ぼーい、みぃつがーる!
携帯から投稿しているので初投稿です。
「はなせぇ!」
「ぐっ!」
深い森の中に二人の声が響き渡る。
俺は見るからに気の強そうなエルフらしき少女に絡まれていた。
「おのれ…魔法使いの分際で…体術にまで心得があるとは!」
魔法使い?何を言ってるのかサッパリだ。
とにかく、まずは誤解を解く必要があるな。
「ま、待て!俺は魔法使いじゃない!見ろよこの格好!どこが魔法使いに見えるんだ?そもそも魔法使いにこんな鉄の塊が必要だと思うか?魔法を使えばいいだろ!」
俺はめちゃくちゃ早口で説明する。
「…? ごめん、もう一回言ってくれない…?」
「だから…!えっと…どこから?」
俺は誤解を解くためにひたすら説明した。
多分ほとんど理解できなかっただろう。
だが、彼女は俺が悪者じゃないことは分かってくれたようだ。
「…ごめんなさい。」
「急に襲いかかってきたからすげービックリしたわ!」
彼女の名はシズク。思っていた通りエルフの少女。どうやら悪いやつではないっぽい。
「なぁ、ここがどこだか…分かるか?」
申し訳なさそうに彼女がそう俺に尋ねる。
そんなのこっちが聞きたいわ。
どうやらその魔法使い?っていうのと俺を勘違いした彼女は、俺を追ってくることに集中しすぎて気づいたら活動範囲を越えてしまったらしい。
「はぁ…。」
上空では見たこともない鳥が旋回している。
静かな森の中で、二人きりの俺たち。
一目見てみたかったエルフ。始めて見た実物はどうやらポンコツエルフのようだった。
「乗れよ…。」
「良いのか⁉︎」
「仕方ない、俺もお前も、ずっとここにいるわけにはいかないからな。」
「恩にきる!」
戦車は再び動き始めた。
「お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」
騒がしい…。まぁ、始めて乗るのなら無理もないか。
でもなぁ、俺が思い描いてたエルフは
もっと凛とした感じの…。
「す゛ご い゛い゛い゛い゛い!」
クールビューティな感じの…。
「なぁ!なぁ!これ、お前が作ったのか?」
大人っぽい感じの…。
「こうして出会ったのも何かの縁だ!よろしく頼むぞ!えと…。」
「飯山。」
はぁ…。
「イーヤマ?イーヤマ!よろしくな!」
まぁいいや。こいつがいれば寂しくなることはない。それに顔だけは想像通りの美人だ。
まぁ、将来に期待ってことで…。
「なぁ、シズク。お前はどうしてそんなに魔法使いを恨んでいるんだ?」
「…。」
途端に彼女の顔が暗くなる。
聞いたらマズイことだったか…?
「すまん。嫌なら別に…。」
「いや、イーヤマになら話しても良い。」
そこから彼女は語り始めた。
私たちの住んでいた森に、何年も前に魔法学校ができたこと。森を切り開く過程で、動物達の命が、自分たちの聖域が失われていったこと。
彼女は魔法学校の学長を憎んでいた。
でもそいつは何年も前に寿命で死んでしまった。
彼女は今…怒りを誰にぶつけたらいいか分からなかった。
俺を襲ったのは、木々をなぎ倒す戦車を見て、再び自分たちの聖域が汚されると思ったからであった。
「そういうことだったのか…。」
「うむ。」
「ん…なんで何年も昔の話をそんなに詳しく話せるんだ…?お前いくつ?」
「163歳だったかな。164かも。」
163!163年も生きててこの知能!
「ち、ちなみにエルフって何歳まで生きるの?」
「800歳ぐらいだな。」
800!だとするとこいつは今まで人生の5分の1ぐらいを生きてきたのか…。
俺たちの寿命が80歳だとして…10分の1だから…こいつは大体16歳ぐらいか?
通りで詳しく語れるわけだ。こいつは森が切り開かれる様子を、その目で見ている。
でも、学長は死んだ。今いる奴らに罪はない。
「お前も大変だな…。」
キョトンとした目で、不思議そうにこちらを見つめるシズクに向かって、俺はそう呟く。
頭を撫でてやろうかと思ったけどやめた。
ああいうのは美男子だけの特権だ。俺がやってもキモいだけだ。
二人を乗せた戦車は、森の中を音を立てて進み続ける。
魔法使いは3のデザインが一番好きです。
でも3の中では武闘家が一番好きです。