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てっぺいは「チート」をてにいれた

「基本はこんなとこかな。どう、理解できた?」


「まあだいたいは」


 だいたいは理解できたが、疑問点も何個かある。とりあえず本格的な事を教わる前に聞いておこう。


「2つ3つ疑問点があるんだけど」


「なに?」


「例えば身体能力を強化するような魔法もあるんだと思うんだけど、そういうのはどの属性の精霊の力を使うの?」


 今の説明だと火とか水とかの属性がある魔法しか使えないように聞こえる。転移魔法はあるようだし、属性にとらわれない魔法もあるはずなのだが、そこらへんはどうなのだろう。


「あーそういう場合は無属性の精霊にお願いするの。属性が無いから属性魔法よりも魔力をロスするんだけどそれはもうしょうがない事なの」


 苦笑気味に手のひらをひらひらさせてリードが言う。なるほど、無属性の精霊もいるらしい。精霊の繁殖方法は不明だが、生まれたばかりのまだ染まっていない精霊などが無属性なのかな? とか鉄兵は憶測した。


「他は?」


「精霊族は自力で魔力変換できるっていってたけど、それならなんで師匠は魔術を学んでいるの?」


「その事ね。精霊族は自前で魔力を変換できるけど、半精霊族はその能力がないの。だから精霊語を覚えたりしないと魔術は使えないのよ」


 ちょっと失礼な質問かとも思ったが、意外なほどリードはあっけらかんと鉄兵の質問に答えた。


「後は?」


「それじゃ本題。精霊との契約はどうやるの?」


「そうね。そろそろ本格的にはじめましょうか。これで魔法が使えるかどうか選別されちゃうんだけど、えっと最初は魔力を眼球に集中させて、魔力で作った膜のようなものをイメージして。その膜を通して、違う世界を見るイメージをするの。これが生身で使える唯一の魔法。精霊界と相性が悪かったり魔力が低かったりするとそこで撥ねられちゃうから頑張ってね」


 そう言ったリードは少し緊張しているようだった。どうやら魔法は誰にでも使えるというものではないらしい。魔力はともかく精霊界との相性はどうだろう? まあ異世界に飛ばされてきたような人間だし、違う世界との相性はいい気がする。ともかくやってみよう。


「お」


 言われたように魔力を目に集中させて、コンタクトをつけるようなイメージをしてみたところ、ちょうど目の前に半透明の白い物体が見えた。これが精霊なのだろう、どうやら自分は魔法が使えるようだ。ちょっとほっとする。


「なんか白いのが見えた」


「どれどれ? あぁ、無属性の精霊ね。結構珍しい精霊だし、契約しちゃったら?」


 どうやら無属性の精霊はレアらしい。ラッキーだったのかな?


「半実体化はどうやるの?」


「精霊の前に手をやって魔力を放出して。あ、魔力放出はできる?」


「多分大丈夫」


 鉄兵は言われたとおりに精霊の前に手を出し、魔力を放出してみた。鉄兵には魔力が見えないが、どうやら精霊には見えるようで、近づいてきて魔力を放出している辺りでくねくねと身体を動かし始めた。その様子はなんと言えば良いだろうか……撒き餌を食べる小魚のようだとでも言えばいいだろうか。


「ちゃんと魔力を食べてるみたいね。もうちょっとしたら鉄兵の魔力波長が精霊に馴染むから、後は触れたら契約成立よ」


 精霊は魔力を食べるものらしい。精霊が魔力を食べる様子も小魚のようだし、魔力は精霊にとってプランクトンみたいなものなのだろうかとかどうでもいい考えがよぎった。


 そんな事を考えていたら「もう良いわよ」と言われたので無属性の精霊に触ってみた。いや触ろうと思ったら液体にでも触ったかのように精霊の身体をすり抜けてしまい、驚いたらしい精霊はどこかに逃げていってしまった。これで契約完了のようだ。身体の中に内臓が一つ増えたような、感覚器が一つ増えたような妙な感覚が備わったので契約が成功した事はすぐにわかった。


「おつかれさま。これであなたは見習い魔法使いになりました」


「おつかれさまでした」


 お互い頭を下げて礼をした。まさに講義後の教師と生徒のような光景である。リードの事を師匠というのはあながち間違ってないのかもしれないとか思った。呼び名はもう師匠でいいやと鉄兵は今度からリードの事をそう呼ぶように決めた。


 とまあ鉄兵は精霊との契約を完了したわけだが、その際に2つほど疑問が出てきたので聞いてみる事にする。


「精霊は魔力を食べるとその魔力を与えた人にだけ触れるようになるみたいだけど、魔力をあげ続けたら完全に実体化とかってするの?」


「するわよ。どういう原理かまだ不明だけど、魔力を与え続けるとこっちの世界にも波長が合って完全に実体化できるみたい。知性のある個体と本当の意味で契約して使い魔にしてる人もいるわよ。もっとも精霊族くらいの魔力量がないと無理だけど」


