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探検大会~終幕~

 洞窟を出ると、何故か目の前には、見覚えのある噴水が広がっていた。


「幻覚魔法って、凄いですね…。こんな魔法が使える方ってどんな方なのでしょう。」

 ジュリアは、魔法をかけた者が気になるらしい。

 他のメンバーも驚きに目を瞬かせながら、周辺を見回している。


 暫くの間、周囲の確認をしていたジークリードは、危機は無いと判断し、全員に声を掛け歩みを始めた。


 B校舎裏から中央棟に向かう道の途中にいくつかの罠が仕掛けられていたが、ライラとクラーロのお陰で、全員、無事に中央棟へ辿り着いた。


『中央棟の2階』に入ると、ホールの中央に『緑の箱』が置いてあった。


「随分とあからさまだな。ここまであからさまだと罠の可能性もあるな…。俺が箱を開けるから、何があっても対応できるように各自気を引き締めておいてくれ。」

 ジークリードは全員に目配せをして、ひとり中央の『緑の箱』へ向かった。


「3,2、1」の合図で蓋を開けると…


 中から黒い(もや)のようなものが飛び出し、ジークリード以外の後ろに控える生徒に向かってきた。


「『土壁』っ!!!」

 瞬間、ルナティアの声が響いた。するとジークリードを除く全員の前に壁ができ、黒い(もや)のようなものをはじき返した。


「良くやったルナティアっ!『我が手に剣となり宿れ、炎剣(フレイムソード)!』


 黒い(もや)は弾かれた直後、ジークリードの利き手に現れた炎の剣によって真っ二つにされて消えた。そして消えた(もや)の中から、紙が1枚、ホールの床に落ちた。


 ルナティアが壁を消すと、全員がジークリードに駆け寄った。

 その間、ジークリードは紙を拾い、そして読み上げた。

「『次の段階(ステージ)』…?」


 読み上げたと同時に、ホールの床が目映く強く輝きだし、全員が目を瞑った。と、同時に身体が(くう)に吸い上げられる感覚が襲ってきた。

 吸い上げられた身体は、ゆっくりと地面に下ろされ、辺りの輝きも次第に落ち着いてきた。


 ルナティアがゆっくりと目を開けると、そこは見たことの無い場所だった。

「「ここは…?」」

 ルナティアを含む1年生が辺りを見渡しながら疑問を口にする。


「…闘技場だ。」

 冷静な声でジークリードが話す。


「ここは学園内ですの?こんな場所があるなんて知りませんでしたわ…。」

 どうやら2年生も初めて来たらしい。


 今、ここの闘技場にいるチームは、生徒代表がいる、金、銀、白、赤、緑、青、黄と、成績上位者が代表を務める赤紫と黄緑の10チームのようだ。


「ここで何をするのですか?」

 『闘技場』と聞いて、少し弾んだ声でカエラが質問するのと同時に、会場にアナウンスが流れ始めた。



『皆様、ようこそ。ここに集うチームは、各条件をクリアしたポイントの多い10チームです。それでは今からポイントを発表します。金チーム、500P、銀チーム、350P…』

