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引き籠りでFPSゲーマーの俺が異世界転移してアサルトライフルで無双したZE!  作者: ♰闇からいでし災厄♰
第五章 水面下の計画
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この世界でたったひとつの道しるべ

あけましておめでとうございます。久々の更新ですみません……



彼女が甲高い軍靴の音を響かせて向かってくる。

自分を誇示するかのように大きな音を響かせて。


「おはよう、ジニー少尉」

「おはようございます、大佐」


私は彼女に敬礼する。帝国の新式の挨拶だ。異世界からきた彼女式の敬礼。彼女はにこやかな笑顔で敬礼を返す。


「王都は広いな…結構探したよ。ごちゃごちゃしてるな。君には酷な任務を任せていたね。申し訳ない」


そう頭を下げる彼女は一見立派な帝国軍人に見える。金色の美しい髪と澄んだ青い目。整った顔立ちとスラットしたスタイル。女性の私から見ても彼女は美しい。

だが、その美しさの裏にあるものを私は知っている。


「だが、君のおかげで帝国はいよいよ王国へ侵攻する足がかりを手にすることができた」


「いえ、すべては大佐の御命令通りに」


「本当に君は素晴らしい……我が帝国の誇りだ」


ニヤリと笑う大佐。

私は姿勢を正す。


「ありかだきお言葉です」


「さてさて、情報収集の方はどうだった?王国は異変前と変わらないのか?」


「はい、人の力とは凄いもので予想以上の復興です。ただそれは周辺諸国の犠牲の上に成り立つもの……あの街の人間は誰一人そのことを知らない……」


私は拳に力を込める。

無知なる国民。偽善の王。傀儡の騎士団。

王国は表面的に美しくても裏には幾らでも汚い部分がある。それを隠して封殺してきたのだ。

誰も救おうとせず。誰も見向きもせず。


ーーーーーー


私たちは嫌われ者だった。

私の家系は太古より続く禁術を守ってきた。数少ない闇の神の力を行使できる魔術師の家系。

王国に昔から仕えて支えてきた由緒ある家系だ。

王に忠誠を誓い、国の為に戦ってきた。

例え民に汚れた魔術だと、人の心を捨てた悪魔の魔術師だと罵られようと私たちは戦い続けた。


「死体を使役する魔術」

「死霊使い」


その魔術は希少だ。特殊な魔力に起因するもので生まれながらの素質にも大きく左右される。

そして、その有用性は言わずもがな。不死身の軍隊。死後の軍団は強大すぎる力だった。だが、大きな力とはリスクも持つ。恨みや妬み、恐怖を生む。

私がそのことを知ったのはまだ幼かったころだ。


ある日、寝ている私は父に叩き起こされて床下の秘密の空間に押し込まれた。

床板の隙間から見えた部屋の様子は今でもはっきりと覚えている。

家に押し入ってきたのは夜盗でも敵国の兵でもなかった。

それは王国の聖騎士だった。

私も知っている人だ。城に行った時に見たことがある。父と話していた聖騎士だ。

両親は抵抗する間も無く斬り伏せられた。あっという間だ。なんの躊躇いもなく、騎士はその剣を振った。私は声を上げることも出来ずに震えていた。

騎士は家に火を放つと堂々と去っていった。

私は燃える家から無心で逃げた。


なんで?どうして?

味方なのに!


私たちは王国に裏切られた。

平和な世の中に私たちの禁術はいらなかった。

死を操る魔法は忌み嫌われている。死を冒涜する行為だと。あってはならない禁術だと。

その後も私は自分の持って生まれたこの魔力に縛られていた。


暗い世界を生きてきた。

楽しかった頃の記憶を胸に。

明るい街を嫉妬と恨みを持ち見つめ続けた。

ただただ耐えた。


そんな人生はある日変わった。

彼女と会って私の世界は変わった。

彼女は私の手を取った。


「他人と違うのがなんだ?つまらない。私は君が必要だ。のうのうとしている奴らを見返してやろう」


ーーーーーー


幸せな世界はない。私以外が幸せの中にある時、私は絶望の中にいた。

何故?そんな疑問が頭の中で渦巻く。暗い感情が私を飲み込む。


ただただ許せないだけだった。

王国が、この世界が。


「始めようか……本当の戦争を」


彼女は白い歯を見せてニヤリと笑う。

計画の第二段階。帝国へ付け入り乗っ取る第一段階は完遂した。

そしてこれから始まるのはより惨烈な虐殺。世界を巻き込む大戦争。


「はい、大佐……」


私は静かに呟くように答えた。

心は落ち着いていた。そう思い込む。


「君があそこにいたという証拠は完全に隠滅する。既に帝国軍一師団が王国へ奇襲攻撃を行うところだ。そのどさくさで家も街も消す。必要なものはもうないだろ?」


一瞬、言葉に詰まった。


必要なもの……大切なもの……

置いてきて良かったのか?本当に……


だが、もう決めたことだ。

覚悟はできている。

大佐の話に乗り、全てを裏切ったときから私の進む道を決まったんだ。


「はい。もう、思い残すことはなにも」

「そうか、了解した」


それを聞き、大佐は無線機を手に取る。そして目線をこちらに向けたまま大きな声で命令を送るのだ。


「師団長代行より第二師団に通達。王都へ前進せよ。平和に現を抜かし仮初の幸せを信じる馬鹿どもに見せてやれ。世界はまだ混沌の中にあると!」


長きこと空けてしまい申し訳ございません。仕事の方が立て込んでおり時間が確保できないことが多くなっております……隙間を見つけて書いていきますので今後とも宜しくお願い致します。

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