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考察①ハリーポッターシリーズの父親と母親

 まず大前提として完璧な物語なんて存在しないはずだ。

 自分で作るしかないが、それも結局完璧とは程遠いものだ。

 私が目標にしているハリーポッターでさえ、そう思ってしまうような奇妙な思想らしきものが確認できる。子供の頃の私でも作者のその思想を確認できた。最初から最後までそれは変わらなかった。

「母親は常に最良、最善、最強、最賢、最高、最愛」

「母親は常に不幸、真面目、心配性、悲劇的、謙虚、健気、利他的、苦労人」

「父親は常に問題児、呑気、顔だけ、恩知らず、不真面目、傲慢、浮気者」


 いや、いくら何でも差がありすぎる。


 あれだけ登場人物が多いのに登場する父親キャラで問題起こしていないのがニンファドーラ・トンクスの父親くらいじゃないか?

 アーサー・ウィーズリーもマトモな父親っぽく書いたつもりかもしれないが……。

 でもあれがマトモなら対極的に書かれたルシウス・マルフォイも別の意味でマトモな父親ということになってしまうし、父親としては一種の……真の意味で本っ当に一種の理想かもしれないが、どちらもマトモな父親ですと言われると首をかしげたくなる。

 確かに父親としてだけならマトモかもしれない。だがそれ以外には無理がある。

 ルシウス・マルフォイは言わずもがな。アーサー・ウィーズリーも様々な立ち回りが杜撰過ぎる。任務中に寝るな。

 

 ……あんまりマトモマトモ言いすぎるとバーノンおじさんになるからここまでにしようか。

 当時の幼稚だった私は、私の常識の範囲である「マトモ」な父親が凄まじくどうでも良い脇役キャラばかりって、それはそれでどうなんだ……と思ったものだ。

 まさか父親の描写だけ下手な訳ではないだろうし、よく分からない所に変な個性を出して以上! 彼は完成された、元からこういう性格の男です! 以降成長しません! が非常に多い。ロン……。


 唯一の例外がジェームズ・ポッターか。

 リリー・エバンズに好かれたかったのか、それとも何か他の原因があったのかは不明だが、7年生の時に急激に変化したらしい。傲慢さが鳴りを潜め、その後リリーとの仲が改善したと描写されている。

 いやいやいや、おかしい。変化が余りにも急激過ぎるだろう。

 きっかけは何だ? 過程は何処にいった? 子供らしい単なる成長? ……誰か死んだ?

 どうやって自分の傲慢さという欠点に目を向けることができた?

 何故そこまでした? リリー・エバンズの為か? 流石にそれだけってことはないんじゃないか?

 

 ……仮に作者がこの時のジェームズの変化を全てリリーのおかげです! とか言い出したら私はハリー・ポッターシリーズを目標にしていることを大っぴらに言うのは控えるぞ……。


 ジェームズ・ポッターの性格を矯正出来たのはリリーのおかげ! リリーは凄い! リリーは賢い! になるとでも? そんなわけがない。リリー・エバンズは全く関係ないだろう。

 

 目的は何であれ本人が自らの欠点を自覚して直したのだから、凄いのは本人だ。彼は元々リーマス・ルーピンの為に動物もどきを習得できる才能を持っていたのだから。

 

 ジェームズ・ポッターが動物もどきを習得出来たのはルーピンが友達だったから! ルーピン凄い! ルーピンは賢い! とはならない。ルーピン本人は全く関係ない。

 

 二人の人柄も大したものだから良い目標にはなったのかもしれないが……いくら何でも本人の努力と才能を馬鹿にし過ぎている。

 まあ性格は馬鹿にしても良いと思うが。

 ……こうなってくると元々ジェームズ・ポッターという人間は誰かの為に自分の性質を作り変える事が出来るという、とんでもなく素晴らしい超特殊な才能に恵まれたのだ、と思うしかないか。

 そういう意味では人格、身体ともにジェームズ・ポッターの性質はメタモンに近い。

 友達思いの勇敢な性格だけど傲慢でイタズラ好きなメタモンだ。このイメージがしっくりくるか。

 

 ジェームズ・ポッターの7年生の時の描写が少ないのも気になるな。7年生になったら反省してリリーと付き合い始めた、ぐらいか。ちょっと薄い。

 寧ろこれは他人が聞いた際の、そうらしいよ~みたいな又聞き描写ではなく「リリー・ポッター本人が滅茶苦茶そのことを自慢していた」所を他人が見た、という描写を入れるべきだったように思う。

 まあ完全に惚気だが、そっちの方が人間らしいし、あのジェームズを矯正するのにこ~んなに苦労したんだから~という描写入れた方が素直にリリー凄い! ってなると思うが……。

 ……ってああ、そういうことか。

 リリー視点、そこまでジェームズ・ポッターに肩入れする価値が6年生の当時になかったのか。

 なーるほど。作者さん、ここらへんちょっとだけ困ってたりしてたんじゃないか?