 アナウンスでのポイントが発表されると、目の前にポイントの換算一覧が記されたボードが現れた。


 ポイントの内訳は、

  洞窟でのドアに指定されて入り、条件をクリアして合流できた人…4人×50P

  合流後、指定時間内に脱出できた人…10人×10P

  ホールからこの場に転送できた人…10人×20P

と、なっているらしい。


 ポイントは一人ひとりに付くのね…と思いながら、他のチームが居る方を見てみると、全員残っているチームは、金チーム以外はなかった。


「他のチームの人数が少ないわね。」

 ルナティアがライラにこそっと話すと、

「ええ、多分、試練の途中でリタイアしたり、時間制限を超えてしまったりされたのではないでしょうか。」

 ライラの言葉に頷いていると、誰かの視線を感じた。

 ルナティアが、視線の先を見ると遠くでレグルスが微笑んでいた。

 兄の無事に嬉しくなり、思わず手を振っていると、

「…何をされてますの?」

 怪訝な声でエリカに睨まれた。

「お兄様だとしても、今は敵ですのよ?愛想を振りまいていてはいけないと思いますわ。」

「そうですね…、申し訳ございません。」


「そんな言い方、しなくてもいいじゃないか。ルナティア嬢と兄君は仲が良いんだもの、お互いの無事を喜んでも良いと思うけど。」

 やり取りを聞いていたカエラが言い返す。

 だが、ルナティアは、

「カエラ様、私がいけないのよ。トニトルス様のおっしゃる通りだわ。これからここで戦うかもしれないのだもの。トニトルス様は気を緩めている場合ではない、と(いさ)めてくださったのよ。…私、チームが勝てるように頑張りますね。」

 グッと手を握り、にっこりと微笑むルナティアを見て、エリカが目を見開いた後、やや頬を赤らめて顔を背けたとほぼ同時に、各チームのポイント発表が終わった。



『では、これからここで行う()()()()()をします。対戦相手はこちらでランダムに選ばせていただきます。戦闘に出る者や出る順番は、各チームにお任せしますが、各チームとも、9名を選出してください。内、ひとりのみ、2戦まで出ることを可能とします。また、使用魔法は初級まで、武器はこちらで用意した魔具のみとします。戦闘の勝敗ですが、装備用魔具に装着された指定の箇所を1か所でも破損さたら終了です。棄権をする場合は、ご自身で指定の箇所を破損してください。尚、装備用魔具の指定の場所は、魔法や剣で攻撃をされると色が変色する魔法がかけてあります。説明後の10分間、対策の時間とします。チーム内で相談の上、出場選手と順番を決め、近くの箱に入れてください。時間内に箱に情報を入れなかった場合は、()()()()()となります。また、人数が足らず、対戦相手が居なといところは、不在と記入してください。自動的に不戦敗といたします。

 最終的に9戦中、勝った回数が多いチームが勝利となります。勝ったチームには、勝った回数×100Pポイントが加算されます。尚、ここに集った各チームには、勝敗に応じた宝をひとつお渡しします。…では、今から対策時間とします。始めっ!』


 その号令を合図に、先ほどポイント換算が出ていたボードに、カウントダウンが現れた。


 金チームは話し合いの結果、初戦がジークリード、2番手をエリカ、3番手をカエラ、4番手をクラーロ、5番手をライラ、6番手をフィニス、7番手をリヒト、8番手をジークリード、最後の9番目をルナティアと決め、指定の箱の中に入れた。カエラとフィニスとルナティアは棄権をしていい、ということも決めた。


「ルナティアちゃん、さっきの防御魔法は凄かったけど、無理せずに棄権しても良いからね。」

「ああ、8番目までに5勝すれば問題ないからな。」

 リヒトが言う言葉に、ジークリードも頷く。

「うんうん、絶対、私も勝つからさ、もちろんライラもでしょ?だから、ルナティア嬢は大船に乗ったつもりで見ててよ。」

 カエラがウィンクをして言うと、

「ふふっ、分かったわ。でも、皆も無理はしないでね?」

 ルナティアが笑顔で答えていると、対策時間の終了の合図が鳴った。


 合図の後、ランダムに決められた対戦表が中央に表示された。

 表を見て、ルナティアとジークリードはホッとしていた。対戦チームが赤チームだったからだ。


 流石に、レグルスのいる銀チームだと、勝率がかなり下がる。現在、学園に通う生徒の中で、レグルスに勝てる生徒はいないからだ。…あるとしたら、ルナティアが唯一勝てるかもしれないが、チーム戦の時点でレグルスが引くことは無いだろう。