 精霊を使い魔にする事も出来るらしい。そのうち試してみるのも良いかもしれない。


「それと魔力賦与は伝説級の魔法だって聞いたけど、放出とは違うの?」


「魔力放出と魔力賦与は別物です。魔力には人それぞれに波長があるから魔力を他人に分け与えるってのはものすごく難しいの」


 なるほど。という事はたまたまリルとは波長があったから魔力吸収も賦与も上手くいったのであろうか? 実験してみたいところである。


 というわけで実験してみる事にした。


「ちょっと試してみて良い?」


「へ? なにを?」


「ちょっとしたこと。両手を出してもらって良い?」


 リードは訝しげな表情をしつつも戸惑いがちに両手を鉄兵の方に向けた。その手を鉄兵が握る。


「え? え?」


「すぐ済むから、ちょっとだけよろしくね」


 両手を握られて顔を赤らめながら戸惑うリードに軽くウィンクをして了解を取ると、鉄兵はリルでやってみたように右手で魔力の賦与を、左手で魔力の吸収を行い、リードの魔力を調整してみた。


 結果から言えば魔力の吸収も賦与も成功した。どうやら相手がリルだからたまたま出来たという事ではないらしい。ちなみにリードの魔力保持限界は人間族平均の300人分くらいあった。これは結構すごいのではないだろうか?


「え? 今のってひょっとして……」


「自分の無意識魔法。珍しい魔法らしいね」


 リードが口を開けて非常に驚いているようなのでちょっと軽はずみだったかなと後悔しつつ、さらりと流す事にする。


「それで、魔法って具体的にどう使うの?」


「え? あぁ、うん。体内に魔法器官ができたのは感じてるでしょ? まずは何をするかをイメージして、魔力を放出しながらその器官に命じるように言葉を発すればとりあえずは使えるよ」


「鉄兵はまだ無属性の精霊としか契約してないからむずかしいだろうね」とリードが笑う。まあなんとなくだがやり方は理解できた。とりあえず試してみる事にする。


 さて何をしてみようかと考える。火とか出したら店内だし迷惑になるだろう。というか多分追い出される。ならば水か? とも思ったが、水を出して店内が水浸しになったら以下略。それならどうしたものかと考える鉄兵に、ぬるい水が入ったコップが目に留まった。


 ちょうど氷が欲しいなと思っていたところなので、氷を作ってみる事にする。


 まずはイメージする。水の元素はH2O。昔教科書で見た氷の構成を思い出す。次は魔力の放出である。どれくらいの量が適切なのだろうか? とりあえず人間族平均の半分くらいにしておこうか。次は魔法器官に命令する言葉である。これはとりあえず一言で良いだろう。


「氷」


 鉄兵は自分の横の開けた空間に向けて、簡潔な一言で一連の魔法動作を試してみた。


 ゴンッ! っと音がして、等身大に近いサイズの立派な氷柱が現れた……魔力放出量の調整を間違えたらしい……


「ちょっ! なにこれ!!」


 リードが現れた氷柱を見て驚いている。どうやらやりすぎてしまったようだ。


「あ、あはは……ちょっと失敗しちゃった」


 驚くリードを笑ってごまかしつつ、鉄兵はぬるい水が入ったコップの上に小さな氷を三つほど作ってみた。今度は無事、イメージ通りに成功した。魔法を使ってみたところ、別に無詠唱でもできそうだなと思ったのでやってみたが、それも成功だった。どうやら無属性の精霊と相性がよかったようだ。


 氷のおかげでよく冷えた水を一気飲みして一息つく。さてどうしよう……


 店内で派手に魔法を使ってしまったのだ。予想通り店長さんらしき人が出てきてこっぴどく怒られたが、なんとか追い出されないで済んだ。それよりも店長さんは目の前の氷柱に興味があったようなので「よかったら使ってください」と言ったら「いいの? 悪いね」と途端に機嫌が良くなって氷柱を店の奥に運んでいった。なんに使うんだろうか?


「はぁ……いきなり魔法を使うとは思わなかった。しかもあんなすごいの。鉄兵はまず常識を学ぶべきだと思うの」


「ごめんなさい……」


 とばっちりを受けて一緒に起こられたリードの溜め息交じりの言葉に鉄兵は素直に謝った。正直穴があったら入りたい……


「それより、無属性の精霊としか契約してないのになんでいきなりあんな魔法が使えたの!」


「さてなんででしょう」


「それにさっき無詠唱で魔法使ってなかった? なんでそんな事できるの!」


「いやそれは……どうしてですかね」


 リードの目は完全に研究者のそれである。どうやら被検体として認識されてしまったようだ。


 とまあそんな風に質問攻めにされていたら、店の中に人が入ってきた。外はそろそろ日が暮れる頃である。そろそろ客が増える頃なのかなと思って入り口の方を見てみたら、そこにはもはや見慣れてきた人物が立っていた。


「あれ、シロ?」


 店に入ってきたのはシロだった。背中にはギターケースを担いでいる。こんなところで会うとは予想外だったが、食事は詰所で用意してくれるだろうし、何しに来たのだろうか?