 ジェームズ・ポッターとリリー・エバンズが結婚するにはポッターの傲慢さが障害となる。

 でも二人には物語の都合上必ず結婚してもらう。

 

 故にポッターの傲慢さを消すにはどうしたらよいか?

 

 この問題に対して結局明確な答えを用意出来なかったのか。それで仕方なく、なんか適当に一年経ったら改善しました~、としたわけか。傲慢を消す→付き合うという流れが大事であって、付き合う→傲慢を消すという流れにしたくなかったのか。

 

 …………うーん?

 私は今何かの疑問を感じたが書いている途中でその疑問が何処かへ行ってしまった。

 なんだ……? 私は今何を疑問に感じたんだ……?

 

 ……ポッターの傲慢さを消す方法についての疑問か……?

 

 それなら普通にジェームズ・ポッターが女の子をとっかえひっかえしてある日痛い目にあったから改善されたーみたいに適当なのを用意しても良さそうだが……これくらいなら私のような素人でも思いつく。なぜ適当な理由を書かなかったんだろうか、という疑問か?


 リリー・エバンズの性格を変えたくなかったからか……?

 

 いや、それもおかしい。

 別に神聖にして不可侵な人物というわけでもあるまい。

 

 物語の根源に関わる話だから、それしか選択肢がなかったのだろうか……?

 

 いや、そもそも付き合うことで傲慢を消す、という可能性自体がありえないのか?

 愛にそういう効果を期待するの流石にアクロバット過ぎるか。傲慢は病気でも何でもないしな……。

 それに傲慢を拭き取った以降のジェームズ・ポッターの描写が薄過ぎるし、そもそも具体的にどういった方法で改善されたのかも明確ではないか……。


 ダメだな。ジェームズ・ポッターに関する私の考察ではここまでか。他の考察に移ろう。



 父親だけでなく作中には一応、愚かな母親も確かに登場する。むしろ結構多い。しかし登場するが大体本人はバカなだけだったり不幸なだけだったりと、可哀想過ぎてそこまで悪くないんじゃないか、と一見するとそう同情されてしまうようなパターンが多すぎる。

 

 最たる例がヴォルデモートの母親だ。こいつは悪逆無道極まる家庭に生まれた上、叶わぬ恋をして暴走。男に薬を飲ませて無理やり従わせ、妻の地位を得るもロマンスに傾倒。薬を止めたら夫は容赦なく自分を捨てボロ雑巾のようになりながら、妊娠期間をそこら辺の路上で過ごして子供産んで名前を付けたら即死亡。


 いやいやいや、色々無理があるし突っ込みどころも多すぎる。

 しかもその後ヴォルデモート自身が父親殺してるし……。おいおい……。確かに……確かに、この作品の母親たちはほとんど全員、人間味が深い。迷っているのではなく、悩んでいる、といった表現が正に適切だろう。どうにもならない問題に、どうにもならない奴らに、どうにもならない環境に悩みまくっていることだろう。

 だからこそ薄っぺらい紙きれの中にある黒いインクで書かれたペラペラのキャラクターではなく、発言や態度に至るまでその奥底にある人間性が溢れているのだ。わざわざそのまま直接的に描写をせずにだ。このキャラクターはコレコレこういう心配をして、こういう考え方をして、こういう発言にはこのような意図が~なんて書かなくても伝わってくるのだ。


 だが、あまりにも全ての問題点を外部に依存し過ぎている。

 これを歪みと言わずに何というのだ。


 例えば作中最も多く登場する母親キャラクター、モリー・ウィーズリーに焦点を当ててみる。こんなに分かりやすいキャラクターも中々いない。


 彼女は家族の安否が常に心配だ。心配し過ぎて結構な頻度で暴走する。そりゃあ、あんな世界で生きているなら心配して当然だが、逆に言えばそれ以外で悩んでいる様子はない。これは、それがこのキャラクターの生まれた意味だからだ。

