表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/46

先輩の告白

「先輩……?」

私と美咲が声をかけると、佐伯先輩は驚いたように目を見開き、しばし沈黙した。

その後、震える声でぽつりと告げる。


「お漏らしで泣いちゃうなんて、私、おかしいよね」


「違うんです、先輩」

「私たちも同じなんです」


私と美咲が今までのことを打ち明けると、先輩の目に涙がにじんだ。


「……私も……同じ。あの日からずっと……」


佐伯先輩は人目を気にして、近くのビルの隅に私たちを誘った。

そこで小さな声で、あの日のことを語り始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


それは平日の午後、職場のトイレの個室。

先輩は、会議続きでトイレに行く暇がなく、限界まで我慢していたという。


「ようやく席を立って……個室に入ったの。でも、鍵を閉める前に……もう、だめで……」


彼女は両手をぎゅっと握りしめながら話を続けた。


「パンツの中に……一気に出ちゃったの。ベージュのズボンに濃い染みが広がって……温かくて、止められなくて……」


当たり前のように受け入れるべき世界。

けれど、そのとき彼女の心を満たしたのは――羞恥心だった。


「……どうして私、こんなに恥ずかしいって思ってるんだろうって。

 だって、周りの人は誰も気にしないのに」


彼女はそのままパンツを濡らしたまま便座に座り込み、肩を震わせて泣いたという。


「それからずっと……おかしいのは私なのかなって思ってた。

 でも今日、彩ちゃんと美咲ちゃんを見て……やっと……」


佐伯先輩は顔を覆い、涙をぬぐいながら小さく笑った。


「やっと、同じ気持ちの人がいるって分かった……」


私、美咲、そして佐伯先輩。

羞恥心が残された三人。


その共通点は――“同じ日”。


(どうして……私だけが違うんだろう?)

私の胸の奥で疑問が膨らみ、2人との違いに新たな謎の輪郭が浮かび上がっていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