 とりあえず、最悪の組み合わせは回避できたのだ。


 そして闘技場内にいくつかある対戦場所で、次々と対戦が進んでいき、いよいよ次が金チーム対赤チームの戦いになった。


 赤チームの代表は、オリガル・ノーランドだ。

「…全く()()()()()()よ。よりによって金チームだなんて…。」

「銀チームよりは()()だろう?」

「いや、(レグルス)チームが嫌なのはそっちだろう?俺は(ジーク)チームの方が嫌だったよ。だけど…簡単には負けてやらない。」


 赤チームのメンバーは、7人が残っている。

 初戦は、女子生徒が出てきて、ジークリートと挨拶だけをして、不戦敗を宣言した。

 2戦目は、同じように女子生徒だったが、カエラも不戦を希望したので両チーム引き分けとなった。

 3戦目は男子生徒が出てきて、カエラとの戦闘となった。数分間の戦いの結果、僅差でカエラが勝った。

 4戦目はオリガル・ノーランド対クラーロで、お互いに魔法での戦いとなったが、初期魔法でも使える種類の数の差が出てしまい、クラーロが負けてしまった。

 5戦目と6戦目は赤チームの生徒不足による不戦勝となった。


 7戦目のリヒトとの相手に、再度、オリガル・ノーランドが出てきた。

「うわっ、俺、ついてないなぁ…よりによって生徒代表の人とだなんて…勝てる気がしないんですけど。」

「オリガルは基本魔法で戦うはずだから、2戦目のカエラ嬢のように剣を中心に戦えば大丈夫だ。」

 不安そうに呟くリヒトにジークリードが助言をする。

「えー…俺、剣はあまり…。」

「…分かった。まぁ今の時点で4勝しているし、無理せずに棄権してもいい。」

「ありがとうございます!…じゃあ、俺、棄権します。」

 リヒトはOKの返事をもらうと、さっさと対戦場に上がり、不戦敗を宣言して戻ってきた。


 8戦目、ジークリードの対戦相手は2年の男子生徒だが初めて見る生徒だった。


(去年の武術大会には出ていなかったはず…いや、もしかしたら、オリガル同様、魔法が得意なのかもしれない。いずれにせよ、油断は禁物だな…。)

 ジークリードは、自身を戒めながら対戦場に上がり、相手に一礼をする。

 相手も礼を返し、対戦が始まった。


 開始とほぼ同時に、相手の生徒が飛びかかってきた。ひらりとかわし、同時にスピード強化の呪文を唱える。動きが早くなったジークリードは、相手の背後にまわり身体を押さえ首に剣をあて、試合終了となった。


『先に5勝しましたので、金チームの勝利です。残りの対戦は、負けたチームの要望により実施の有無を決定します。実施しない場合は、両チームとも引き分けとします。赤チーム、どうされますか?』


 ジークリードとライラ、遠くから見ているレグルスが、オリガル・ノーランドの口から発せられる言葉を、緊張した面持ちで待っている。

 オリガル・ノーランドは、残ったひとりの生徒と話した結果、対戦しない選択をした。これにより、金チームには600P、赤チームには350Pが加算され、それぞれに本来の目的である、『宝』が渡された。


 他の5対戦も終わった。

 闘技場での勝利チームは、金、銀、緑、黄、赤紫という結果になった。



『では、今から校庭に転送します。全員、中央に集まってください。』

 アナウンスに従い、闘技場にいる生徒全員が中央に集合すると、また、目を開いていられないほどの輝きが生徒を覆った。輝きが収まり次に目を開けると、探検大会の開会宣言が行われた場所にいた。



 開会宣言の行われた場所に着くと、早速、全大会の結果発表が行われた。

『全チーム、お疲れさまでした。今年の結果発表に移ります。第1位、1600P、金チーム、第2位、1450P、銀チーム、第3位、1400P、黄チーム…。』


 読み上げられたチームは、歓声を上げ、お互いに抱き合ったりして喜びを表していた。

 勿論、第1位の金チームも例外ではなかった。

 喜びを分かち合うため、ルナティアに抱き着こうとしたリヒトは、ジークリードとライラによって阻まれていた。同じように、意識が阻むことに向いている隙にジークリードに抱き着こうとしたエリカは、あっさりと躱され、その先にたまたま立っていたフィニスに飛びついた形になってしまった。気まずいエリカはフィニスに説教をして誤魔化している。


 順位発表が終わると、最後に学首から総評が述べられた後、“1位~5位チームに所属したメンバー全員に前期成績への加算報告”があり、今年の探検大会(エクスプロラル)は幕を閉じたのだった。

やっと探検大会が終わりました。こんなに長くなる予定じゃなかったのに…。

お付き合いくださった皆様、ありがとうございました。

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