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無表情の理由


それから私たちはこれからのことについてゆっくりと話をした。

私本当に殿下と再会してるのね。

それに婚約者だなんて...ずっと忘れなきゃと思っていたからまた会える約束ができることが嬉しい。


(あ、そういえば今ならあのことについて聞けるかもしれないわ)


「あ、あの殿下。気になってたことがあるのですが聞いてもよろしいでしょうか?」


「ん?なんだ?なんでも聞いてくれ」


私はふぅっと一息ついて、あのお兄様が教えてくれなかった質問をする。


「殿下はなんで皆様の前だと無表情なのでしょう?私とこうして話している時は全然そんな感じしないのですけれど...」


ちょっと聞き方が直球すぎたかしら?

それでも殿下は「なんだそんなことか」と頷いている。


「あれはあまり人に近づかれないようにするためだ。子供の頃はなかったんだが、歳をとるにつれご令嬢たちに囲まれてしまうことが増えて困っていたんだ。僕は君以外と婚約するつもりも関係を持つつもりはなかったからね。リンネの案で無表情で接するようになった途端あまり近寄られなくなったから続けているんだ」


「なるほど...」


私以外と婚約するつもりはなかったという言葉にうれしくなりつつも子供時代を思い出す。

結論からいうと殿下は子供時代からモテていた。一緒にいた私が公爵令嬢という立場だったから表立ってはあまり近づいてこなかったみたいだけど、何度私がご令嬢たちから陰口を言われていたことか。


あの時は大変だったなぁとしみじみ思う。

それでも殿下と過ごす時間が何よりも好きだった私はあまり気にしてはいなかったけれど。


「でも君の前ではするつもりはなかったんだ。余計怖がらせることは分かっていたからな、でも...」


「?」


殿下のお顔が少し赤くなっている気がする。


「でもソフィがあまりにも綺麗になっていたからつい無表情になってしまったんだ。気が緩むと顔がだらしないことになりそうで君の顔もまともに見れなかった...」


「なっ」


あまりにも予想外の言葉に私まで顔が赤くなる。

綺麗になっただなんて...。


「そのせいでソフィは震えていただろう?私が不甲斐ないばかりに怖い思いをさせてすまなかった」


「いえ...!私にはもったいないお言葉です。それに今こうして話せているので嬉しいです」


「僕は本当にソフィにまた出会えることを楽しみにしていたんだ。リンネから話は聞いていたけどやっぱり実際会うと照れるもんだな。本当にかわいい」


うう、殿下!ただでさえ顔がいいんだから照れながらそんなこと言うの反則です。

きっと今の私の顔はもっと真っ赤になっていることでしょう。


それにしてもまさかあの時殿下がそんな風に思ってくれてたなんて。

もしもまた会えた時のために少しでもよく見られるよう自分磨きしてきたかいがあったわ。

私もただ引きこもってただけじゃないのよ。

努力が実った気がして嬉しくなる。



「そうだソフィ、お願いがあ」


そう殿下が何か言いかけた瞬間、バンッと部屋の扉が開かれた。


「ソフィ!いるの!?」


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