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もしも夢が叶うなら

第5話「お伽話は真になるか(後編)」(仮題)

作者: 夢乃 リボン

前回のあらすじ


主人公はアニメに触発され、海へ行く事に決めた。

 思い立ったが吉日とばかりに部屋を飛び出して来てしまったが、行く当てがない。

 目的地は海とは言えども、どの海岸に行けば良いかも分からない。


「無計画過ぎた、、、。」


 取り敢えずショルダーバッグからスマートフォンを取り出し、地図で近くの海岸を調べてみる。


「人魚の入江? なんだかとってもファンタジーね。」


 もしかしたら海の家の名前かも知れない。私は砂浜と見られる場所に立ったピンマークを目指すことにした。




 バスを降りて、歩く事数分。

 見晴らしの良い入江の中央部に足を踏み入れた。


「白い砂、青い海、照りつける太陽。これぞ夏って感じがする。」


 日焼け止めクリームに、厚めのファンデーションを施して来たので、日焼け対策はばっちりだ。

 といっても、今はまだ夏では無いのでそれほど日差しが強い訳では無い。ただ無性に夏の雰囲気を味わいたかった。


「それにしても、それらしい店は無いなぁ。」


 だとすると、人魚の入江というのはこの土地の地名という事になる。

 心地よいさざ波の音を聴きながら、ゴツゴツした岩場の方へと歩く。

 なんとなく、そこにこの地名の由来になった理由があるのではないかと思ったからだ。


「あの岩、なんかそれっぽい感じがする。」


 人魚が腰掛けるのに丁度良い岩がいくつか海から顔を出していた。私が一番気に入ったのは二つのコブがちょうど背もたれのある椅子のようになっている砂浜寄りの岩だ。


「よい、しょっ。」


 座ると向こう側の入江の端が真正面に見える。


「灯台がよく見えるなぁ。ここに座った人魚は灯台守に恋してたのかも。なーんて想像すると素敵よねぇ。」


 のんびりと岩の上で過ごしていると、眠たくなってくる。さざ波の音を子守唄代わりにして、私は目を閉じた。




 気がつくともう夕方だった。太陽が海に入水しかけている。


「帰らなきゃ。」


 口から滑り出た声がやけに響いた。私の意思で出したはずの声は、誰かの意思と誰かの声に重なったように聞こえた。

 驚いてる私を他所に、私の身体をその誰かが動かし始める。


「え。まって、待って!まっ、、、大丈夫。貴方は私、私は貴方。夢の中では私が貴方。」


 遮るのように、誰かは私の口を動かし、私であって私じゃ無い声で私を宥めた。

 その言葉に不思議と落ち着きを取り戻し、私は素直に身体を預けた。


「ありがとう。」


 誰かは、きっと、あの子だ。




 海に住まう1人の少女と、灯台を家とする1人の少年の恋の物語。

 2人は入江の岩場で出会い、別れ、そして再会し、結ばれる。


 そんなお伽話のようなハッピーエンドを迎えた彼女は、顔がぼんやりしてはっきり見えない少年と浜辺で向かい合い、目を閉じた。




 スッと、私に身体が戻る感覚で目を覚ました。


「、、、まだ、昼じゃん。」


 太陽は上の方にあった。

 私は身体をあの子に貸した事を、根拠はないが夢と確信していた。どうやら白昼夢を見ていたようだ。


「ここのところ変にリアルな夢ばっかり見るなぁ。」


 夢の中では頬をつねっても痛くないと言うが、私が見る夢の中ではきっと痛いんだろうなと変な確信があった。


「さあて、日が沈まないうちに帰ろ帰ろ。」


 私は岩場から飛び降りた。

※夢の中であった物語を、連載の方で加筆修正予定。(忘れないようにメモメモ、、、。)


第6話「里帰り」(仮題)へ続く。

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