第10撃 懐かしき思い出。
最近亜鉛飲み始めました。
アポトキシン4869。
これを飲めば見た目は子供?
いいえ。僕はおっちゃんになっちゃいました。
関係ないですがコナンで好きなキャラはウォッカです。
『ここは…。』
目の前には大きな樹木が1本。
樹齢100年はくだらないだろう。
その樹木を囲うように赤、白、黄色の花々そして草々が見渡す限り遠くまで咲いている。
先程まで目の前で見た光景は夢なんじゃないか…そう思ってしまう。
いや、思いたかった…。
草花が生い茂るこの広い草原にはヨビト、ユリス含め先程までアラクタール城下町にいた人々で溢れかえり悲しみが皆を包んでいた。
家族を亡くし憔悴している者、今ある生を実感し安堵する者、夢だと現実を認めない者、
(トール…。俺にも力があればっ!)
そして己の無力さを痛感し苛立ちを隠せないでいる者。
そんな中1人の老婦人がヨビトの方に近寄り、静かにこう言った。
『あなた方ですよね。
我々を救っていただいたのは…
本当に…ありがとうございます。』
深く頭を下げたまましばらく顔を上げなかった。
下げた顔までは見えないが俺には分かる。泣いていた。
おそらくこの人もまた家族を…。
老婦人がヨビトに感謝を伝えたのを皮切りに周りにいた人々もヨビトの方へ集まり、次第に感謝を伝えだした。
『すみません。俺は何もしていません。龍を見て俺の体。全てあいつが…。いえ、トールがしたことなんです。感謝は直接トールに言ってあげてください。』
『友達は…。トール様は?』
『あいつとは別れる直前に約束しました。
きっとまた合流できるはずです。』
『それならば良かったです。我々も安心しました。』
ヨビトの周りにいた人達も一時の安心を得て
負傷した人の元へ戻って行った。
(トール…こんだけの人数を救ったお前は立派な英雄だよ…。)
『それにしてもトールのやつ…こんなすげぇ力を持ってたんだな。』
『恐らくこれだけの人数を転送するとなるとかなりのMPを消費する。きっと彼は普段から相当な鍛錬をしていたのね…。』
『あぁ、だろうな…。』
悔しかった。今まで何もしてこなかった自分に。あの時何も出来なかった自分に。
(強くなりたい…。)
瞬間、ヨビトを慰めるように優しく冷たい風が草花を揺らしヨビトの頬を撫でた。
『それにしてもこの場所は?』
ユリスは不思議そうに当たりを見渡す。
『ここは、俺とトールの故郷だよ。ヒロス村近くのアワセ草原。思い出の場所だ。』
(昔は、よくあいつとここで遊んだっけ…。)
懐かしい記憶がヨビトの頭を駆け巡る。
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ー10年前ー
『喰らえトール。英雄の一撃!』
『バッハッハ!効かん!』
トールが軽やかに俺の技を避け
手に持つ木刀を俺目掛けて振り下ろす。
『これで記念すべき俺の100勝!』
小さな木刀が俺の頭に
クリティカルヒット。
『いてぇ!』
暴れ回る俺を見て笑うトール。
それにつられて気がつけば俺も笑ってた。
『ヨビト。俺達はなれるかな?テレビで見たあのガルマ様のように。英雄に!』
目を輝かせながら話すトールに俺は自信満々にこういった。
『なれるさ!いやなってやるよ!みんなを笑顔で救う英雄に!
って油断は良くねぇぞトール!記念すべき俺の一勝だっ!』
大きく振り下ろした一撃が油断したトールの頭頂部にクリティカルヒット。
『よっしゃああ!』
『いってぇ~。汚いぞ!ヨビト!』
草原を照らす大きな夕日が俺たち二人を見て笑ってるように思えた。
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