二人の獣人族と、私!
大人になれない初投稿です。
「久しぶりだな、リリー。相変わらず元気そうで何よりだ。」
「リリーか、昔の名前で呼んでくれるのも今ではお前ぐらいだよ。」
リリー・・・と呼ばれた女性と、ナレガが親しげに話している。
どうやらしばらく時間がかかりそうだ。大人しく待つことにするか。
それにしてもリリーさん、見た感じかなり若い。私よりも若いんじゃないかってぐらい。
あの人いくつなんだろう?ナレガと対等に話しているけど、偉い人なのかな・・・?
「で、なんで戻ってきたんだ?ナレガ?」
「行商ついでにギルドに挨拶に来ただけだよ。深い意味はねぇ。」
「そうか…。なぁ、ナレガ。私たちと共に、再びチームを組まないか?」
リリーさんがナレガに尋ねる。ナレガは昔この人とチームを組んでいたのだろうか?
「悪いな、先客がいる。それに、俺はもう昔のことを思い出したくないんだ。」
ナレガが私の方を見る。リリーさんも私を見つめてくる。
「あ、ども・・・。」
なんだこの雰囲気は。私は居心地の悪さを感じていた。
旧友との再会だっていうのに、私がここにいてもよかったのだろうか。
「ふむ、私はリリー。彼と同じ獣人族だ。あなたは?」
リリーさんが私に近づいてくる。近い近い!なんでこんなにそばに来るの!?
話すたびに耳がぴょこぴょこ動く。かわいい。
「私は、柊。・・・です。今は、ナレガ・・・さんと、旅をしています・・・。」
「柊。聞かない名前だな。すまない、少しいいか?」
リリーさんはそう言いながら私の腰に手を回してくる。
え、何?この人そういう人なの!?私そういう経験ないよ!?
勝手に慌てふためく私をよそにリリーさんは腰にある銃を触る。
「これは・・・あなたはもしかして、異世界の人間ではないか?」
バレた!うそ、一瞬で私の正体を見破られた!?
これってマズいんじゃ。異世界の人間に恨みを持っている人もいるって聞いたし。
「あ、えっと・・・これは。」
言い訳が思い浮かばない。どうしよう。
「いや、大丈夫だ。異世界の人間が皆悪い人ではないことは知っている。あなたからは何となく、彼らと同じ雰囲気を感じたから。そう思っただけだ。」
そう言い、私を見ながらにっこり微笑むリリーさん。彼女は私以外の異世界の人と会ったことあるのだろうか?だとしたら是非とも話を聞かせて欲しい。
「リリーさん、その話!詳しく聞かせてください!」
私は目を輝かせて、リリーさんをじっと見つめる。
彼女は語ってくれた。世界が崩壊する前の話と、自分の村を救ってくれた4人の英雄の話を。
「私以外にもそんな人が・・・?」
「あぁ、彼らは私たちの生活を変えてくれた。私も彼らに影響を受け、世界を知るために旅にでた。そこにいるナレガとな。」
そうだったのか。二人は私がこの世界に来るずっと前から一緒だったのか・・・。
「彼は良い男だろ。面倒見も良いし、実力もある。」
なんだかモヤモヤする。よく分からないけど。くやしい。
恋心?じゃないよね。そもそもナレガは私よりずっと年上だ。私なんて相手にされないだろう。
リリーさん、良い人なんだろうけど・・・。
仲がよさそうな二人を見て、私はなぜかジェラシーのようなものを感じていた。
ナレガさんは年下からのウケがよさそう。彼は意識してなさそうですが。




