砲撃の下での出会い
近衛隊に所属する宮入穂乃花の戦場
空全体が灰色に曇っている。
砲撃で吹き上げられた土、目に見えないほど小さなチリが本来青い空を覆っている。
身体が動かない。どうしてこうなってしまったのかなんて明白だ。砲撃。敵の砲台から発射された砲弾が私たちの中央に突き刺さったのだ。私の背中からジクジクとした痛みが上がってくる。血が流れているのは腰だめから尻にかけてベタベタとした感触があったからすぐにわかった。
近衛兵としての役割を果たせただろうか。それとも、この痛みにも死にも実は意味なんかないのだろうか。私は何も分からないまま伏せていた。誰の声もしない。遠くから砲撃音と悲鳴、勇壮な喊声が聞こえる。
雨の後、ぐずついた地面。私の制服は泥まみれだ。こんな死に方なのか。
嗚呼。
「何してんだ! あんた!」
声が聞こえた。背中だった。誰かは分からない。低い声が周りの雑音を切り裂いて聞こえてくる。
「くっそ。生き残りはこいつだけかよ! ああもう! おい、生きてるか? おい、おい! くそ」
声の持ち主は悪態だけかなり聞き取りやすかった。軍隊の中では標準なんだろう。近衛隊と軍はあまり接点がない。だからだろうか、周りの見栄だけ張る同僚たちと違う声は死の間際でさえ気取っていた私を安心させた。
「寝てんじゃねえ! お姫様! あんたに死なれると困ンだよ! おい、佐分と仁科、こっちに来い! 担架だ担架! 揺らすんじゃねえぞ! ぜってえ殺すな!」
大声を聞きながら私は意識を失った。
誰が彼女を助けたのか。




