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第7話  クラスメイトと仲良くなろう!

 はあ、朝から大変だったな。


 ため息をつきながら自分の席へと座る岸。


 まだ、始業時間の15分前なのかクラスには三人しかいない。

 その一人は、僕の前の席に座って静かに本を読んでいる。


 今日から授業が始まるということだし、しっかりしないと。

 さて、授業まで時間もあるし、教科書でも読んで予習でもしようかな。


 岸がカバンから教科書を取り出して、開いた瞬間


「よっ」


 突然背中を叩かれた。


 このクラスでこんなことをするのは一人しか思い当たらない。


「痛いよ、愛。」


「あら、よく後ろ見なくてもわかったわね。流石じゃない。」


 そういって愛は笑顔で僕の机の前まで来ていた。


「もう、体調は大丈夫なの?」


「体調はこの通り問題ないよ。」


 グイグイと腕を回す岸。


「それよりも昨日は色々と面倒見てくれてありがとうね。」


「あのね、昨日も言ったけど、別にお礼をいうほどじゃないわよ。それよりも、二日目から教科書なんて読んで陰気臭いわよ!他のクラスメイトと話さないの。」


「いや、今は勉強をしたいんだよ。」


「そんなこと言わないの。ほら行くよ。」


 そう言って愛は僕の腕を掴んで、無理やり立たせ、そのまま、目の前に座っているツヤツヤとした黒髪の女の子の肩をちょんちょんと触った。


(ん、目の前の子に話しかけるなら、僕を立たせる必要はあった?)

 岸は愛の行動に一人謎に思っていた。


「風月、おはよう!」


「あら、愛ちゃん。おはようございます。」


 その女性が振り向くと、そこには、胸元までかかる綺麗な髪が特徴的な、まるでお人形さんのように容姿が整った女性がいた。


「風月、これが昨日デュエルしていた、岸よ。」


「あら、後ろに人がいらっしゃったんですね。本に夢中で気づきませんでした。失礼しました。私、花鳥風月(かちょうふうげつ)と申します。岸さんこれからクラスメイトとしてよろしくお願い致します。」


「よ、よろしくお願いします。」


 とても、礼儀正しい子。

 岸は少し話しただけで、風月にそのような良い印象を持った。

 同時に、こんな綺麗な子と何を話せばいいんだろうと心の中で小さな戸惑いも生まれたいた。


「ほら、何緊張してんのよ。風月が可愛いからってそわそわしすぎよ。」


 愛は僕らが数秒間沈黙しているのを見てか、茶化すようにして、僕らの会話に入ってくる。


「う、うるさいな。そんなんじゃないよ。」


「もう、取り敢えず、これから仲良くしなさいよ。」


「そうだね。というか、何で愛は花鳥さんとそんな仲よさそうなわけ?」


「なんでって、そりゃ、愛は私の後ろの席だから。」


「へ?」


 そう言って愛は、花鳥さんの前の席、即ち僕の二個前の席に座っていった。


「あんた、もしかして気づいてなかったの?周りにどんだけ興味を持ってないのよ。」


 返す言葉がない。

 まさか、愛の席がこんなに近くだったなんて、昨日の段階でが全く気づいていなかた。

 だから、昨日名前を覚えてなかったのを、あんなに怒ったのか。


「まあ、もうすぐ先生もくると思うから、私はここでゆっくり休んでるわ。あんたは風月と仲良くしなさい。」

 愛はそう言い、上着のポケットから鏡を取り出して、自分の髪を触っていた。


「ところで、岸さん。Aクラスの室長になるなんて、やはり、飛び級を狙ってますの?」


 徐に花鳥は、岸に質問を投げかけた。


 飛び級?

