確信と決意
しゃがみこんで顔を赤らめていた萌は、ようやく落ち着きを取り戻すと、私たちを見上げた。
「……あの……すみません。なんで、泣きそうになったのか、自分でも分からなくて……」
声は小さく震えていた。
「いつも通り……我慢の限界になったから、道でしゃがんで漏らしただけなんです。なのに、どうして……こんなに恥ずかしくて……」
萌はスカートの裾を握りしめ、視線を落とした。
その頬はまだ赤く、羞恥と混乱の入り混じった表情だった。
私は胸の奥がざわつくのを感じた。
――やっぱり、これは偶然なんかじゃない。
先輩の羞恥が、萌に伝わった。
そう確信しかけたその時、隣で泣きはらした目をしている佐伯先輩が、ゆっくりと口を開いた。
「……そうか。これなら……きっと、広がる」
「佐伯先輩……?」
先輩は小さく笑みを浮かべたが、その表情は決意を帯びていた。
「私が……職場で、失禁する。みんなの前で。そうすれば……恥ずかしいって気持ちは、もっと多くの人に伝わるはずだから」
「せ、先輩……!」
美咲が慌てて声を上げる。
楓も「そんな……大丈夫なんですか……?」と心配そうに覗き込んだ。
けれど佐伯先輩は、涙を拭いながら静かに頷いた。
「大丈夫。私一人が恥ずかしい思いをするだけで、みんなに“感情”が広がるなら……意味があると思う」
その言葉に、私は胸が締めつけられた。
――佐伯先輩は、本気だ。




