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【7章連載中】ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する【アニメ化しました!】  作者: 雨川 透子◆ルプななアニメ化
〜番外編〜

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くすぐったがりのリーシェのお話

※ごく短いお話です

 アルノルトは、リーシェに対していつも紳士的な態度で接してくれる。


 配慮を十分に感じるし、当然それは有り難い。けれど、その気遣いが却って厄介になることも、時々は存在する。


「……あの、アルノルト殿下」


 とある夜会が始まる前のこと。ホールの前で、アルノルトに告げた。


「実は、折り入ってご相談がありまして。夜会でのダンスのことなのですが」

「なんだ。参加をやめるか」

「そうではなく! ……殿下はいつも、私の腰に腕を回す際に、やさしく触れて下さるでしょう?」


 リーシェはちょっと俯いて、もごもごと告げる。


「あれがですね。ええと、えーっと……」


 怪訝そうなまなざしに、勇気を出して発言した。



「――くすぐったいのです!! 時々、稀に、ものすごく!」

「……」



 リーシェの顔は、恐らく真っ赤になっているだろう。


 そしてアルノルトの方はといえば、何故だか形容しがたい渋面を作っている。


「実は私、くすぐったがりで……」

「……」

「殿下が腰のあたりに手を回す際、変な声が出そうになるというか。わーっとなるというか……」

「…………」


 アルノルトの眉間の皺が、どんどん深くなっていく。それを見て、リーシェは慌てた。


「あ!! 別に、殿下に触られるのが嫌だというわけではないですよ!?」

「………………」


 何故か、そこで思いっきり眉を顰められてしまう。


「すみません……」

「……いや」


 アルノルトは小さく息をついた後、怒らずにこう尋ねてくれた。


「なら、どうすればいい」

「ええと……」


 リーシェは少し考える。


 恐らくは、触れ方がやさしいのが仇なのだ。

 そうではなく、もっと違ったやり方であれば、そわそわするようなあのくすぐったさは感じないかもしれない。


 そう閃き、名案だという気持ちで彼を見上げた。


「いっそのこと、思いっきり腰を掴んでいただければと!」

「思いきり?」

「そうです! こう、殿下の手で私の腰をガッと…………ひゃあ!?」


 思わず声を上げたあと、両手で口元を強く押さえた。


 そのあとで、リーシェの腰を掴んだアルノルトと目を合わせ、しんとする。




「…………」

「…………」




 アルノルトが、ふいと目を逸らしてこう言った。


「…………なるべくお前がくすぐったくないように、善処する」

「……ありがとう、ございます…………」


 こうして、なんだか微妙に気まずい空気を抱えながら、リーシェたちはその日の夜会へ挑む羽目になるのだった。

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― 新着の感想 ―
お互いやめようとは言わない
[一言] アルノルト殿下、、、。 絶対頑張った。
[一言] 悶え死にます。 のたうち回ります。 リーシェが可愛すぎて。 アルノルトさんの視点に立つと、これはたまりません……! 小話でもこんなに充実しちゃうなんて、感謝しかありません。 ありがとうござ…
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