店にもお寄りくださいませ」と言い残して去っていった。


 残された鉄兵は草原に座り、しばし尾びれがついてしまっていそうな自身に関する噂についてどうしようかと呆然と考えていた。が、拡散した情報を収束させる事の難しさは元の世界の経験から知っていたので、もう開き直って気にしないようにする事にしてなんとか自分を立ち直らせる。ただし、とりあえずシロに会ったら一発はたいて酒場で歌うのは止めさせようとは思ったが。


 まあ考えてもしょうがないと、鉄兵は当初の予定通り、馬車シートの改良に着手する事にした。今回の件で唯一の幸いは、あまりに衝撃な話を聞いた事によって二日酔いが吹っ飛んだ事だろう。何かを作ってればあまり他の事を考えずにすむのでさっさと取り掛かる事にする。


 さて馬車シートだが、当初は自動車の後部座席のようなシートを作ろうと思っていたのだが、色々考えた結果、スプリングが効いたベットマットのようなシートにする事にした。残念ながらゴムが調達できなかったので、車輪から伝わる衝撃はどうにも吸収できそうにない。なのでシートの方の衝撃吸収性能を高いものにして、ついでに長時間座っていても尻が痛くならないものにしようという魂胆である。


 材料はといえば、スプリング部分に使う金属は武装解除したアルテナ達山賊団の剣やらをもらえたのでそれを使う事にする。一応元騎士の剣なので業物でも混ざってるんじゃないかと思ったが、今朝マーティンに聞いてみたところ、アルテナの細剣以外はそれほど大したものでもないとの事なので、折れたものから遠慮なく使っていく事にする。


 中身に詰める綿については、これってご都合主義なんじゃね? と思うくらいに都合が良い事に、この村は綿の産地だったので山賊退治のお礼としていっぱいもらえた。シートのカバーは村長さんに何か良いものがないかと聞いたところ、フェルトっぽい厚手の布とでかい牛革をくれたのでそれを使う事にする。ついでにシートカバーを縫う針と糸に関しては、なぜかシロが持っていた。なんでこんなものを持っているのか聞いてみたら、傷を縫う時に使うものだそうな。言われてみれば針も糸もなかなかごついものだったが、麻酔がない時代にこんなもので人の身体を縫うわけで、なかなかグロイ話である。とはいえ今はそのごつさが好都合ではあるのだが。


 とりあえず折れた剣を何本か手に持ち加工魔法で不純物を取り除いて鋼の塊にする。ついでそれを大きなコイルバネ状にしてその上に台座を作り、上に乗って試してみる。すると、案外簡単にしっかりバネとして働いてくれた。後は座席の高さなどを考えて、揺れや弾力性などを考慮に入れてコツコツと形状を調整していく。加工魔法というチートを手に入れたわけだが、だからといって理想的な完成品がすぐさま出来るはずも無い。ゆえにトライ&エラーを繰り返す非常に地味な作業が続くわけだが、ある意味それが一番楽しい時間である。


 とまあそんな作業に没頭していたわけなのだが、ふと何かに見られているような気がして顔を上げてみると、なぜか目の前にアルテナがいた。例の非常にはしたない姿勢でものすごく興味津々に自分の作業を見つめている。半獣人のアルテナには獣耳はあるが尻尾は無い。けれどももし尻尾があったらものすごい勢いで振っていそうな雰囲気である。いや猫の半獣人だからピーンと立てていそうというのが正しいのか。


 猫の半獣人だからだろうか、どうも好奇心が半端無いようである。鉄兵はすでに作業を止めてアルテナにじーっと注目しているわけだが、アルテナは未だにこの後どうなるのだろうかと言わんばかりに鉄兵の手先に注目している。


 やがてアルテナも鉄兵の作業が止まった事に気がついたようでこちらに眼を向けてきた。続きはまだか? といつぞやのようにこちらに首を傾げてきたわけだが、さてどうしよう。


「……なんか用か?」


 なんでここにいるのかとかその他色々と聞きたい事はあったが、正直対応に困ったので無難な事を聞いてみる。そうしたらアルテナは「あぁ」と言わんばかりに自分の用事を思い出したようではしたない姿勢を止めて立ち上がった。


「飯だってよー。早く食いに行こうぜ!」


「あぁ。もうそんな時間か」


 言われて空を見上げてみたら、太陽は中天よりやや西に傾きかけていた。元の世界にいた時も作業に没頭して食事を抜いてしまう事は良くあったが、どうやらそんな状態になっていたようだ。どうやらアルテナはそんな自分に声をかける任務を受けてここに来たようだが、自分の作業に好奇心の虜になっていたようである。そんなに面白い作業をしていたかといえばそうでもないのだが、多分加工魔法で金属がグネグネ変化する具合が面白かったとかそんなところだろう。


