2本の矢
初投稿に関しては自信あります。
ーー私は記憶に穴がある。
エルフの里に生まれて…ダークエルフとして育てられて…皆と楽しく生きてきた。
ある日、大ババ様が村にやってきて。
私に魔法使いにならないかと尋ねてきた。
村の皆は大喜びだった。村から偉大な魔法使いが誕生するかもしれないと。
私も嬉しかった。僻地の村に住む私の才能を、見出してくれる人がいる。
その夜、大ババ様も含め、村では宴が行われた。
皆は言った。
いつでも帰ってこいと。
そして話を聞かせてくれと。
「マーレ、私のこと忘れちゃ嫌だよ…?」
「当たり前じゃん!シズクこそ、次会った時 誰? とか言わないでよ!」
私は魔法使いになった。
大ババ様は私に言った。
魔法学校を作りたいと。
私は喜んだ。種族を越えて魔法を学べる!
すごく楽しそうだ。
「だからね、あなたの力を貸して欲しいの。」
いつも私はその後なんて答えたか分からない。
記憶に靄がかかったような。穴が開いたような。
その後の記憶で一番古いのは、魔法学校で試験のために精一杯勉強する私ーーー。
「田辺…?」
炎に照らされ、屍の上に立つその姿は、俺の友達の…田辺そのものだった。
ワン!ワン!ワン!
その時、足元から犬が飛び出してきた。
「い、犬!? 権丈院くん!連れてきちゃった
の!?」
「いや、知らないっすよ!え、何で?」
俺は田辺と犬を交互に見ながら答える。
「あっ…。」
男の姿が消えた。
あれは…田辺だったのか…?
「なぁ、マーレ…。ここがエルフの村か…?」
感情のこもってない声で、飯山が尋ねる。
田辺のことも、犬のことも全く気にしていない。
「違う…。私、こんな村知らない…。」
帰ってきたのは予想外の答え。
「え…?」
「エルフの里はもっと先…山の麓だよ。」
じゃあ、この村は?この人たちは一体…?
「先に進もう。この様子じゃ誰も生きていない。とにかく、今は里を目指そう。」
そう言ったのは山田さんだった。
俺たちはよく分からないまま、再び戦車を動かし始める。
「うおっ!」
走り出して数分後。戦車は再び急ブレーキで止まる。
「見て…。」
目の前に見えるのは村。
さっきとは違う村。
でも、ここにも死体の山。
なんだ…一体何が起きている…?
「違う。また…私の知らない村…。」
マーレの顔色が悪い。
俺たちは再び戦車を走らせる。
村だ。村だ。村だ。
「違う。」「違う。」「違う。」
「こんな村…知らない。」
どの村にも死体の山。
おかしい…いっこうに目的地にたどり着かない。
気づけば森は消え、俺たちは炎の壁に囲まれていた。黒焦げの死体が。こちらを睨んでいる。
「なに…これ…。」
死体に囲まれ、動きを止める戦車。
体が燃えるように暑い。
俺たちはここで死ぬのか…。
苦しい…こんな死に方やだなぁ…。
カァン!
そのとき、戦車の側面に何かが当たるような音がした。
瞬間、俺たちは森の中に戻される。
「!?」
「なんだよ、なんなんだよ!」
辺りを見渡す。
「おい、後ろ!」
一難さってまた一難。
戦車の後ろを巨大な影が追ってきていた。
一番初めの奴とは比べものにならない大きさだ。
「山田さん、アクセル!」
「飯山、砲弾入れて!」
「無理だ!間に合わない!」
「うわっ!うわわわわわ!」
そのとき、巨大な影に何十、何百本もの矢が突き刺さった。影がひるむ。
「マーレ!今だ!」
車内が揺れる、断末魔が聞こえる。
「やった…のか?」
「おい、あれ!」
勝利の余韻に浸る間もなく、飯山が指差す方向を見る。そこには、月明かりに照らされた一人のエルフと、巨大な白狼。
そして、シズクがいた。
展開を変えるために大分書いた気がします。ゆるして。