「おや、奇遇だねぇ。ナンパかい?」


「ちげーよ」


 シロもこちらに気がついたようで寄ってきた。シロの冗談にはジト目で返す。しかし先程もリードにナンパと間違えられたし、そんなに軽い男に見えるのだろうか?


「ところでシロ。どうしたの?」


「いや、暇なんでね。ちょいと本職で稼ごうと思ってね」


 そう言ってシロはギターケースをちょいと持ち上げてみせた。なるほど、流しの営業だったようだ。


 クイクイと服の裾が引っ張られた。見るとリードが背を伸ばして懸命にテーブル越しに鉄兵の服を引っ張っていた。口に手を当て顔を伸ばしてきたのでなんだろうと思いつつも耳を寄せる。


「ねぇ、この人は誰?」


 リードがまだテーブルの上に食べかけで残っていた料理をひょいと手掴みでつまみ食いして、冷めていたので顔をしかめているシロを指差し、小声で囁く。


「あー紹介するよ。こいつは連れのシロ。本名は忘れた。こちらはリード。魔法の師匠」


 リードを紹介すると、シロは「ほう」とちょっと驚いたような顔を見せたものの、すぐにいつものようにニッと笑顔を見せた。


「シロディエールだ。よろしくな」


「リードです。よろしく」


 二人が笑顔で挨拶を交わす。その後ですぐさまリードがこちらを向き、話しかけてきた。


「ねぇ鉄兵。王都に行く件だけど、私もついて行って良い?」


「別に大丈夫だと思うけど、なんでまた急に?」


「だって竜人族が一緒なんでしょ? これ以上安心な旅なんてないじゃない。鉄兵も面白いし」


 なるほどと鉄兵は納得した。巡回保安官である竜人族の信用度は思った以上のものらしい。しかし面白いとは失礼な気もするが、まあ師匠なので弟子の扱いはそんなものかもしれない。ところでリードはシロが竜人族だとすぐに気がついたようだった。アリスもすぐに分かっていたみたいだし、見分ける方法でもあるのだろうか?


「おや、その嬢ちゃんも連れてくのかい?」


「駄目かな?」


「テツの師匠なら良いんじゃねぇか? あれだ、平気だとは思うがアリスの嬢ちゃんには早めに言っておいた方がいいぜ」


「そうだな」


 準備や調節もあるだろうし、さっさと話した方が良いのかもしれない。


「しかしあれだな」


 なにやらシロがうんざりした顔をしている。どうしたのだろう?


「なに?」


「俺は一人旅が好きなんだがねぇ。鉄兵を拾った途端に次々と旅の連れが増えるな」


 今回は自分とシロの他に、アリスとリード。それにイスマイルも着いてくるだろう。まだこの世界に来てから三日目だというのに随分と大所帯になったものだ。


「悪いな。まだ不安だからもうちょっと付き合ってよ」


「まあ落ち着くまでは付き合うさ。いつになるか知れたもんじゃないけどな」


 苦笑交じりにシロが笑う。本当に面倒見が良い人である。


「それじゃ俺は戻ろうかな。師匠も明日一緒に出発するなら準備は平気?」


「そうね。はやくいかなきゃ店がしまっちゃいそうだし、鉄兵も手伝って」


 どうやら荷物持ちをさせられるようである。まあこれも弟子の勤めであろうか。


「そんじゃシロ。この料理は任せた!」


「おいおい、そんな冷めた料理を押し付けるきかよ……」


 呆れ顔でシロが言う。さりげなく余り物を押し付けようとしたのだが、どうやら失敗したようだ。


「暖かけりゃいいのか?」


 そう言って、光のイメージをして料理に向けて魔力を放出する。光というか遠赤外線である。30秒ほども暖めたら、料理は温かそうに湯気をあげはじめた。


「おや、もう魔法が使えるようになったのかい?」


「え? いまなにしたの? どんな魔法を使ったの?」


「光の魔法。どうだシロ。これなら文句無いだろ?」


「そういう問題でもないんだが、まあもらっとくかね。お嬢ちゃんには夕飯はいらないって言っておいてくれ」


「了解。そんじゃな」


「あいよ」


 リードの追及がまたうるさくなりそうなので鉄兵はさっさと撤収する事にした。リードは色々聞きたがったが、強引に店を出ると諦めたのか何も言わなくなった。「まあ王都まで15日もあるし、問い詰める時間はあるか」というリードの呟きは、精神衛生上の問題から聞かなかった事にする。