 作者から、家族の安否を心配する大家族の円満夫婦で、母親のいないハリーが暖かい家族とはどのような存在かを認識させる良い例として生まれたわけだ。逆に言えば、それ以外の要素は無駄そのものであり、必要のないものだから切り落としている。自分の中にある自分の問題について全く一切これっぽっちも悩んでいないし、考えてもいないし、改善しようとも思っていない。脇役にそこまで労力をかける必要などないからだ。心配性な母親という分かりやすい一面だけあれば良い。

 

 現に家族関係以外で悩んでいる描写がない。

 ロックハートに夢中だったこと、新聞読んでハーマイオニー相手のお菓子を小さくしたこと、フラーとの嫁姑問題など、かなりコミカルに書かれている。大体彼女が悩んでいるのは家族の安否に双子の成績、末っ子の将来だ。彼女の頭の中には常に大なり小なり家族関係の悩みがある。そればかりが埋まっているわけだ。

 ……私にとっての執筆か。今でこそ余裕をもってそう思うが、子供の時「いくら何でも心配し過ぎでは?」と思ったものだ。他にも「こいつ、もしかして他人を心配することで自分の問題点に目をそらそうとか思っているアメリカンヒーロー系なのかー?」とも思った時もある。当時の私は嫌なガキだなぁ……。


 だからこそリディクラス連続失敗シーンは名場面だと思う。

 初めて自分の弱点を目の前に容赦無く突き付けられて、頭では分かっているのに感情が溢れてきてしまい、泣いて喚きながら呪文を唱えるその姿よ。

 そしてその後に自分の情けない姿をハリーに見られて意気消沈しながら自らを卑下するその姿よ。

 その場面を見てやっと母親キャラクターではなく一人の人間に見えたので当時は感動した記憶がある。あの場面を見たからこそ、フレッドの死を乗り越えた事にも納得ができるというものだ。でなければ戦いが終わるまでフレッドの死体から永遠に離れない姿を見なければ子供の頃の私は全く納得出来なかっただろう。こいつの心はそこまで強くないはずだー、とか言ってね。


 まあ流石に覚醒し過ぎてベラトリックス殺したのは流石にやり過ぎだと思うが。

 いくら何でも戦闘力が天と地だろう……。

 ベラトリックスも何であの場面で慢心しているんだ……シリウスとの対比なのは分かるが、いくら何でもあの状況で慢心はしないだろう。仲間がやられまくってヴォルデモートでさえ油断せずにマクゴナガル、キングズリー、スラグホーン相手にやりあってるのに何で自分は遊ぼうと思うんだ……。モリーがキレてお退き! と言って目の前に来た時点で、お前が退け! 他のクソども殺せないだろうが! でアバダ打って終了だろう……ベラトリックス、産後なのに何故あんなにハイテンションなんだ……? まあ初見の時はやりたい放題の悪役の一人だったから芸術的な死に方してくれてありがとう、と思っていたが……よく考えたら無理がある。一巻の飾り付けを変えねばならんのう、と似た雰囲気を感じる。困難を乗り越えたからご褒美だ! と脳死で喜ぶとするにはちょっと無理がある。やっぱり賢者の石や死の秘宝より秘密の部屋が好きだな。また喜ぶドビーが見たい。



 ……と、子供の頃の私はそう思っていたのだ。高校生くらいまでか?

 だが流石に今は思っていない。私はもう28才なのだ。もう最終巻を読み終わってから15年になりそうだ。この年になってから、もうそんな細かい所に突っ込む気も起きなくなっている。

 なんだが疲れてきた。考察って凄く頭を使うからここまで来るとボーっとしてしまう。

 良いじゃないか。十分すぎるくらい最高の名作じゃないか。

 ハリーの蛇語とリドルの日記と分霊箱、バジリスクの目と嘆きのマートルとハグリッド、同じく牙の毒と不死鳥の涙とグリフィンドールの剣、ディメンターとシリウスの脱獄、ハリーの血とヴォルデモートの復活、予言とハリーの運命、スネイプとリリー、シリウスの弟とロケット、3つの死の秘宝、最後にニワトコの杖の真の所有者……。


 100点の答案用紙を見て、こう書いたら120点なのにー!

 と文句を言う姿なんてお前は何様なんだと思う。

 でも神秘部のシリウスの飲み込んだ謎のアーチとタイムターナー関連はもう少し何とかならなかったのかな……でも扱うの難しいから仕方ないよね……。

 

 なんにせよ私の人生を変えた物語であることには変化がない。

 これからも大いに参考にさせて頂く……5000文字も書いてしまったが不思議と後悔していないし書き足りない。

 今日も執筆だー!

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