表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/46

伝染

会議室の片隅。

小声で事情を話した私たちは、結局、楓にもおむつをすすめることになった。


「……やっぱり、これしかないよ」

そう言って差し出すと、楓は顔を真っ赤にしてうつむいた。

「……恥ずかしいですけど……昨日みたいになるよりは……」

そうつぶやいて、震える手で受け取った。


こうして、私以外の三人――美咲、佐伯先輩、楓――は全員がおむつを着けて仕事をすることになった。

だが、私は違う。今でもトイレで用を足せる。


……だからこそ、疑問が膨らんでいった。


なぜ楓に羞恥心が芽生えたのか。

美咲と佐伯先輩は、あの日、自分の経験をきっかけに羞恥を抱えたと語っていた。

でも楓は? 昨日まで普通に失禁して、笑っていたはずなのに。


(……もしかして、羞恥心は伝染するのでは?)


その仮説が頭を離れなかった。

自分が彼氏の前で恥をかいた日。美咲も偶然、駅のトイレで涙を浮かべた。

佐伯先輩も、同じ日、個室で震えていた。

そして昨日、楓は私の涙を真正面から見た――その翌朝、彼女も羞恥を感じるようになった。


「羞恥心って……感染するものなのかもしれない」

思わず口に出した私の言葉に、美咲と佐伯先輩は顔を見合わせた。


楓は、うつむいたまま小さく頷いた。

「……彩先輩が泣いてたの、見てたから……私も……」


私の胸はざわついた。

もし羞恥心が“伝染”するものだとしたら――この世界に、少しずつ、また「恥ずかしい」という感覚が広がっていくのかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