絶体絶命大ピンチ!?
帰ってきたので初投稿です。
「犬だ!」
白い犬。品種不明。私、犬好きだけど自分の家では飼ったことないから詳しくはわからない。
にしてもなんか可愛くない…
多少不細工の方が愛嬌があるってもんだ。ほら、ぶさかわいいってやつ?
私は犬を抱きかかえた。
抵抗はない…というかすすんで私の胸に飛び込んできた。なかなか可愛い奴……
「って、くさ!!」
こいつめっさくさい!なんかドブみたいな臭いがする!
「まぁ、そんなんだからな。お前、そいつ洗ってこい。」
はぁ!?
犬拾ってきたのはナレガなんだから責任もって!と言いたかったが私もお人よし、犬を洗ってやりにつれていく。
うーん、どこがいいかな。水かぁ。街の中を大きな川が流れてたけどあそこはあそこで汚いし…
すると井戸を見つけた。私は水を汲んで犬にかけてやる。
犬はブルッと震えた。えぇい!もっとかけてやる!
…まぁ多少ましになっただろ。
臭いはだいぶマシになった。あぁ私もお風呂に入りたいなぁ。
「おい、小娘!何やってる!!」
そこに現れたのはでっぷりした黒服の男。カエルみたいな風貌。比喩でもなんでもなく見たまんまカエルである。
「お前、だいぶ使ったなぁ。水は有料だ!一杯で50ガレル、こりゃ6杯は使ったな。300ガレル、持ってんのか?あぁ!?」
あちゃ、こいつはやってしまいました。
異世界には異世界なりのルールがあるだろうとは思ってたけど…てか、水が貴重なのは元の世界でも世界的常識。自分が水に苦労したことがない。そんな自分の住んでいた環境に縛られ過ぎた…
「お金は今はないです…でも、友達が持ってますから今から取りに…」
私がナレガの元に戻ろうと路地に駆け込む。
近道のはずだがこれは大失敗だ。
進行方向に別の黒服が現れ道を塞いだ。後ろからはカエル男がゆっくり歩いてくる。路地に閉じ込められてしまった…ピンチ。
マジかよ…なんだよもぉ…
「てめぇ、俺がみすみす逃がすと思うか?」
そう啖呵をきってカエル男は私の体を舐めるように見る…きもい。
そして外套に手を伸ばす。
「やめて!」
カエル男の手が止まる。
舌打ちして後ろの仲間と何か話し始めた。
「ちょ、ちょっとぉ?私は別にお金がないわけじゃァ…」
「嬢ちゃん、お前のせいだぜ?水泥棒は大罪だ。警察に逃げ込んでも、結果は変わらねぇ。
警察は俺たちの仲間だ…わかるな?抵抗するだけ無駄だぜ?」
やばい。
カエル男と取り巻きの男二人…狭い路地で逃げられないし。これってマジでやばいんじゃないかな…
私はそっと腰のホルスターに手をかける。
非常時には銃を抜くことも想定に入れないといけない。
「おい、男二人に勝てると思ってんのか?」
私の考えを見透かしたように男が言う。
「楽勝よ。威張ってるだけで弱そう。私の知り合いの方が強いね!」
「じゃあその、お友達とやらを連れてきな…俺たち『ラヴェリア・ファミリー』に喧嘩を売る度胸があるやつならな!」
ひぃ!!やっぱやばい連中だったぁ!!
助けて!ナレガ!
その時、犬の鳴く声がした。
白い犬が私の足元にかけてくる。
あ、そういえばこいつ、今までどこにいたんだ?
「度胸がなくて行商ができるか?」
「て、てめぇ!なんだ!?ぶふっ!!」
黒服が吹き飛んできた。カエル男たちがざわめく。
路地の暗がりから現れたのは私のよく知る人だった。
初投稿でした。
ラヴェリアファミリーは構成員580人。
黒塗りの高級馬車を見たら奴らだから追突しないよう気を付けよう。




