第9話 クラス対抗デュエル開始
「では、今からクラス対抗戦についての説明をします。クラス対抗戦においては、デュエルを始める前に試合形式を室長同士の話合いで決定することになっています。勝ち抜き式や、クラス全員で戦ってもらっても構いません。加えて、参加人数も自由で、全員が一斉に参加してもいいですし、反対に室長同士のみのデュエルで行っても問題ありません。何か岸くんの方は希望はありますか。」
いつものごとく冷静な口調で説明をする、山高先生。
「僕からは特にありません。」
「そうですか。それでしたら、白水くんの方は何かありますか。」
「5対5のチーム戦で行わせてもらいたい。」
「わかりました。岸くんの方はそちらに関して、意見はありますか。」
「ありません。」
「わかりました。それでしたら、今回Fクラス希望の5対5のチーム戦で行わせてもらいます。岸くん、白水君、デュエルに参加する代表者5名を選んでもらってもいいですか。」
5人か。
__誰を選べばいいんだろうか。
こうやってデュエルの申し込みを受けたはいいものの、クラスに誰がいてどんな魔法を使えるかなんて、目の前の席に座っていた人すら覚えていなかった僕が把握しているはずがない。それこそ、知っているのは愛と花鳥さんだけだ。
いきなり難題に当たってしまった。
取り敢えず、クラスの皆んなに聞いてみるか。
「えっと、5人選ばないといけないんだけど、誰かやりたい人いる。」
「ウチやりたい。」
愛が手をピンと上げ真っ先に声を上げてくれた。
「愛さんがやるのでしたら、私も参加させてもらいます。」
それに次いで、花鳥さんも手をあげる。
良かった。取り敢えず知っている人が二人いて。
そう岸が安心していホッとしていると、
「えーいいね、それなら、面白そうだから、私にもやらせて。」
岸の右前に立っていた、茶髪の女の人がこちらを向いて手を勢いよく上げた。
彼女はメイクが少し濃いめであり、特に目に力を入れているのか、圧力を感じる程の大きさになっている。
「ありがとう。えっと」
「あ、美希もやるんだ。」
愛は僕の会話に邪魔するように入ってきた。
「当たり前じゃん。愛がやるなら私もやるっしょ。」
「えーありがとう!」
見ている限り、どうやら愛の友人らしい。
自分から立候補してもらってとてもありがたい。
でも、何だろう。
二日目にも関わらずこんなすぐに友人ができる愛を見ていると、何だか羨ましく感じてしまう。
っと、今はこれは関係ないか。
「最後の枠は俺がやってもいい?」
二人が盛り上がっている中、赤髪のロン毛の男がゆっくりと手を上げていた。
「お、ありがとう!もちろんこっちも助かるから是非やってもらいたい。」
「良かった。ならやらせてもらうわ。因みに俺の名前は結城円楽。多分俺のこと知らないと思うから、一応自己紹介。」
「ハ、ハハ。結城君か。よろしくね!僕の名前は、「いや知ってるよ、岸だろ。このクラスの人間だったらみんな知ってるし別に名乗らなくてもいいよ。」
「そ、そうか。」
結城君から冷静なツッコミをもらってしまった。
何はともあれ、これで無事に5人揃った。
5人選びが今回のデュエルで一番大変かなと思ったけど、あっという間に決まって良かった。
「山高先生、こっちは5人決まりました。」
「そうですか、どうやらFクラスの方も5人決まったみたいです。」
そう言われ、岸は白水の方を見ると彼の周りには女性3人と男性1人が立っていた。
白水君以外、全員見知らぬ顔だな。
彼らが今回のデュエルの相手か。
一体どんな魔法を使うんだろうか。
「両クラスとも問題なさそうですね。デュエルを始めるに当たって、代表者5名以外は結界から出る必要があるので、申し訳ありませんが、デュエルを行わない人は今作った脇の穴から退出をお願いします。」
山高がそう言い終わると、結界の脇には高さ2m横3mほどの穴ができていた。
指示通り、僕らを除いたクラスメイトはその穴に向かって歩き、結界から出て行った。
「では、準備が整いましたので、デュエルを始めさせてもらいます。」
AクラスとFクラスの生徒がお互い5mくらい離れ向き合っている。
今からデュエルを始めると言うことがいやでも伝わってくる。
「デュエル!」
山高がデュエルの開始を告げる共に、Fクラスが一つの場所へと固まり、全員が片手を前に出す。
「岸!今日の朝の魔法は見事だった。はっきり言って、何をされたかわからなかった。だが、そんなのはもういい。今からお前を倒す特大魔法を見せてやる。」
そう、白水が言うと同時に、彼らの手の先から大きな炎が現れた。
そして、その炎は鳥のような形となっていた。