増える謎、残る謎
「この世界よ。おはよう。」
俺って実は馬鹿じゃないのかと思ったがやっぱり気にしないでおこう。
「蒼。君が記憶を戻したら世界が終わるからだよ。」
そんなことを言われて俺は少し混乱した。
でも、それよりも俺の中に潜在能力があったという事実に心を躍らせていた。
「マジ!?本当か!?」
俺は少女の想像以上にがっついて質問したせいで若干少女が引いたようだ。
「お・・・おう。えっとだなぁ・・・・あの・・・えーっと、うん・・・そうだよ?・・・そうだよ!!だから記憶が戻ったらいけないんだよ!!」
少女は少し戸惑ったが勢いに任せてそう言い切った。
「因みにどんな能力なんだ?」
そうさりげなく聞くと少女は、
「それはだなあ、私にもよくわからなかったんだよな。物凄く強かったってことくらいしかわからなかったんだよな・・・例えば、____のグング・・・じゃない!!だから!!記憶が戻ったらダメなんだよ!!だから記憶が戻りそうな話はいけないんだよ!!」
あれ?この子かなりちょろいぞ?
もう少し粘ったらガンガンぼろが出てきそうだ。でもまあ、今は話の腰を折らないで聞いておこう。
「まあ、第一関門突破ってところだな。これからいくつかの関門がある。そこで選択を間違ったら時間が戻る。そしてまた同じ時間を過ごす。」
「ねえ、ちょっと待って?時間が巻き戻る?そんなことが出来るわけ・・・もしかして『魔法』?」
その質問を聞いた少女は驚いたようにこう答えた。
「よくわかったな。やっぱり昔から勘だけはいいよなー。・・・おっと。時間だ。後は自分たちで考察してくれ。んじゃな!!」
ここで冒頭に戻る。
少女が分かれを告げたとき、夢から覚めていた。
気を失っていたようだ。隣で寝ている少女も同じ状況のようだ。
「昨日は長かったなー・・・記憶が無いまま滅んだ世界に放り出されて少女に会って『ニンゲン』とバトって記憶が若干戻ってまた少女が現れて記憶が戻ってら世界が滅ぶと。・・・・日常が欲しい!!」
本当にそう、切実に思った。
「あー・・・眠いのに大声出さないで頂戴・・・」
こいつ・・・何言ってやがる・・・地べただぞ?ナンデそんなに熟睡できるんだ・・・?
「ご飯作るぞ。」
「今起きましたご飯は出来立てがおいしいからね!!」
なんて変わり身の早さだッ・・・
まあ食材が無いからご飯が作れないことは少女は知る由もなかった・・・
「何で食材がないのよーッ!!」
くそ・・・もう勘付いてしまったのか・・・
逃げよう。
俺は早速準備運動を済ませて、全力で走り始めた。
二日目の朝が今から始まる・・・