第11撃 重なる
フィギュアが大好きなのですが金ないです。
5月くらいにオベリスク届きます。
助けてあげて
『やっぱり俺はあいつの所へ向かう!。このまま逃げて別の街でハーレム生活……ってのも。いいや、そんなのは俺の性にあわないんだよ!異次元の存在を見てなおあいつは逃げなかったんだ!』
なんということでしょう。
先程まで嘆き、絶望の底にいた男から決意に満ち溢れた男に変わっていた。
『ハーレム?なんのことか分からないけど確かにヨビトのスキルがあれば龍なんて…。
分かった!私も行くわ!ところでここからアラクタールまではどのくらいなの?急いで行かなくちゃ。』
少しヨビトは言うのを躊躇い答えた。
『飛ばして2日だ…。時間が無い!今すぐに向かう!』
ユリスは踏ん張った足から力が抜けたようにその場に座り込んでしまった。
『2日…。2日じゃ間に合わない。龍を止められない。』
今にも泣きだしそうに声を震わせている。
『あぁ、確かにそうかも知れないな。
それでも!俺は行く。』
そんな嘆くユリスを前にもヨビトの心は折れなかった。
ダイヤモンドは砕けない!
そんなヨビトを見てまたユリスの表情からも少しずつ不安が表情から消えていくのを感じる。
『…。そうね。今は下を向いてる場合じゃないもの。アラクタールを守らなきゃ…。分かった。私もっ!』
『ユリス。お前はここにいるみんなと一緒に俺の帰りを待っててくれ!この草原を北にまっすぐ抜ければ先にヒロス村がある。ちっさい村だがこの人数ぐらいなら泊まれる宿はあるし、傷の手当もできる。みんなのそばについていてあげてくれ。俺が帰ってくるまでここにいるみんなを元気づけてあげて欲しいんだ。』
『でも…待つだけなんて私には。見てるだけで何も出来ずに…もう大切な人を失うのは嫌なの!』
涙ぐむユリスは精一杯言葉を振り絞りヨビトに伝えた。
『私も連れてって!いいえ、連れてってください…。』
目の前で涙ぐみ懇願する女性を前にヨビトの反応は少し違った。
顔はニヤケ、鼻の下は伸びきっている。
まるでピッツァの上で天高く上るチーズのように。
『大切な人か…。うん、悪くないな。』
『ちょっと!からかわないで!』
少し頬を赤らめるユリスを見て続けざまにヨビトは微笑みこう言った。
『ユリス、俺のスキルはなんだったっけ?』
ヨビトからの唐突な質問にユリスは少し戸惑
いながらも確認するように言葉を発した。
『永劫…でしょ?』
か細い声で答えるユリスを前にヨビトは握った拳で勢いよく胸を叩き自慢げに口を開いた。
『そう、永劫だ!さっきはいきなりのことにちょっとばかし腰を抜かしスキルを使いぞこなっちまったが…。もう大丈夫!俺様の紛うことなき聖なる光で龍をぶっ倒してきてやるよ!』
『それに約束しただろ、ユリス。アラクタール国に永遠の平和を訪れさしてやるって!英雄になってやるって!
俺を信じろ。』
昔からヨビトの声は他の人よりも比較的よく通る声だった。
元々はユリスを安心させるために伝えた言葉だったが、周りにいた人々にもその声は届き人々にも元気を与えていた。
(もちろん俺にはそんな大層な力なんてない。
あるのは『ハーレム呼び』ただ1つだけ…)
それでも今は、今だけは少しでもユリスを元気づけてあげたかった。
『それじゃあ行ってくる!ユリス…みんなを頼んだぞ!』
『こっちは任せて。ヨビトもくれぐれも無理はしないでね!あ、あとこれ。』
目の前のユリスは出会った頃のように一点の曇りもない瞳で俺を見ながら自分の手首につけていたブレスレットを取り外した。
『私にとっては大切なものなの。これも一緒に持って行って!』
ユリスから渡されたそれはただの鉄の輪っかのようにも見えるが…真ん中には眩く光る小さな鉱石が入っていた。
『ありがとな。大事につけてくよ!』
ヨビトは早速、右の手首につけ、頭上に表示されたスキル名よりも天高く右手を突き上げた。
『それじゃあ皆の者アラクタールのことはこのヨビト様に任せろ!必ず龍を倒してくる!』
ヨビトの言葉に次第に周りにはアラクタールの人々が集まり大きな声援が巻き起こっていた。
右手を高々に突き上げたままユリス・人々の応援を背にヨビトはアラクタール目掛けて走り出した。
そのヨビトの背でもまたユリスは胸に手を当て心からお祈りし、人々はヨビトに希望を託すように深深と頭を下げていた。
(この先どうなるかなんて俺には分からない。でも、必ず助けるんだ。もう逃げない!待ってろよ。トール。)
草原を駆けるヨビトの姿が段々と遠くなり、アリよりも小さくなる中でもその姿が見えなくなるまでユリスは祈りを捧げていた。
しかし、実の所もう1人最後の最後まで見送った人物がいたのだ。
彼女は感謝や不安といった類の感情で見ていた訳では無い。
一言で例えるなら『驚き』
彼女の名はエリーヌ。何を隠そうアワセ草原にてヨビトに最初に感謝を伝えに来た老婦人である。
後に彼女はこう語った。
彼が人々の声援を背に駆けゆく姿はまさに英雄ガルマ様そのものだった。と…。




