第9撃 悲劇と別れ。
龍って言うたらやっぱり鳥山明先生ですね。
誰がパペット小僧や!
どしどし感想お待ちしております。
療養所から酒場まで距離としておおよそ100m。
療養所の外からでもはっきりと【やつ】
の姿を認識することが出来た。
全長はゆうに10mはくだらない。
『これって現実だよな…。』
『なんで...おしまいだわ…逃げて。逃げてヨビト!』
生まれて初めて目の当たりにした龍。
昔話程度に聞いていた存在が今目の前に...。
震えた俺はその場から動くことが出来ない。
蛇に睨まれた蛙ってこういうことを言うんだな。
叫ぶユリスの方に振り向くことすら...。
それでもユリスの表情を見ずとも声から怯え恐怖している様子がはっきりと伝わってくる。
天と地。
もし、目の前の龍が全知全能の神ゼウスなら今頃俺含め人々は泣いて祈りを捧げていたろうに。
神様ってのは残酷だ…。
そんな絶望の最中
酒場から俺たち目掛けて走ってくる男が1人いた。
『ヨビト!』
何やら聞き覚えのある声だ。
『あっ…。トール!』
憎くて憎くて仕方のなかった存在なのに、
こんな時にはそんな感情無くなっていた。
(生きててよかった…。)
純粋にそう思った。
『無事で何よりだ。ヨビト!』
『酒場は?マスターはどうなった!』
『酒場は崩壊したよ。マスターも…。って話はあとだ!今は俺たちで力を合わせてあいつを撃つしかっ!』
(俺には力なんてない、勝てるわけない…。)
『落ち着け、ヨビト。今までお前が俺に言った言葉は全てハッタリか?自分の大切な場所を失ってまだお前は逃げるのか?』
(クソっ分かってるよ…。…俺だって!俺だって力があれば…!)
『バッハッハ!なんてな予備~♪ 冗談だよ。お前は後ろの女の子だけ連れて逃げろ。俺のMPがまだ残ってる内にお前達だけでも遠くへ飛ばす。』
『えっ?』
『奴がこっちに来るのも時間の問題だ。あんま長話は出来ねぇが、その子の手だけは離すなよ。約束だ。』
『待て、お前はどうすんだよ?お前一人であんな化け物に勝てっこねぇよ!一緒に逃げよう!ガンガンいこうぜってのも悪くはねぇが作戦会議も大切だ!1度逃げてから立て直すってのも…。』
『安心しろ!ヨビト。俺もそのつもりだ。出来うる限り奴を叩く。そしてトンズラだ!バッハッハッ!』
自分よりも何倍もある龍を見て強さを見てこの街の惨劇を見て!なおトールの心は折れていなかった。
『時間が無い。それじゃあな…ヨビト。』
『待て!まだ話が!聞けてないこともいっぱい!』
【光速魔法 繋がりし道】
トールが唱えた魔法によりだんだんと俺とユリスの体は光に包まれていく。
『じゃあなヨビト。』
『トール!トーーーール!!!!』
先程まで療養所の前にいたヨビトとユリスは一瞬のうちに姿を消し…ただけではなく、トール以外のまだ生きているアラクタール城下町の住民も全て光に包まれ、姿を消した。
(ふぅ…。やっぱこれだけの人数となると俺程度のMPは全て無くなっちまうか…。)
MPを消耗した人間に残された力なんてものはせいぜい微力程度。
依然目の前で暴威を振るう龍の姿を見てトールは1度大きく深呼吸し、覚悟を決めた。
『バッハッハ!気高き龍とは一度手を合わせてみたかったものだが…。』
トールの周りには先程まで生を当たり前に過ごしてた人々の無惨な死体で溢れていた。
いつも良くしてくれた八百屋のおっちゃん。いつか剣技を教えてやった小僧。討伐から帰ってくるなり執拗に内容を聞いてくるおばちゃん。あの人は…。
『しっかし、俺の大切な街を人間をめちゃくちゃにしてくれたなぁ…。』
辺りを見渡すトールには先程までとうってかわり憎悪・怒りの表情に満ち溢れ握った拳からは血が滴り落ちていた。
『龍よ…。覚悟はできてるか?』
瞬間、トールが構えた剣の周りに黒い炎が渦巻き出した。
【炎廻 火の鳥】
怒りを込めた全身全霊の一太刀が龍の中腹を切り裂いた。
痛みに暴れた龍の尾が辺りの家々を肉屋を教会をそしてトールを襲う。
【もう一度、酒場で皆とバカ騒ぎしたかったな…。⠀】
グチャ…。