 というわけで買出しである。案の定、鉄兵は荷物持ちをさせられた。15日分の食料を買い込んだのだから結構な量である。


 買い物によってリードの路銀は鉄兵が支払った銀貨4枚から1枚にまで減っているようだった。宿に止まれば一文無しになるわけで、ちょっと心配だったので「自分の泊まってるところで部屋を用意してもらおうか」という趣旨の事を聞いたのだが、返ってきた答えは「王都に戻れればお金は心配ないし、弟子の世話になるのはどうかと思う」という感じの言葉が返ってきた。見た目は小さい女の子なのにしっかりとした女性である。


 買出しも終わり、リードの宿への道の途中。ある店が鉄兵の目にとまった。宝石店である。それを見て鉄兵はふと試したい事があったのを思い出した。


「師匠。闇玉って宝石店で売ってるの?」


「ん? 売ってるはずよ」


「ちょっと寄り道していいですか?」


「もう買い物は終わったし、別に良いけどどうしたの?」


「ちょっと試したい事があるので」と言いつつ鉄兵は店の中に入っていった。


「いらっしゃいませ」


 中に入ると目の前にいきなり店員がいて声をかけられた。横にはいかつい見るからに歴戦といった感じの男が二人ほど立っている。随分と警備が厳重であるが、まあ宝石店なのだからそんなものだろう。


「本日は何をお求めですか?」


「えっと、闇玉はありますか?」


 店員は少し緊張していたようだが、鉄兵の言葉を聞き、ついで遅れて入ってきたリードの姿を見て警戒を緩めたようだった。考えてみれば宝石とは縁がなさそうな格好の男が宝石店に入ってきたのである。警戒されても仕方が無いことだろう。


「闇玉でございますね。こちらでございます」


 急に愛想の良くなった店員に連れられて売り場の隅に案内される。隅に置いてあった大き目の箱を店員が開けると、なるほどこれは闇玉だなと納得できる。仄かに周りを暗くする石が詰まっていた。


「小さいのでいいんですけど、一ついくらですか?」


「はい。小さいのでしたら一つ10オズになります」


 銀貨一枚。宿一泊分の値段である。シロは安いと言っていたが、それでもまあ宝石なのでそこそこの値段はするようだ。ちなみに光玉はいくらぐらいかときいたところ。その10倍の値段だった。


 とりあえず小さいのを10個ほど買って店を出ると、路地裏に入った。


「闇玉なんてどうするの?」といきなり路地裏に入ったのでちょっと不安がっているリードが聞いてきた。簡単に言えば闇玉を光玉にするにはどの程度の光力が必要なのかの実験なのだが、まあ説明するより見てもらった方が早いだろう。


「ちょっと試したい事があってね」


 闇玉を地面に置いて、鉄兵は光の魔法を使ってみた。もう薄闇の中なので結構目立つがしょうがない。


 手を闇玉に向け、そこから魔法の光を発する。眩いほどの光だが、闇玉に変化は無い。それに光の魔法は結構魔力を消費するようで、このまま光を与え続ければ光玉になるかもしれないが、効率が悪い。使用魔力量を考えれば一般的な方法とはなり得ないだろう。


 なので鉄兵は光の方向性を収束させ、サーチライトのように光を集中させた。徐々に焦点を絞っていき、一つの闇玉に集中させる。


 今度は成功したようで、闇玉から闇が薄れていき、徐々に光り始めた。だが、よし! と思ってさらに光を集中させたところ、光玉は赤く変色し、解けて消滅してしまった。どうやら光が強すぎて強力なレーザーのようになってしまったようだ。


「え? 今なにしたの?」


 驚愕の表情で、リードが勢い込んで尋ねてくる。そりゃまあ非常識な現象だったのだろう。どう説明しようかと思ったが、仕方ないのでありのままに説明する事にした。


「光を集中させただけ。光も熱量を持っているから、集中すると高熱を発するわけ。で、ちょっと調節に失敗したという話ね」


 ありのままを説明したわけだが、いまいちピンと来なかったようでリードは?マークを浮かべて小首を傾げている。なので「太陽を浴びるとあったかいでしょ。それが集中したら熱いってわけ」と説明を少し付け加えたらなんとなく理解したようで、感心したように「ふーん」と息を漏らした。


「理屈はわかったけど、非常識ね。けど光にそんな使い道があったんだー」


 すごいすごいとさらに原理を聞いてきたが、まあ明日以降にと話を逸らす事にした。明日から質問攻めになりそうだが、今は考えない事にする。


 ともあれ実験を再開する。少し光を弱めにして試してみると、今度は上手く成功した。先程まで闇としかいえないものを放っていた石が、結構な光量で光を放っている。


「へーこんな方法で闇玉を光玉にできるのね……あれ? これって丸儲けなんじゃない?」


「そうですね。師匠なら出来そうだから路銀に困ったらやる価値はあるかな」


 鉄兵の言葉は、逆に言えばリードくらいの魔力が無いとこの方法は使えないという意味でもあった。魔力消費が結構高いので、やはり一般的な手法とはなりえないであろう。ある意味失敗であるが、装置を用いて同じ事をすればいいのである。昨日は色々あって言えなかったけど、夕食の時にアリスに話してみようと鉄兵は思った。