 何の話だろう。

 そんなことは知らないぞ。


「飛び級?何だっけそれ。」


「あら、岸さん面白い冗談ですね。昨日、山高先生がおっしゃったじゃありませんか。Aクラスの室長は特例として上の学年に対しても、デュエルを申し込める特権があると。」


 岸が言ったことを本気だと思ってないのか、風月は笑いながら、話した。


「ああ、そうっだったね。朝早いからちょっと寝ぼけてたよ。」


 そうはにかんで、岸は返答する。


 まじか、昨日頭がボーとしてたからその話聞き逃してたよ。

 デュエルのことまでは流石に知ってけど、優秀な生徒に対して、ここまで手厚い制度があったなんて知らなかった。

 どうしよう、上の学年に挑むなんてこれぽっちも考えてなかった。


「ふふ、困った顔して何かありましたか?」


「いや、何でもないよ大丈夫だよ。」


「あら、それなら良かったですわ。」


 綺麗な白い歯をみせ風月は趣のある笑顔を見せる。

 その後も、岸は席に座り風月とたわいもない話をして、いつの間にか、教室の椅子にはクラスメイト全員が座っており、そして、担任の山高が来ていた。


「えーみなさん、おはようございます。今日が学校二日目となりますが、早速、座学の授業が始まります。実践的な授業ではないため、少々退屈に感じるかもしれませんが、しっかりと集中して、取り組んでください。私の方から、今日は特に伝えることはありません。それでは、今日も頑張ってください。」


 驚くほど、淡白に話を終え、山高は教室を去っていた。

 岸でさえも、もう少し生徒と仲良くする気はないのかと疑問に思った。


 先生が去って2,3分経った後、チャイムが鳴りそれと同時にスーツを着た男が現れた。

 髪の毛がワックスでまとめ、額を出したとても清潔そうな人だ。

 目には生気が溢れ出ており、非常に若々しい雰囲気を醸し出している。


「みんな、おはよう!本日から魔法座学の授業を行う、|但田丹(たじたたん)です。これからみんなと1年間授業行えるのが入学式から楽しみでした!よろしくね!」


 笑顔で但田は話している。

 若干焦げた肌から見せる、真っ白な歯がより爽やかな印象を生徒に与える。


「さて、早速になるんだけど、皆んな四大元素って知ってるよね」


 但田がそう問いかけると、皆んなは、ゆっくりと頷いた。


 当然だ。魔法を使える人間がそれを知らないはずがない。


 ************************************************************************


 魔法が見つかった当初、誰もが魔法を使えることでこれまでできなかったことが、何でもできると思われていた。

 だが、実際に魔法でできることは限りがあり、そうではなかった。


 この世界には「四大元素」と「属人魔法」と呼ばれる2種類の魔法がある。

「四大元素」とは地、水、火、風の4種類の魔法のことを言い、一部の例外を除き、得意、不得意な属性はあるが魔法使いなら誰でも使うことができる。それらの中には扱うのが難しい上級魔法があったり、基本的に誰もが扱える下級魔法など様々ものがある。この「四大元素」魔法の一番の特徴としては、訓練さえすれば、扱うのが難しいものでも習得することできる。そのため、人によっては優秀な魔法使いの弟子になったり、学校に通ったりして学ぶこともある。ここ「シャルム魔法学園」もその一つだ。

 加えて、マーキングした所に一瞬で転移することができる転移魔法など他の魔法もあったりするが、これらは無属性魔法と呼ばれており、数が多くなく、また、使うためには下準備なども必要なので、戦闘において使われることは滅多にない。デュエルなどに関しては、「四大元素」および「属人魔法」が使われることになる。


 また、「属人魔法」に関してはそれぞれの人がもつ固有の魔法のため、どのようなことができるかは千差万別である。


 これらの魔法を組み合わせることで、様々なことはできるが、逆に言えば、ものを動かしたり、不治の病を治したりなど、四大元素の中に含まれていないことは基本的にできない。


 ************************************************************************


「よしよし、わかってそうだな!ただ、今日はその四大元素のことについて改めて説明させてもらうから、確認のつもりで大丈夫だから、皆んなしっかりと聞いてくれ!」


 但田はそう言い、意気揚々に授業を始め出した。

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