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異世界から来ただけなのに、第一王子に溺愛されています  作者: 夜霞(四片霞彩)


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エグマリスの正体・上【1】

 朝陽の眩しさに、そっと目を開ける。


「う、うん……」


 昨日までは全て夢で、起きたら元の世界に戻っていないだろうかと、淡い期待を抱いていたが、目を覚ましても沙彩が寝ていたのは、昨晩泊まった宿の部屋だった。

 ただ、よく寝たからか、昨日よりも頭はすっきり覚めていた。


「夢じゃなかったんだ……」


 内心でがっかりしながら、沙彩はベッドから起き上がると、ため息を吐きながら浴室に併設している洗面所に向かったのだった。


 洗面所に置いてあった桶に水が溜まるのを待っている間、ふと備え付けの鏡を見る。


「あれ? こんなの、いつの間につけたんだろう……」


 沙彩の左耳には、銀色のイヤーカフの形をしたイヤリングが付けられていた。

 イヤーカフには、薔薇の様な花と交差した二本の剣を象った紋章が彫られていたのだった。


(どこかで見たような気がする。でも、どこで見たんだろう……)


 水を止めると、沙彩はイヤリングに触れる。ひんやりとした金属の冷たさが指に当たった。

 外そうとしていると、浴室の扉が開いた。


「おはよう、サーヤ。早起きだね」


 浴室の扉から顔を覗かせたのは、下半身にタオルを巻いたマリスだった。

 そんなマリスの右耳には、沙彩の左耳についているのと同じ銀色のイヤリングがついていた。

 銀色のイヤリングからは、いくつもの雫が落ちていたのだった。


「あ、あ……い、イヤ〜!」


 あの後、我に返った沙彩は、上半身裸のマリスに悲鳴を上げて洗面所を出た。

 最初に洗面所に入った時に気づくべきだったが、どうやらマリスは朝早く起きて、ジョセフィーヌの世話をして、軽く身体を動かしたらしい。その際に掻いた汗を流すのに、浴室でシャワーを浴びていたそうだ。

 浴室脇の扉の前に着替えを入れた籠を置いていたらしいが、全く気づかなかった。


「ごめん。驚かせて」

「いえ。私もよく確かめなかったので……」


 服を着たマリスと、マリスと入れ替わりに身支度を整えてきた沙彩は、共同スペースのテーブルに向かい合っていた。

 昨晩、酒を被って洗って干していた服は、完全に乾いていなかった。

 ただ、他に着る物が無い以上、我慢するしかない。

 まだ湿っている洋服に気分が萎えながらも、沙彩は左耳を見せたのだった。


「ところで、朝起きたら、左耳に銀色のイヤリングがついていたんですが、マリスさんは何かご存知ですか?」

「ああ。それは、俺が身につけていたものだよ」

「どうりで見覚えがあると思ったら……」

「昨晩、風呂上がりに渡しに行ったら、もう眠っていたからね。サーヤには悪いけど、勝手に付けさせてもらったよ」

「勝手に部屋に入って、寝顔を見られたのは微妙な気持ちですが……。でも、見ず知らずの人がつけて行ったんじゃないと分かったのでいいです」


 マリス以外の人が沙彩の耳につけて行ったのなら、さすがに気味が悪くて意地でも外すところだった。

 理由がわかって沙彩は安心するが、マリスは笑顔を崩さないまま続けたのだった。


「サーヤは俺の婚約者なんだから、身につけないとね」


 サラリと言ったマリスの言葉に、沙彩は固まる。


「こんやくしゃ? 婚約者って、あの……?」

「そう。結婚を誓い合った者。サーヤの世界の言葉だと、フィアンセと言った方がわかりやすいかな」


 沙彩は真っ赤になると、大きく手を振る。


「婚約者って、私はまだマリスさんの話を受け入れた訳じゃあ……!」

「今はまだ受け入れなくていいよ。昨日も言ったけど、これから受け入れてもらえばいいだけだから」


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