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引き籠りでFPSゲーマーの俺が異世界転移してアサルトライフルで無双したZE!  作者: ♰闇からいでし災厄♰
第四章 開戦!?異世界大戦!
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別れ

月更新並のペースになってしまった…。

次章はもう少し頑張ります。

頭がうまく働かない。多分それは疲れとか、不安とか、色々なことが重なった結果なんだと思う。


目の前に広がる光景を俺は信じることができなかった。信じたくなかった。


「王国に爆弾が落ちた日、彼はありったけの力で国民を守ろうとしたの。」


呆然と立ち尽くす俺を横目にミミが説明を始める。


「おかげで地下に避難していた多くの国民が助かった。ただ、その後地上に出た彼らのほとんどが謎の病気で死んでしまった。」


ミミの言葉が耳に入らない。聞こえているはずなのに脳が認識しない。事実を外へ押しやるように、必死に聞こえないふりをする。


「王国の跡地…あそこはもうダメだって皆分かってたはずなのに多くの人が残ってアーサー王や怪我人、病人の看護に努めていたわ。」


部屋に漂う湿気。マスクのせいで息がしづらい。それに加えて腐臭と、変わり果てたアーサー王…一刻も早く、この部屋から飛び出したい。


「アーサー王も王都の民も馬鹿なのよ。国を愛しすぎた故に自らの命を落とすなんてね。」


静かに俯く俺の顔をミミが覗き込んでくる。もう噛み付く余裕もない。国も、大切な人も守れないどころか今だって守られてなんとか生きている。俺が異世界からここに送られた来た理由。それはこんなに辛い現実を見せつけられるためだったのだろうか。


「…!」


その時だった。地響きとともに遠くの方から獣の鳴き声のようなものが聞こえてくる。今までのどんな生き物よりもおぞましく、そして苦しそうなその鳴き声は明らかに普通じゃない。俺の脳内に先ほど出会った化け物の姿を想起させる。


「…時間ですね。」


そう言うとミミは部屋の隅にあった小さな道具箱を持ってきて俺に渡す。


「あと…これも。」


彼女はアーサー王の寝ているボロボロのベッドの下から一本の剣を取り出し、これも俺に渡してくる。


「これは…?」


「そういうのは今渡した小箱の中に全部説明があるから。」


鬱陶しそうにそう言われた後、俺は淡い光を放つ宝石のようなものを手渡される。


「これを地面に投げれば、あなたはどこか遠い場所へと逃げられる。」


彼女は俺の目を見て、真剣な表情でそう告げる。二人は…そう言い掛ける前にミミが再び話し始める。


「彼はもう動けないでしょう。ここに置いていきます。私はあなたと離れてどこかへ飛びます。もう2度と会うこともないでしょう。」


「そんな…」


変わり果てたアーサー王の方に目をやる。弱々しく、おそらく最後の力を振り絞って彼は俺を手招きする。


側に寄ると分かる。姿形が変わろうとも雰囲気は変わらない。穏やかで、優しくて、力強くて…。


「…。」


地響きが大きくなる。得体の知れない何かは確実に近づいてきている。


「もういいですか?」


「なぁ、ミミはどうして俺を助けてくれたんだ…?」


少し動揺する様子を見せた後、彼女は静かに呟いた。


「私も…囚人たちも彼に、アーサー王に救われたんです。放っておけばいいのに…。」


「そうか…。」


全ての民を救う。それこそがアーサー王の願いだったのだろう。それがたとえ囚人でも関係ない。そんな彼の姿に影響されたのか、それとも恩返しのつもりだったのか。とにかく、アーサー王のおかげでミミは救われた。ミミのおかげで俺は救われた。


地響きがさらに大きくなる。すぐそこまで何かが来ているのが分かる。俺は最後に、アーサー王に別れを告げる。


「王、お世話になりました。俺は必ず…皆を救ってみせます。それが、きっと異世界から来た俺の…役目だから。」


言葉がうまく形にならない。それでも俺は少しでも長く、アーサー王と話していたかった。


「ミミもありがとう。この恩は必ず返す。また、どこかで…。」


その時、地面が揺れ小屋全体に強い衝撃が走った。きっとあと数発で崩れてバラバラにされてしまうであろう威力だ。


俺は目を瞑り、宝石を床に叩きつける。

白い光に包まれながら、俺の姿はゆっくりと消えていく。


「アーサー王…。」




静かになった部屋でミミはため息をついた。目の前にいるのは異形の化け物。

それも今まで見たことのない大きさだ。


「ま、きっと彼らがなんとかしてくれるでしょう。」


ポツリと呟いて、ミミは杖を抜く。

これからの世界を変えていくのはきっと異世界人なのだろう。私も再び変わりゆく世界をこの目で見たかった。


だけどそれを願うにはあまりにも遅すぎた。私はこの場所に長く留まりすぎた。


「……」


それでも後悔はない。こんな私が、一人の異世界人を救ったのだ。充分だろう。ただ、一つ願うとすればもっと早くに…自分のことを守ってくれる人に出会いたかった。


「癪ですが…後は頼みましたよ。」


彼女は気高き王とともに、ここで眠りにつく覚悟を決めた。雨が上がる頃にはきっと、この空も再び青く晴れ渡っていることを信じて。

相変わらず〆に悩みます。今回の終わり方はこれで良かったのだろうか…。

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