 ともあれ実験は終了である。他にも利用方法があるかもしれないしと考え、先程の店にまた寄って、大小さまざまな闇玉を小白金貨一枚分ほど買って帰ることにした。ちなみに光玉は商品の3割程度の値段で買い取ってくれるらしいが、下手に勘繰られても困るので先程作った光玉は売らないことにする。


 リードを宿まで送り、帰宅の途につく。ちなみに明日の詳しい予定を聞いていなかったので、明日は王都方面の門の前で待ち合わせという事になった。




 詰所に帰った途端に飛びついてきたリルと心ゆくまで戯れていたら、すぐに食事の時間になった。今日はイスマイルは席を外しているらしく、アリスと二人きりの食事である。


 なにやら嬉しい事でもあったのか、アリスは上機嫌である。楽しく会話が進んでいたのだが、忘れないうちに鉄兵はリードの事を話しておく事にした。


「そういえば王都に行く件なんだけど、人が一人増えても大丈夫?」


「私は別に構わぬが、誰なのだ?」


「自分の魔法の師匠。今日知り合ったんだけど、王都に住んでて帰るところなんだってさ。もうシロには話してある」


「そうか。シロが信用しているようなら問題は無いだろう」


 とリードの件は案外あっけなく話がついた。仮にもお姫様の一行なのでひょっとしたら捩れるかもしれないと思ったが、取り越し苦労だったようだ。


 肩の荷が下りて気楽になったところで、鉄兵は闇玉を光玉に変換する方法について話す事にした。もとより話のネタにするつもりだったので闇玉を一つ持ってきている。説明した後にそれを目の前で実践してみせると、今回もやはり呆れられてしまった。


「覚えたばかりでもうそのような魔法が使えるのか。鉄兵はつくづく規格外だな」


 まあこの世界に来ている時点で規格外である。多少の規格外は許してもらうことにしよう。それよりも今は魔石変換の技術について話したい。


「それでさ、多分これと似たような事を適当に機械を組み立てれば出来るんだと思うんだけどさ、どこか使ってくれそうな人を知らない? 光玉が普及すれば経済的にも防犯的にも役に立つと思うんだけど」


 この世界の基本的な照明はランプもしくは松明である。家の中ではランプだが、夜間の外の照明は据え置きの松明のようなアレである。火の照明も嫌いではないが、やはり電灯で育った鉄兵としては光度が低くて少し厳しい。それに外の照明は10時過ぎには全て消されてしまうようなので防犯的にもあまりよろしくない気がする。光玉が安価に出回るようになれば、再利用できる光源なので非常にエコであるし、なにより光玉は明るいものなら電灯くらいの明るさがあるので鉄兵的には普及してくれると非常に助かる。


 ちなみにランプに使っている油は胡麻油のようである。菜種油の方が簡単に作れて菜の花も栽培が簡単だとかきいたことがあるが、それも話した方がいいだろうか? いや残念ながら作成方法までは知らないから黙っておくべきだろうか?


 それはともかくとして、魔石の話である。鉄兵の話を聞いたアリスは珍しく少し考え込んでいた。やがて考えがまとまったのか、鉄兵の目を正面から見て口を開く。今までにないほど真剣な表情だ。


「一つ提案があるのだが、聞いてもらえるか?」


「なに?」


 アリスの目が非常に真剣なのでちょっと緊張したが、それほどの話でもなかった。いや、人生が決まってしまいそうな話なのだが、いまいちピンと来なかっただけなのだが。


「その事業。自分でやってみる気はないか?」


「俺が?」


 そうだ。とアリスは至極真剣にうなづいた。


「鉄兵は自分の事を頭が良いと言っていたが、実際にこういう新発想を思いつき、それを実現する手段も考案済みということで証明して見せた。正直なところ、これは利益の割合や普及の促進から言っても国家規模で行うべき事業だと思うし、それには一番原理を理解している鉄兵が陣頭指揮を取るのが一番適してると思える」


 別に自分のオリジナルの発想ではないし、自分が事業の指揮を取る必要も無いと思うのだが、そういうものなのかな? と鉄兵は首を捻った。が、理由はそれだけではなかったようで、続いてのアリスの発言に鉄兵は納得せざるを得なかった。


「……ここだけの話だが、王族として鉄兵の力と頭脳は他国に流出させるのは危険だと考えざるを得ないのだ。残念ながら私は父王に嘘をつく気がないので鉄兵の事はありのままに報告させてもらう。するとこの提案……まあ他にも提案はいくつかあるが、我が国に仕えてもらえない場合は最悪身柄を拘束せざるを得ない。我が国総力を上げても鉄兵を拿捕などできる自信はまったくないのだが、国としてそうせざるを得ないのだ。できるなら鉄兵には私の敵になって欲しくない。真剣に考えてはくれまいか?」


