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ハゼ実食

 ボブさんに教えられた宿、ミストに来た。女将さんのラーシャさんはやはりドワーフで、普通人種コモンヒューマン基準なら子供のような容姿をしているが、太りやすい種族で、彼女も樽のような体型である。髪も長い。

 男性なら髭も長く、伸びやすい髪は常に角刈りや坊主に丸めていたりする。ずぼらなドワーフは地面を擦るほど髪を伸ばしていたりする。

 ラーシャさんにハゼを全部買い取ってもらい、その分宿の部屋と料理を注文する事にした。数が揃っているので非常に喜ばれた。少し色をつけてもらったので数日は泊まれそうだが、一日で呑んでしまうのが私のクオリティだ。

 まずは小さなハゼを春菊と、軽く酒で蒸して出してくれた。早速ビールと共にいただこう。酒は冷たく冷やされていて、炭酸も効いていてとても旨い。ああ、一日が終わった、と、息をく。

 最高な瞬間だな。

 ハゼの刺身を職人の技で作ってもらう。寄生虫って洗い流せるし視認出来るし、胃液で大抵死ぬんだよな。そもそも感染する可能性が低いのに更に発症率が低いのだ。寄生虫が心配で魚が食べられないと言う人もいるかも知れないが、店売りの魚ならそんなに心配は無い。プロがきっちり処理してくれている。

 寄生虫アレルギーは心配するだけ無駄だ。アレルギーはどんな食べ物でも起こり得るしな。まあ寄生虫の毒がアレルギーに似た症状を起こすものらしいが。

 そもそも寄生虫は誰だって排除するように調理するんだから、きっちり解体して視認でチェックすればそうそう中る事は無いだろう。

 そう言った訳で、まずは刺身からいただいた。白身魚の刺身は旨味の塊だ。天然の旨味、甘味だ。わさびを少し乗せて醤油に浸す。

 んくっ、こいつは旨いな! 口に入れた瞬間醤油の塩味で引き立てられた魚の脂の甘味が広がり、こりこりとした食感が楽しい。

 魚の脂はキツい酒で流し込んでも良いが、まずはこのビールを飲んでしまわないとな。

 ビールを一息で飲んでしまうと回りから歓声が上がった。うん、私みたいなエルフがハイペースで酒を飲むのが珍しいのだろう。私の一族でも私は一番の酒呑みだ。ドワーフと勝負するエルフとか普通は居ない。

 何人か話しかけて来たが大抵は漁師のようだ。この辺りのポイントを聞いて頭の中でまとめておく。

 ちなみに釣りスキルで船も出せるので、沖合いで釣るのも良いかも知れない。穏やかな海に船を浮かべてゆったり釣りをするのも良いだろう。

 おっと、次は焼きハゼが来た。料理はラーシャさんのお任せで頼んである。

 路銀はまだ残っているが少し稼いでおかないとこの先困りそうだ。

 私の釣りの師匠も酒好きな人で、仙人みたいな暮らしをしていたが、釣りをして魚を冒険者ギルドに卸していた。けっこう大金持ちらしく、ギルドランクもSランクの最高評価だった。

 私も試験を受けるのが面倒臭いのでB止まりだが、それでも釣りだけしている割には高い方だろう。


 ん、焼きハゼは香ばしいな。白身のハゼにはシンプルに塩だけと言うのが合う。後で天ぷらも頼もうかな。

 スープも美味しそうだ。

 つみれにしたハゼと、炙った骨で取った出汁が最高だ。

 おっと、酒は次は日本酒と行くか。

 この酒は異世界の物らしいが、何者か知らないが酒蔵スキルを女神様に願って、そしてこの酒をこの地に広めたらしい。何をやってるんだか。グッジョブだ。

 ぐいぐい飲んでると回りから更に注目された。ボブさんも来たな。隣に座って静かに酒をやり始めた。黙って呑むタイプだろうか? 知り合いがいるなら私は話ながら飲みたいのだが、相手が望まないなら仕方有るまい。

と、逆側に座った男が話しかけてきた。


「エルフさん、良い呑みっぷりだね」

「うむ、酒は命の水だな」

「エルフの台詞じゃ無いよそれ」


 あははっ、と爽快に笑う。彼はオーキスさんと言うらしい。この地方、セラーズの領主、伯爵様の嫡男らしい。偉い貴族さんだった。まあ普通に接して欲しいと言うことで、私も酒が入っているので普通に接する事にした。明日辺り後悔するかも知れないが。

 彼はコモンヒューマンにしては美形だ。まあ貴族は美形が多いのだが。話も面白く、狩りで失敗した話などを何の忌憚も無く話してくれた。

 幾らか皿を回して評価を聞いたりする。彼も酒が強いようで私のペースに付いてくる。明日は二日酔いだ、とか笑っているが、こう言って翌朝けろっとしてる奴が多いよな。テスト前に勉強してないよーとか言って良い成績取る奴みたいな? 違うか。

 ボブさんもハゼを食べていたので評価を聞いてみる。


「ん、泥臭く無くて良いハゼだ。女将の腕も良いんだろうがポイントも良かったんだろうな」

「少し沖合いを狙ったからかな? まあこのハゼは良い味だ」


 種類で言えば魔ハゼだ。一般的な魔物魚で、魔力で身を守るためか臭みが少なく肉質も柔らかい。もっと強くて大きい魚なら更に旨いんだが。


「ボブさん、オーキスさん、なんか食べたい魚は? 釣ってこよう」

「チヌかイシダイが食いたいな」

「僕は鯵の大きい奴を刺身で食べたいな」


 明日は磯でオキアミの釣りになりそうだ。竿の召喚を済ませてから寝ることにしよう。






 このお話は私好みなので更新も難しいです。申し訳なく。

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