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親友が密かに署名した婚前契約書  作者: 朧月 華


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第50話 全てを暴く証拠と告白

蓮の言葉は、会議室の空気を完全に支配していた。沙織は、もはや反論する力すらなく、その場に立ち尽くしていた。幹部たちの間には、蓮のただならぬ雰囲気に、期待と、そして深い恐怖が混じり合っていた。


「私は、連城蓮。長きにわたり、連城グループの御曹司として、皆様に『無能な放蕩息子』の仮面を被って参りました。しかし、それは全て、私の母、連城雅美と、林美咲氏の母、林芳美。二人の母親を殺害した連城健太郎の悪行を暴き、連城グループの闇を根絶するための、私自身の復讐計画の一部でした」


蓮の告白に、会場は騒然となった。私の胸に、熱いものがこみ上げる。彼は、この日、この瞬間のために、どれほどの苦痛と孤独を背負ってきたのだろう。


「私は、健太郎が連城グループの覇権を確立するために、『星核スターコア』技術を兵器転用しようとしていたことを知っていました。そして、その秘密を公にしようとした私の母と林芳美を、健太郎が事故に見せかけて殺したことも、幼い頃から、ずっと知っていたのです」


蓮の声は、震えていた。しかし、その震えは、怒りと、そして母親を失った深い悲しみから来るものだった。


「私は、健太郎の目を欺くため、愚かな息子を演じ続けました。そして、沙織、お前が連城グループに入り込み、健太郎の駒として動いていることも、最初から全て見抜いていた。お前が健太郎への復讐を望んでいることもな」


蓮の言葉に、沙織は絶望に顔を歪ませた。彼女の完璧な計画は、蓮によって、最初から全て見透かされていたのだ。


「しかし、お前は、健太郎と同じ道を歩もうとしていた。母親の復讐という大義名分の下、自らの野心を満たし、再び『星核』技術を連城グループの支配下に置こうとした。それは、林芳美と私の母が命懸けで守ろうとした未来を、再び裏切る行為だ」


蓮は、そう言って、USBメモリを差し込んだ。スクリーンに映し出されたのは、健太郎の謀議映像、沙織の母親の死に関する録音、そしてアークデザイン売却の裏の契約書。さらに、蓮の母・雅美の事故現場の隠された監視カメラ映像。そこには、健太郎が雅美の車を遠隔操作し、崖へと突き落とす瞬間が、鮮明に捉えられていた。


会場の幹部たちは、その残酷な映像に息を呑み、恐怖で震え上がった。連城グループが隠し続けてきた、あまりにも深い闇が、今、白日の下に晒されたのだ。


「これらは、健太郎が連城グループの資金を私的に流用し、海外の反社会的勢力と繋がり、違法な星核技術の研究開発を行っていたこと。そして、私の母と林芳美、二人の命を奪った決定的な証拠です。そして、沙織。あなたが私を欺き、林美咲氏の資産を奪おうとした、その全ての証拠も、ここにあります」


蓮は、そう言って、私の方へ視線を向けた。彼の瞳には、私への深い謝罪と、そして、この戦いを共に終わらせようという、確固たる決意が宿っていた。


「林美咲氏が、不正に奪われたアークデザインと、その『星核』技術の正当な継承者です。そして、私と林美咲は、連城グループの闇を全て清算し、『星核』技術を真に平和利用するための、新たな連城グループを再建することを、ここに誓います」


蓮の声は、力強く、そして会場の隅々にまで響き渡った。彼の告白と、圧倒的な証拠の前に、沙織と健太郎の悪行は、完全に暴かれた。そして、この盤面を支配する真の「執棋者」が、ついにその姿を現したのだ。


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