 まだ知り合って三日目の短い付き合いだが、アリスの心の動きはよく分かると自分では錯覚している。分かりにくいが心底沈痛そうに、当事者である自分にそれを言っても良いのだろうかと思うような真実を語るアリスを見て、ああ、胸を痛ませながら話しているんだろうなぁと見ている鉄兵のほうが胸が痛くなってきた。


 このアリスの言葉に自分はどう答えるべきだろうか? 自分の胸に聞いてみたら、案外答えはあっさりとでてきた。前にも言ったがアリスの敵になどなれる気がしないのだ。


「なんか重い話だけど、俺はアリスの敵には絶対にならないよ。さっさと自分の国に帰りたいけど、その方法も分からないし、帰る方法が分かるまでは王都で働き口があるならお願いしたいかな」


「助かる……」


「助かったのはこっちだけどね」


 深く息を吐いて感謝の意を示すアリスに、鉄兵はなんでもないことのように笑いかけた。鉄兵の笑い顔をみて、アリスも救われたかのような笑顔を見せた。


「できる限りの便宜は図らせてもらう。そうだな……恐らくは第三王女である私を自由に出来るくらいの権限は与えられるだろう。婚姻関係を結んでしまえば鉄兵を縛る事も出来るし、悪くないな。どうだ鉄兵。本気で考えてみないか?」


 珍しくアリスが冗談交じりで挑発してきた。


「それは非常に魅力的な提案ですね……」


 珍しいものを見たという以上に、今までの人生で心も外見も一番美しい女性に誘惑されて、冗談だとはわかっていても動揺を隠せずに鉄兵は赤面して小さくなってしまった。鉄兵はイケメンである。だが、今までに女性と交際した事もない残念なイケメンなのである。最近ではヘタレ属性も付いてきて、真の意味で残念なイケメンになってきているが、彼を許してやって欲しい。


 鉄兵は残念なイケメンである。とはいえちゃんと言う事は言う。


「けど、権力とかそんな力でアリスに無理強いはさせたくないよ」


「そうか。鉄兵は優しいな」


 なにが優しいのかよく分からなかったが、アリスは非常に満足そうだったので何も言わないで置く事にした。


 その後の夕食は終始楽しく過ぎて行った。今までの会話を聞いていたであろう、この前はものすごい殺気を放っていたお付きの兵士ハンスからもなぜか殺気を感じないし(というか非常に微笑ましく見られてしまった)、非常に平和な夕食であった。


 ちなみに元の世界に帰る方法だが、実はもう帰る術はもう見つかっていたりした。断言は出来ないが、体内に宿る無属性の精霊と感覚だけで相談してみたところ、転移魔法も時空跳躍魔法も出来そうなので、後は元の世界に飛ぶイメージさえ浮かべて魔術を発動すれば帰れるはずである。だが、元の世界のイメージをしてみたところ、元の世界は魔力が限りなく疎な世界のようで、戻ればこちらには二度と戻って来れない可能性が高いようだ。それならば、一年留年したとしても、一年間異世界で暮らすという体験と引き換えるならばお釣りが戻ってくるだろうと考えて、鉄兵はもうちょっとこっちの世界にいる事にしたのだった。文字通り、人生で二度とないであろう体験の真っ最中なのだ。すぐに帰るのは勿体無い気がするのだ。




 そんなこんなで夜は更け(ちなみにシロは酒臭い息をして10時ごろに帰ってきた)、朝が来た。いよいよ王都へ出発する日である。


 朝起きると、準備は殆ど完了しているようだった。詰所の前にはこれぞ王族が乗る馬車! という感じの四頭仕立ての豪華な馬車と二頭仕立ての厩舎(ハルコさん用)兼積荷用の馬車があった。現在は急ピッチで荷物が積み込まれているところである。


「これは……すごいな」


「さすが王族ってとこかねぇ。ハルコさん用に馬車を用意してくれたのは嬉しいね」


 シロは満面の笑みを隠そうともしてなかった。どちらかといえば厩舎用の馬車を見て御満悦のようではあったが。


「ようやく起きてきたな」


「おはよう、アリス」


 馬車を見て感心していると、鉄兵に気がついたアリスが寄ってきた。


「もう出発するの?」


「そうだな。もうじき準備が整う。もう一人の同乗者というのはどうなっているのだ?」


「一応、王都方面の門のところで待ち合わせってことにしたんだけど、どうだろ……」


 結構朝早いし、リードはもう門のところに来ているのだろうか? ちょっと心配になってくる。


「先に行って見て来ていい?」


「わかった。門のところで合流しよう」


 というわけで荷物をシロに頼んで足早に門に向かう事にした。ちなみにまたリルが『つれてって!』と擦り寄ってきたので今回は連れて行くことにする。朝なら人通りも少ないかな? と思って連れて来たのだが、王都方面の門の前は結構な混雑っぷりであった。


