四話 哀しみ
目が覚めるとどこかの木の洞窟? にいた。
「起きたのね良かった」
「母ちゃん……大丈夫かな……」
「クロも付いてるから何とか逃げれてるといいけど……」
二人の間に沈黙が流れる。
「そういえばシロさん何か小さくなりました?」
「体の大きさも変えれるし一応人にもなれるのよ。後シロでいいわよ」
「そうですか分かりました。色々と便利ですね」
「とりあえずは体を休めましょう。その間は私がお世話するわ」と言ったシロが白い服を着た美人な女性に姿を変えた。どこか母ちゃんに似てるような気がする。
数日の間俺はシロに食事や包帯などを変えてもらいながら母ちゃん達の帰りを待った。
シロの看病のおかげもあり体はすっかり回復した。
すると大きな音と共に黒い竜が見えた!
「クロその体……」クロの体はボロボロで翼には穴が開きひどい状態だった。
「今、体を治すわ!」
「いや、それより……凪何とか連れ帰った顔だけでも見てやれ……」
クロの口から母ちゃんが出てくる。良かったどこにも傷が無い! 無事で帰って来れたんだ!
「母ちゃん凪だよ良かった戻って来てくれて。あ、そうだ今ご飯の用意するよここの所ずっとシロが作ってくれてたからねあっちに移動しようか……」
ブランと力が入らないいや、入ってない母ちゃんを抱き上げ進む……。
「凪お前の母さんはもうs」「黙ってよ! クロ! 戦って疲れてるだけだよご飯食べたら元気になるんだから」
泣き崩れるシロ……。
「母ちゃん座ろっか疲れたろ?」
倒れる母。
「母ちゃん寝よっか」
一緒に横になる。
「母ちゃん寒いよな」
どんどん冷えてく母。
「母ちゃんあの時言った言葉は違うんだ」
無言の母。
「いや、違わない今も愛してるよ……」
母を抱きしめる息子。
「凪起きたか腹減ってるだろう食え」
細見だがしっかりと鍛え上げられてる事が分かる容姿をした男性が焚火に照らされながら話し掛ける。
「クロだよな?」
「シロと同じだ人に姿を変えただけだ特に気にするな」
「あ、あれ母ちゃんは?」辺りを見渡すと草のベッドの上に横になり周りを花や木の実、果実で囲まれていた。
「これは……?」
「シロだあいつは本来、海の竜だったから俺より思う所があるんだろう」どこか遠くを見名前つめるクロ。
「その主みたいのが絆を結んだ竜にはいてそれが母ちゃんにとってはシロだったって事か……」
「絆の形はその人間と竜それぞれにあるから一概には言えないが海とシロは主従関係ではなかった……そうだなまるで親子のような関係だったな」
「親子か……クロと母ちゃんはどうだったんだ?」
「俺か……口うるさい母親だな」
「ははっそれは分かるかも」
「じゃあ、俺等は兄弟みたなもんか」
「だな。後は俺達にも父親のような存在がいた。それがお前の父親だ俺はその父親と絆を特に結んでいた」
「父ちゃん? え、クロは本来父ちゃんの竜だったの?」
「そうだ俺とシロは元々ダンジョンの最上階に居たんだ。そこに二人の人間がやってきた」
「まさかそれって」
「そうお前の両親だ」
「なぁ! クロ父ちゃんの名前教えてくれよ」
「静だ」
「静……それが父ちゃんの名前か! 教えてくれてありがとう」
「別にそれぐらい気にするな」
「クロさっき言ってた本来の竜と他の竜だったら何か違う事あるのか?」
「竜の強さをより引き出す事が出来るその分エネルギーや気などは使うがな」
「そっか。俺気になってたんだけど何で母ちゃん最期シロじゃなくてクロと戦ったんだ? だって本来の竜はシロだろ?」
「それは聞かなくても分かるだろ。何よりお前の事を一番に守りたかったんだ。だからシロじゃなくあの時俺と戦う事を選んだんろう」
「……俺にもっと力があればせめて一人でも逃げる事が出来てたら母ちゃんが死ぬ事なんて……」
「もう終わった事だ後悔するのは分かるが海がそれを望むと思うか?」
「いや、前に進みなって背中を押してくれる」
「分かってるならいい少しシロの様子を見てくれないか?」
「あ、うん分かった」
静お前の息子はちゃんと成長してるぞ今度こそ何があってもお前達の息子は死なせやしないこの身に変えても……な。
「シロその……大丈夫か?」
「えぇ……」
目を腫らし腕にはまた果物などを抱えていた。
「俺がもっと強かったら母ちゃんは死ななかったかもしれないのに……ごめん」
「謝らないで……兇が強かったのよ……」
「うん……」
沈黙が流れる……。
「凪強くなりたい?」
「うん、もう誰も失わないぐらい強くなりたい!」
「そう……クロにも伝えておくわね」そう言うと先に洞窟へと向かって行った。
「シロごめんなでも、俺強くなるよ……」
「クロ凪が強くなりたいって言ってたわ」
「やっぱりかあいつがもう誰かを失って泣かなくて済むぐらいにはしてやるさそれに兇だけは許せんシロもしもの時は分かってるな?」
「えぇ貴方となら構いません」
「凪は勿論鍛えるが俺達も準備はしておこう」
「はい」