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占いと地震【3】

 休日の午後にしては珍しく、エレベーターの中は無人だった。ここに来る時は家族連れを中心に満員に近い人数が乗っていたので、どこか拍子抜けしてしまう。

 沙彩が現在位置を示すフロアの光を見ていると、不意にエレベーターが途中で止まった。


(誰かが乗ってくるのかな?)


 けれども現在位置を占めす光は、どこのフロアも点灯していなかった。


「えっ!? 途中で止まったの!?」


 沙彩が慌てて、外部と連絡が取れる連絡ボタンを押すが、何度押しても一向に反応しなかった。


「故障かな……。ど、どうしよう……」


 鞄からスマートフォンを取り出すも、電波は入っていなかった。


「誰か!! 誰かいませんか!?」


 ドンドンと何度もエレベーターのドアを叩くが、各フロアの途中で止まったからか、外はしーんと静かだった。

 すると、今度はエレベーター内が激しく揺れ始めた。


「やだ!? 地震!?」


 揺れはだんだんと大きくなって、とうとう沙彩は立っていられなくなった。

 エレベーター内の手摺りにしがみついて、及び腰になったのだった。


(こんな時に……)


 狭いエレベーター内に自分一人しかおらず、スマートフォンが通じない以上、助けも呼べないという状況もあって、沙彩はパニックになった。


(怖い……怖いよ……。誰か……誰か……!)


 壁際の手摺に掴まって泣きそうになっていると足場が無くなった。


(えっ……)


 驚いている間に、沙彩は下に落ちて行く。

 地震の影響でエレベーターの床が抜け落ちたのだろうか。先程まで乗っていたエレベーターがどんどん上に遠ざかっていった。


(私、死んじゃうのかな……?)


 やっぱり、占いなんて嘘だった。

 幸運に導いてくれる運命の男性と出会う前に死んでしまうのだから。


(結局、運命の男性って、誰だったんだろう……)


 老婆は、「その運命の男性が、幸運に導いてくれる」と言っていた。


(会ってみたかったな……。どんな人だったんだろう)


 落ちている内に、だんだん意識が遠のいてきた。


(次に目が覚めた時は……)


 天国にいるのだろうか。それともーー。

 それ以上考える前に沙彩の目は閉ざされてしまう。その後、周囲の音がプツリと切れたのであった。


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