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オフィスにて
翌日の午後、静かなオフィス。
楓は資料を整理しながら、机の向かいに座る美咲の様子を横目で見ていた。
彼女の足が小刻みに揺れている。時折、膝をぎゅっと閉じ、下唇を噛む。
(あれは……どう見てもおしっこ我慢している仕草だよね)
さらに隣の席の佐伯先輩も同じだった。
電話を取り次ぎながら、腰を少し浮かせるような動きを繰り返す。
(二人とも、限界を耐えているみたいに見える……)
ところが――。
しばらくして再び視線を戻したとき、二人の動きは止まっていた。
落ち着いた表情で、何事もなかったかのように仕事に集中している。
(……あれ? ついさっきまで、明らかに我慢していたのに……)
しかも、服装はそのまま。
スラックスの美咲も、ベージュのパンツを履いた佐伯先輩も、濡れた形跡など一切ない。
替えの服に着替えた様子もない。
「……不思議」
思わず声が漏れてしまった。
美咲が楓を振り返る。
「どうしたの、楓ちゃん?」
「い、いえ……なんでもありません」
慌てて取り繕ったが、頭の中は疑問でいっぱいだった。
(絶対に我慢していたのに……。どうして服が濡れていないの? いつの間に……?)
楓にはさらに疑問を持った人物がいた。
――我慢のしぐさすら見せない先輩がいる、と。




