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変わってしまった日常

朝の通勤電車。私は混み合う車内で吊革につかまっていた。

すると、隣に立っていたスーツ姿の女性が小さくため息をつく。次の瞬間、彼女のスカートの下から透明な雫が垂れ、足元に小さな水溜まりができていく。


(え…ここでも…?)


だが周囲の乗客はまったく動じない。彼女自身も、少し恥ずかしそうに笑みを浮かべながらスマホを操作し続けていた。

私一人だけが驚きの視線を向けてしまい、慌てて目を逸らした。


会社に着くと、先輩がデスクで書類をめくりながら足をもじもじさせていた。

「会議まで我慢しようと思ったけど、やっぱ無理だわ」

そう呟いたかと思うと、椅子に座ったままズボンを濡らし始める。


シートの下からぽたぽたと雫が落ちるのを、周囲の同僚たちは気にも留めない。

「先輩、それ新しい椅子カバーにしたほうがいいですよ」

「そうだねー」

会話は淡々と進み、失禁そのものはまるで話題にすらならなかった。


私はただ呆然とする。昨日の自分の行為が、この世界では“ありふれた仕草”に過ぎないことを見せつけられる。


夕方、カフェで作業をしていると学生らしい女の子たちが入ってきた。

笑いながら席につくや否や、一人が脚を閉じたまま小さな声で「やばい…」と言った。

そしてそのまま椅子の上でジーンズを濡らす。


仲間の子たちは大笑いして、

「またやってる!」

「ほんと我慢弱いよね」

と、まるで“ドジを踏んだ”程度の軽い冗談にしてしまった。


私は熱いコーヒーを手にしながら、心臓がざわめくのを感じていた。


(ここでは、それが普通なんだ。みんな堂々としてる…私だけが恥ずかしがってる…)


そう思うと、昨日までの羞恥心がどんどん揺さぶられていく。

窓に映る自分の姿を見て、私は無意識にジーンズの股を押さえた。


(もし、今ここで私も…)


羞恥と安堵、戸惑いと好奇心が入り混じり、心の中で奇妙な静けさが広がっていった


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