 それにしても……鉄兵としてはアルテナの運命を思うと色々遠ざけてしまいたい衝動に駆られてやや対応がぎこちなくなってしまいがちなのだが、アルテナといい盗賊団の面々といい、なんでそんなに屈折する事なく健やかに日々を過ごせているのだろうか。これが文化の違いなのか? とも思ったが、にしてもどこか違和感……というか危機感の欠如というものを感じる。先ほど食事の時間だと告げた時のアルテナの様子はまさに天真爛漫そのものの態度だった。なんで近い将来に死ぬ事が分かっていてあんな顔が出来るのだろうか。


 とはいえ理由が分からない以上、これがこの世界の常識的な考えと受け取るしかないのだろう。いや本音ではあからさまに異常だと思うし、思い切ってアルテナに聞いてみれば理由が分かるかも知れないが、残念ながらこの世界に来て以来、勇敢かヘタレかの天秤があったとしたらヘタレに傾いてしまっている鉄兵には正面切ってそれを聞く勇気が無い。


 色々モヤモヤとしながらも、そんな表情をされてはどうにかして助けたい衝動に駆られてしまう。いや、アルテナ達は死刑囚になるほどの重罪人なので、ただそれだけの理由でそう傾いてしまうのは危険なのではあるが。


 ちなみにそんな鉄兵をアルテナは不思議そうに見てたりするのだが、やはり余裕が無い鉄兵はそれに気がつかない。


「ところで、さっき俺の作業を見てたみたいだけど、興味あったりする?」


 結局のところ、鉄兵はまたもや結論を先送りにして無難な会話をする事にした。


「ん? よく分からなかったけどなんか面白そうだったな。あれってなにやってたんだ?」


「あぁ、あれはな……」


 こう気持ちよく興味を示されては鉄兵としても気分がいい。変な雰囲気になるのも嫌だったので鉄兵はそれに乗ることにした。


 アルテナは鉄兵の説明をよく理解できていないようだったが、意外な事にアルテナは理解できないなりに理解しようと努力する聞き上手なようで、真剣に鉄兵の言葉に聞き入っている。正直この展開はありがたかったので、それを好都合だといわんばかりに鉄兵は説明に没頭する事にした。


 そんなこんなで村長宅に入ると椅子に座って背中を向けるシロの姿が見えた。朝の件もあり、とりあえず問答無用でその頭をはたこうと鉄兵は背後から平手を見舞ってみたわけだが、ある意味予想通りにすいっと避けられてしまい平手は空を切った。まあシロの事なのでなんとなくこうなる事は予想できていたわけだが、なんとなく悔しい。


「随分と御大層な挨拶だが、一体どうした?」


 なおも背中を向けたままシロが言う。


「どうもこうもないだろ! なんか酒場で俺の事言い触らしてるようだけど、恥ずかしいから止めてくれ!」


 こう言えば鉄兵としてはシロがこれ以上自分の事を触れ回るのを止めてくれると思っていた。だが、残念ながらシロの口から出てきた台詞は鉄兵の予想とは180度異なるものであった。


「そいつは残念だが受け入れられないなぁ」


 そんな冷たいシロの台詞を聞くのは初めてである。しかも、そう言いながら振り返ったシロの目には、心なしか敵意すらも混ざっている気がする。


 こんなシロは初めてである。一体どうしたというのだろうかと戸惑う鉄兵に、シロは宣言を行った。


「俺は、自分を曲げる気はねぇよ。止めたかったら全力でかかってきな」


 そう言って、シロは不意打ちのようににいつものよう笑顔でニッと笑った。


「……望むところだ。あくまでシロが歌うって言うなら、俺は正々堂々と止めてやる! 本気で行くから覚悟しておけよ」


 ニッと笑うシロの姿に、つられて鉄兵は同じようにニッと笑って挑発を返す。


 なんだかもう、ほんとどうでもいいところで感情的に盛り上がってしまって勝負する事になってしまった。とはいえ最後にシロが笑顔で宣言したために戦意を挫かれお遊び的な展開になったわけだが。


 とまあそんな一幕があり、勝負は夜の酒場に持ち越された。ちなみに昼飯はそれほど感情的な衝突がなかったので案外和気藹々とした雰囲気の中で進んで終わったようである。

11/20:報告いただいた誤字修正

「自愛」→「慈愛」

11/22:冒頭の一文が抜けていたので修正……

12/18:指摘いただいた誤字修正

これってご都合主義なんじゃね? と思うくらいに都合良が良い事に、

→都合が良い事に、

2011/2/14:指摘いただいた誤字修正

ラッパ飲で飲み干して様には

→ラッパ飲みで飲み干してた様子には

応対した見知らぬ

→応対したら見知らぬ


2011/7/11:指摘いただいた護持修正

例の非常にはしたない姿勢でものすごく興味心身に

→興味津々

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