夢想を謳う革命家
帰省するので初投稿です。
廊下にこだまする銃声。
銃弾は扉の前の影を蹴散らした。
影は素早くこちらに攻撃を仕掛けようとするが俺たちの連携の前に死角などない。
どこから攻撃してきても的確に攻撃し守り合う。
影はものの数分で片付いた。
俺は大きな扉に銃を向ける。
アサルトライフルのアンダーレイルに取り付けられたランチャーの引き金に指をかける。
大口径ランチャーで本来はグレネードを発射するためのものだが、今は鉄球を詰めてショットガンのようにしている。今ゆるマスターキーみたいなもんだ。
俺は扉に向けてショットガンを撃った。
一際大きな爆発音のあと、扉は粉々に砕けた。
さすが扉を開けるための弾だけのことはある。
俺と飯山は銃を構え慎重に部屋に踏み入った。
「普通の部屋だ…」
そう。普通の部屋だ。
星は見えないし宇宙は広がっていない。
橙の灯りがぼんやりと部屋全体を照らす。
そこには一人の人間がいた。
窓の近くで外を眺めている…
それは真っ黒の服を纏った同い年くらいの少女。
異世界では見慣れない服。
しかし、俺にはわかる。飯山もわかるだろう。悪名高き髑髏章の帽子。
それは間違いなく元の世界の服。
ナチスドイツの軍服だ。
となると今目の前にいるのは…
「俺たちと同じ世界の人間…」
俺たちが唖然としている中、少女は俺たちに気づいた。そして、ニカッと明るく、そして不気味に笑った。
「やぁ!!ようこそようこそ!!」
やけに明るい声。
だが俺は不気味に感じた。
こいつはなにかがおかしいと感じた。
「君は誰だ?何故ここにいる?」
銃口を少女に向けたまま、俺は問いかけた。
何故だ?すごい緊張感だ。
コミュ障の俺が人と話してるからとか、そういう原因じゃない。きっと違う。
「私?そうね…名前なんて無いんだけど…君達が呼びやすいならなんでもいいんじゃない?」
なんだ?頭のネジがとんでるのか?
どのみち、まともじゃない…
俺が思考をまとめて落ち着こうとしていると飯山が一歩前に出た。
「お前は他の奴にはなんと呼ばれているんだ?」
飯山が尋ねると少女はすぐに答えた。
「大佐。みな私のことをそう呼ぶわ。」
実につまらなそうに答えた。
目の前の少女はふと思い出したように笑顔に戻る。
「そうだ!私が何のためにここにいるのか、そう聞いたよね?」
俺は頷いた。
それを確認し少女は笑みを浮かべ頷く。
「君達を待っていたんだよ!」
本当に楽しそうに言った。
俺は寒気がした。
俺はこいつを知らない。
なのになんでこいつは俺を知ってるんだ?
なにが狙いだ?なにをする気だ?
「さぁ、しっかり見ていてね!私たちの理想の異世界が誕生する瞬間を!」
部屋が変わる。
壁や天井、床に映像が投影されている。
いや、そんな表現は生ぬるい。
まるでその場に行き、空から鳥瞰しているかのようなリアルな映像。
俺たちはその様をただただ見ているしかなかった。
世界が大きな渦に飲み込まれていくその瞬間を。
初登校でした。
まだあとほんの少し二章は続くんじゃ。