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婚約者




(うう、緊張するわね。私どこも変じゃないかしら)


殿下を待っている間ずっとドキドキしている。

先程、お兄様と入れ替わりで王城の侍女が入ってきて身だしなみを整えてくれたから大丈夫だとは思うけど変じゃないか心配になる。


それにしてもすごく素敵なお洋服に着替えさせてもらっちゃったわ。

普段地味な服ばかりきているからあまり慣れないわね。


するとドアがノックされた。

ついにこの時が来たのだとソフィアは軽く息をつく。


「どうぞ」


その言葉にゆっくりとドアが開かれた。


「ソフィ」


そこに立つ殿下の姿を見てやっぱり昨晩の出来事は夢じゃなかったんだと実感する。

恐怖というより緊張で足が震えてしまう。


「ソフィ、もう大丈夫なのか?」


殿下は私に気を遣って少し遠くから声をかける。

その表情からは本当に心配してくれているのが伝わって、やっぱり殿下は無表情なんかじゃないわと少し笑ってしまう。


「はい殿下、ご心配をおかけしてしまって申し訳ありません」


「いや、僕が悪いんだ。ソフィのこと知っていたのに無理をさせてしまったのだから。今日はこれからのことについて話そうと思うんだが大丈夫か?」


そう言って殿下は私に少し近づいた。


「はい、昨日は突然の事だったのでびっくりしましたが今日は多分大丈夫です」


なんだか昔と変わらない殿下を見たらさっきまでの緊張も解けた気がする。

目の前に男の人がいることは怖くないわけではない。

でも殿下は私を傷つけることはないと知っているから少し安心感もあるの。


そして私たちは向かい合って椅子に座った。

これからのことって何を話すんだろう...。


「それでだが、まずソフィを僕の婚約者だと正式に発表したい」


「発表、ですか」


「ああ、今まではなんとかやってきたけど僕ももういい歳だからね。そろそろ見合いの話が溜まってきてるんだ。だから自分にはもう決めた相手がいると発表したいと思うんだが、嫌か?」


なるほど。確かにもうそろそろ普通ならば結婚をする歳ですものね。


「嫌ではございません。でも正直に申しますと本当に私でいいのか不安になります...」


「僕はソフィ以外には考えていないよ。それに発表するだけで結婚はまだ先でいい。僕らは久しぶりに再会したばかりだしね。それにまだ僕のことが少し怖いだろう?」


「そんな、怖くは...」


「いや無理をしているのはわかる。小さい頃はずっと一緒にいたんだからソフィのことはちゃんとわかっているつもりだよ」


殿下はよく見てくれてるのね...

気持ちは全然怖くないと自分では思っているつもりだったけど、体は少しこわばって心の奥底では震えている。


「それとこうやって話す時間がほしい。10年会えてなかったんだ。互いを知っていく時間が僕たちには必要だとおもう」


その提案は凄く嬉しい。

殿下と会えなくなってから私は殿下のことを何も知らない。

お兄様にもなんだか怖くて聞けなかったもの。


「私も殿下とお話がしたいです。10年の間に殿下がどのように過ごされたか知りたいです」


「ソフィありがとう。まぁいろいろ建前で僕が君に会いたいだけなんだけどね。ずっと会いたかったんだよ君に」


私は全身が熱くなっているのを感じる。殿下にそんな風に愛おしそうな目で見つめられるなんてまたキャパオーバーになりそうだ。


殿下...それは反則です...







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