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引き籠りでFPSゲーマーの俺が異世界転移してアサルトライフルで無双したZE!  作者: ♰闇からいでし災厄♰
第五章 水面下の計画
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あの世界の何処かで

5章はじまる!!この章は短くなるはず……はず……


俺は王都から逃げ出した。

多くの人が同じ様に王都から逃げようと荷物をまとめている。

何故だ…どうしてこんなことに?


あの頃からこうなるとわかっていたのか?


俺は思い出す。

3年前の、始まりの日を。

彼女との物語を。



* * *



目が覚めて一番最初に見たのは彼女の顔だった。気だるそうな目が俺を覗き込んでいた。


「目、覚めた。」


「……?」


誰?そして頭の中に最初に浮かんだのは疑問だ。俺は目の前の少女の顔をただ見つめ返していた。

誰だ?ここはどこだ?俺は……


俺は誰だ?


「なんだ?ここは?俺は?お前は?」


俺は上体を起こして辺りを見回す。

何一つとしてわからない。見知らぬ部屋…本がたくさん雑に積まれている。服も床に落ちたままだ。しかし、服はどれも女物だ。俺のじゃない。

ここは、俺の家ではない……?

なにもわからない。


「落ち着いて」


そんな少女の声も俺には届かなかった。

あらゆる疑問が濁流のように頭の中を巡り何かも纏まらない。何もわからない。その事を頭は理解できずより混乱する。

頭が痛い。

処理しきれないあらゆる事柄を脳が拒否を始めたのだ。


「ひとまず横になって」


少女が体を無理やりベッドに寝かせて俺は少女の声を聞くくらいの余裕はできた。


そうなると先の疑問も冷静に対処できる。

この目の前の少女に聞けばいいという単純な答えが導き出せる。


「ここは?」


「私の家」


「なるほど」


しっかりした言葉を選べるほど頭は冴えていないらしく適当な返事を返す。というよりは初対面の相手でコミュ障が発動して喋れないというのが正しいか……


「何故俺はここに?」


「倒れていたので運んだ。死んでいると思った」


「ふーん。助けてくれたのか?」


「結果的に」


この子もこの子で適当だ。最低限のことしか話さない。


「助けてくれてありがとう。まだ頭がくらくらするんだ…ここでまだ暫く休んでもいいか?」


俺は記憶が曖昧になっていることに気づいた。ともすれば今一人でここを追い出されるのはよくない。どこに行けばいいかもわからないのだから。


「構わない。コーヒー飲む?」


少女はそう言い水筒をこちらに向ける。俺はそれを受け取った。


「あなた、どうしてあんなところに?」


俺はコーヒーを飲もうとした手を止める。

言うべきだろうか。

構わないだろう。俺を助けてくれた親切な人なんだし。


「覚えていない……」


「覚えてない?じゃあ所属は?」


「所属?」


俺が首をかしげると少女は俺の目を見つめてきた。

疑われてる?しかし本当に何も覚えてないんだ。覚えてないものはしかたない。


「まぁ、いいや」


少女はそう言うと床に転がり本を読み始めた。

なにが『まぁいいや』なのだろうか。


俺はしばらく少女を見つめていたが転がって本を読むかうとうと寝てるかのどちらかだった。



彼女の名前はジニー・クローレス。魔法使いということもわかった。

俺はそのまま彼女の家で居候のように暮らすことになった。

一応記憶がはっきりするまでとのことだが、彼女は俺を程のいい助手だとでも思っているのか色々任される。

料理、洗濯、掃除……住まわせてもらっているのだから文句は言えない。


驚いたのはこの人、全く家から出ないのだ。今までどうやって生活してきたんだ?

ということで今買い出しなんかも俺がしている。


買い物に行くときに教えてもらったがここは王都と呼ばれるこの王国の大都市らしい。

ボロボロでテントみたいな家しかないので王都という感じがしない。

ただ、たしかに広くて人もたくさんいるが俺の記憶の中の町並みと何かおかしく感じる。


「王国は異変でめちゃくちゃになったから」


家に戻ってきてジニーに聞くとそう答えた。

俺の知る町並みと違うことも話した。


「お前は異変の前の王都しか知らないのかもな。異変に巻き込まれたみたいだし」


「異変に巻き込まれた?」


「んぁ、お前、異変の後、私がこの街に始めて来たときに見つけたんだ。半年前くらいかな」


「半年!?」


俺は数ヶ月も意識を失っていたのか!?

てか異変てなんだよ!?


「異変が何かも忘れたのか?」


「あぁ……」


「闇の魔法に世界が飲み込まれんだ。みんな死んだ。んで、今こんな感じ」


なるほど王都なのにテントが多いのも再興の最中だからか。なんとなく合点がいった。


「俺もその異変に巻き込まれて…」


「まぁ、そうだな」


「そうか……本当にありがとな。半年も面倒みてくれて」


なかなか照れくさいことを言ったと思ったがジニーは相変わらず転がって本を読んでいた。俺からはその表情まではわからなかったが。


こうして彼女と暮らしてさらに数ヶ月。

事態は一向に良くならない。

自分が誰なのかわからない。

何故ここにいるかもわからない。

記憶を取り戻せぬまま、ただ町の復興を眺めるだけ。


ただこの暮らしは悪くはない。

ジニーはめんどくさがりで引きこもりだが、それはつまり俺と似た者同士ということで話しやすいまである。


ジニーには黒服の来客がたまに来る。最初は怪しかったが話してみれば意外にいい奴らだった。

周りの家の人も皆親切でコミュ障なりにうまくやっていけている。


だが、こんな生活を続けていていいのか?

もっとやるべきことがあるのでは?


俺もそろそろ自分で動いた方がいいかもしれない。待っているだけではなにも変わらないのだから。


そろそろ締めくくりたいのですが…まだ話が続きそうな展開に……

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