激闘!謎の機械ハンター!
キャンプいきてぇなぁ。
さぁ、戦おう!
俺は銃の安全装置を外す……
次の瞬間、俺は空中に投げ出された。
思考が少し遅れて付いてくる。
「えぇ!?どういうこと?」
隣を見ると謎の男もまた落下していた。余裕そうな表情だ。
おいおい、俺たち落ちてるんだぞ。
が、次の瞬間、俺たちがさっき立っていたであろう場所が爆発した。
なんだ?ミサイル?いや違う。あの機械の化け物がいつかの黒竜のように火球を撃ってきたのだ。それも一斉に!
「やれるか?」
「お、お前喋れたのか!」
謎の男が話しかけてきたので驚いた。喋れたのか……
「やれるのかと聞いている」
「あ、あぁ。だがどこを狙えば良いんだ?硬そうだが」
「首の付け根だ。もしくは足でも良い」
敵をよく見てみると、戦車のように見えたのは装甲に覆われた頭で飛行船の羽に見えるのは翼だ。
そして、首と足には装甲がない。
「了解」
俺は落下しながらも身体を安定させてサイトを覗き込む。距離はそこそこある。さらに高低差もある。それに落下しながらというのも初めてだ。
だが取り敢えず撃つ!それから考える!
俺はサイト越しに狙いをつけて引き金を引く。
が、弾丸は大きく外れた。しかし、今ので何処へ弾が行くかは分かった。
次は外さない。
俺は素早く、そしてサイトから目を離さずマガジンを変える。
もう少し引き寄せろ。
確実に有効射線に敵を入れ、我彼の移動距離と風を考える……先の射撃の情報を含み計算して……
今だ。
風を斬る弾丸が化け物の頭に数発、そして首に1発入る。続けて隣の敵、その隣の敵と射撃。
3匹の化け物は血を流して落ちていった。
「よしっ!」
と、思わず声が出てしまった。
すぐにマガジンを変える……が、残り2匹の化け物は目を血走らせてもう眼前まで迫っていた。
「うおっ!!」
そこに先の龍が現れた。
龍は化け物に喰らいつきそのまま両断する。血と内臓が空に撒き散らされた。
最後の1匹はけたたましく鳴くと口内に火球をチャージしていく。
龍は落下を続けていた俺を掬い上げる様に飛び、俺は背中の鱗にしがみついた。
それを確認してからしてないか……すぐ急上昇して火球をかわす。
「なんなんだ!こいつは!」
「叫ぶな。最後の1匹だ。仕留めろ」
おぉ!?声がするぞ?あの男の声だが姿は見えない。まさか……
「龍の声なのか?」
「そうだ。でも今はそんなことはどうでもいいだろ。あの最後のやつを仕留めろ」
「仕留めろだと?こんなに不規則に飛ばれたら狙いが定まらない!もっと一直線に飛んでくれよ!」
「無理だな。被弾する」
確かに…後ろをチラリとみたがアイツはさっきからひっきりなしに火球を撃っている。真っ直ぐ飛んだら間違いなく俺は丸焦げだな。
「わかった。なら、これならどうだ?」
俺はある作戦を伝える。
龍は加速して雷雲の中に突入する。
これは一か八かだ。
だが、作戦はうまくいった。
雲を飛び出た化け物はこちらを見失ったようで、キョロキョロと辺りを見渡している。
そこへ雲の中で減速した龍が真後ろから飛び掛かった。
龍の爪が化け物の装甲を引き裂く耳に痛い金属音が響く。
化け物がチャージしきれていない小さな火球をマシンガンのように発射する。
龍は爪を離し距離を空けてかわす。その隙に化け物は反転逃走しようとするが、逃さない。
俺はグレネードを詰めていた銃下部のランチャーを発射した。
引き裂かれた装甲の隙間に打ち込まれたグレネードは、化け物が反転した瞬間に起爆し粉々に吹き飛ばした。
「派手派手だなー」
俺が少し感動していると龍が俺に語りかける。
なんだい?勝利の余韻くらい味わせてくれても……
「下を見ろ。王都だ」
慌てて下を覗き込む。
そこには国の半分が黒煙に包まれた無残な王都があった。
機械ハンター[名] 機械と融合したような外見の怪物。帝国の実験で異世界の魔物と現代の兵器を融合させて生まれた。しかし、火器は搭載できず、制御もできなかったので役立たずとなり破棄された。帝国軍に付いて回り、戦場跡で屍肉を漁る。




