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新しい羞恥心

廊下に立ち尽くす楓の足元から、透明な液体が広がっていく。

ベージュのチノパンはすっかり濃く染まり、靴下まで濡れていた。


昨日までなら、楓は笑いながら「すみませ~ん、出ちゃいました」なんて言っていたはずだ。

でも今日は違った。肩は震え、涙をこらえるように顔を伏せている。


「楓ちゃん……」

思わず駆け寄り、背中に手を添える。楓はしゃくりあげながら私を見上げた。


「彩先輩……なんで……なんで恥ずかしいんでしょうか……?」


胸が痛くなった。

あの日以来、私も、美咲も、佐伯先輩も、この世界でたったひとり恥ずかしさを抱えているのだと思っていた。

けれど今、楓が同じ感情で苦しんでいる。


「……楓ちゃん」

私は静かに言葉をかけた。

「それは、私たちと同じだからだよ。恥ずかしいって思うのは……あなただけじゃない」


楓の目が大きく見開かれる。

信じられない、と言いたげに私を見つめる。


「美咲も、佐伯先輩も、私も……。みんな、失禁するたびに心が痛くて、恥ずかしくて……でも、それを隠してきた」

言葉にしながら、自分の声が震えているのがわかった。


楓は少し間を置いてから、泣き笑いのような顔をした。

「……じゃあ、私……ひとりじゃないんですね」


私はしっかりとうなずいた。


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