「これは……リルにはきついかな」


『リル、ちょっとこわい……』


 人通りの激しさにリルもちょっと怯え気味のようだった。


「これはしょうがないな。リル。抱っこするけどいい?」


『だっこ? だっこってなに?』


「こういうこと」


 鉄兵はリルを持ち上げて腕の中に抱っこした。リルはちょっとびっくりしたようだったが、大人しい。


「リル、大丈夫?」


『これだっこ? だっこきもちいい』


 元の世界で犬や猫を抱っこすると結構嫌がられたのでどうかな? と思ったが、リルに関しては大丈夫だったようだ。心底安心している様子で鉄兵に身を預けている。


 そのリルの様子が可愛らしかったので、ドサクサにぎゅっと抱きしめながらリードを探していると、リードはすでに門の前に来ていてすぐに見つかった。


「師匠、おはようございます」


「あ、おはよーってなにその可愛いの!」


 挨拶を交わした次の瞬間にはリードが目ざとくリルに目を留め、怪しく瞳を光らせた。


「ねぇ、触っていい? 触っても大丈夫?」


「えっと……本人に聞いてみましょう。リル、この人はうちの師匠」


『ししょう? ししょうってなに?』


「うーんと、なんていえば良いのかな……そうだな、恩がある人かな。それで師匠がリルを撫でたいって言うんだけど、リルは撫でられても平気?」


『リル、へいき。ししょうになでてほしい』


 リルが地面に降りたがっていたので降ろしてあげる。するとリルはリードの方に走って行き、その足にすりよった。


「か、かわいい……」


 いつぞやのように周りに花を飛ばしつつ、リードがリルを撫でる。怪しく目を光らせていたのでちょっと心配したのだが、リードのリルへの接し方は常識的なものだった。リルもリードが気に入ったようで、積極的にリードにじゃれる。見た目は少女のリードと子狼のリルがじゃれる姿は非常に眼福であった。


 そんな光景を和やかに観察していたのだが、気がつけば結構な時間が経っていたようで、ふと道の方を見たらちょうどアリスの馬車がもうすぐこちらに来るところであった。


「師匠、連れが来たよ」


「連れ? どこにいるの?」


 リルを抱きしめて撫でながらリードがきょろきょろ辺りを見回す。多分シロを探しているのだろう。


「いや、馬車で行くんだ。あの馬車」


「え、馬車なんだ。それは嬉しい誤算だけど、どこにいるの?」


 現在見える範囲にはアリスの馬車しか存在しない。それなのにリードはそれが見えないかのようにきょろきょろと辺りを見回している。一体どうしたのだろう?


「いや、あの馬車だって」


「あの馬車? 王族が乗る馬車しかいないけど、どこにいるの?」


 リードの言葉に鉄兵は「あぁ」と納得した。鉄兵には分からないが、どうやらアリスの馬車は一目で王族の馬車と分かるものらしい。アリスについて説明しようとしたら、その時にはもう馬車は鉄兵達の前に着いて止まり、馬車のドアが開いた。


「鉄兵。そちらの者が同乗者か?」


「え? 姫様?」


 ドアからはアリスが出てきた。そのアリスを見てリードが驚きの声をあげる。


「お初にお目にかかります。わたくしは宮廷魔術師長オスマンタス=ウィードの子、リード=ウィードにございます」


 アリスを見て驚いたリードは、やや焦りながらも膝を突いて平伏し、名乗りをあげた。なにやら聞くにリードの親が王宮に勤めているようだ。


「なんと、鉄兵の師匠というのはオスマンタス師の娘であったのか。世間は狭いな。あぁよい。普通にいたせ」


 アリスは多少驚いているようだったが、悪い感じではなかったのでほっとする。


 アリスに普通にしろと言われたリードは「はい!」と一声きょどった声を上げると顔をあげ、アリスを見たと思ったら硬直し、硬直が解けたと思ったら光の速さで鉄兵の首をジャンプして掴み、強引に下げさせた。


「鉄兵、どういう事なの?」


 見ればリードは泣きそうな顔をしていた。不謹慎だが結構可愛らしい。だが、本人にとっては本当に必死なのだろう。フレンドリーなので特に意識をしていなかったが、アリスはこの大陸の1/7を占める王国の第三王女様なのである。父親が王宮に勤めているとなればその威光は輝かしいばかりなのだろう。


「イテテテ! すいません説明が遅れました。実はリルを飼う許可を王様にもらうためにアリスと一緒に王都に向かうところだったんです……ちなみにリルは街道封鎖の原因になったガルムだったりします」


 耳を抓られて激痛のあまり鉄兵は事実をありのままにゲロった。鉄兵の言葉を聞いてリードが固まる。なにやら色々と重大な事実を聞いて混乱しているようだ。


「ついでに王宮にもスカウトされてますから自分の縁者だとしても特に不利益は無いと思いますよ」


 恐る恐るリードに告げる。その言葉を聞いて、固まっているリードの表情にもやや血の気が戻ってきた。


「鉄兵。説明していなかったのか?」


「ごめんアリス。こんな驚かれるとは思わなかったから」


「鉄兵は常識が足りないからな」


 アリスがふっと笑顔を見せる。その笑顔は今まで見たアリスの表情の中でも一番優しいものだったが、なぜだろう。


「リード殿。いや、リードと呼び捨ててよいか?」


「え? は、ひゃい!」


 かみまみた。とでも表現した方が良いくらい豪快にかみながらリードが返事をする。


「オスマンタス師の娘にこのような形で出会えた私としても幸福な事だ。出来れば友として親交を深めたい故、普段どおりに振舞っていただければ私としてはありがたい」


「恐れ多い事です」


 アリスに直接話しかけられた事で逆に冷静さを取り戻したのか、リードは見た目とは似合わないしっかりとした態度でアリスに相対する。


「それに鉄兵の師匠ならば鉄兵の実力は知っておろう。これから鉄兵は王国の注目の的になろう。師であるあなたには鉄兵を守っていただきたい。」


「……! はい。一命に変えましても」


 リードが神妙に礼をする。いつのまにやら自分が重要人物に祭り上げられてしまっていたようだが、正直ついて行けない雰囲気だった。ちらりと馬車の方を見るとシロとイスマイルがこっちを覗いていたのだが、非常に生暖かい視線を向けられてしまった。二人は明らかにこの状況を楽しんでいるようだ。シロは分かるがイスマイルは神官の癖に生臭い気がするのだがどうだろう。




 まあそんな感じで王都への旅は始まった。


 リードはアリスを前にガチガチに固まっていたが、一日アリスと過ごしていたらアリスの人柄を理解したようで、次の日には元の性格を取り戻していた。


 そして鉄兵がこれからの人生を変えるようなチートとも言える魔法を発見したのは、リードが元の性格を取り戻して鉄兵を質問攻めにする前のその日のことであった。


 初日の馬車の中はアリスがリードに話しかけ、カチコチに固まったリードを楽しげにシロが弄くるという微妙に居心地が悪い空間であった。なので鉄兵はそこから目をそむけるように昨日買った本である「初めての魔法」に目を通してみていた。


「初めての魔法」はまさに空想小説の詳細設定のような本であったが、魔法という技術を使えるようになった今では基本的な単属性の魔法のテンプレート集としてそれなりに有用な本のようで、なかなか有意義なものであった。


 鉄兵は無属性の精霊としか契約していないので無属性魔法のページを先に見ていたのだが、ある魔法の説明ページでピタリと動きを止めた。何の魔法かといえば、それは「解析」魔法のページであった。続いて少し考えた鉄兵は土属性の魔法のページをパラパラと流し見して、やがて一つの魔法項目のページで流し見をやめ、そのページをじーっと読み始めた。そのページは「金属加工」のページである。


「……イスマイルさん」


 やがてそのページを読み終えた鉄兵は、少し遠い目をしながらイスマイルに話しかけた。遠い目というとおかしな印象を受けるかもしれないが、表現をソフトに言えば自分の考えに浸っている時の鉄兵の目の事である。


「はい。なんでしょうか?」


「なにかいらない金属とかってないですか?」


「金属ですか? いらないものはありませんが、必要とあれば予備のナイフなどはありますが」


「もらってもいいですか?」


「はあ」


 少し正気を失っているような鉄兵の目にイスマイルは少し躊躇したようだが、ややためらったもののイスマイルは予備のナイフを自分の荷物から取り出して鉄兵に差し出した。


 鉄兵はそのナイフに向けて先ほど読んだ本の説明どおりに「解析」の魔法を使ってみた。瞬時にそのナイフの構成式が頭に浮かぶ。


 続いて鉄兵は「金属加工」の魔法をナイフに向けて使ってみた。鉄製のナイフがグニャリと曲がり、鉄兵の意思の通りに加工される。


「……これってチートじゃね?」


 我知らず、鉄兵の口元がにへらとだらしなく歪んでいた。

12/29:指摘いただいた誤字修正

考案済みということで照明して見せた。

→証明して


12/29:文章一部修正

「おや、嬢ちゃんも連れてくのかい?」

「駄目かな?」

「テツの師匠なら良いんじゃねぇか? あれだ、平気だとは思うがお嬢ちゃんには早めに言っておいた方がいいぜ」

→最初の「嬢ちゃん」を「その嬢ちゃん」に、二番目の「嬢ちゃん」を「アリスの嬢ちゃん」に修正


2011/2/14:指摘いただいた誤字修正

>同じ事をすれば同じ事をすればいいのである。

→同じ事をすればいいのである。


>最悪身柄が拘束

→最悪身柄を拘束


2012/01/31:指摘いただいた誤字修正

つい[て]に王宮にも

→つい[で]に王宮にも

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