引き籠り戦車分隊奮闘記 ~戦車アンドRPGは男のロマン~
リトルウィッチアカデミアが面白かったので初投稿です。
「突撃ィィィィィ!!」
俺は叫んだ。
ドラゴンがこちらを向く。狙い通り。
戦車は最高速度時速60キロで疾走する
ドラゴンの口から吐く火球を巧みな運転で回避。
敵をこちらにひきつければ成功だ。
あとは任せたぞ!飯山!
飯山はというとRPG-29を肩に担ぎ草原の草に身を隠しながら移動する。
暗闇の中、ドラゴンが吐く炎が光源になっていた。
炎を吐くたびにドラゴンは自分の居場所を露呈している。
推測だがドラゴンは生態系の頂点だろう。
ゆえにこんな派手な事をしても襲われる心配がない。
飯山は十分ドラゴンに近づいた。
これなら外さないだろう。
飯山は光学機器越しにドラゴンを見つめる。
狙うなら腹部だ。戦車の装甲すら貫くコイツならどこにあたっても致命傷。
なら、命中させやすい腹部がいい。
「ファイア!」
RPGの砲身から放たれたロケット弾は一直線にドラゴンへ向かった。
しかし、何の冗談か。
ロケット弾は急反転したドラゴンの尾の付け根に命中し炸裂した。
ドラゴンは悲鳴にも似た咆哮を上げ地面に突っ伏した。
尾はちぎれ飛び、地面に落ちる。
「まさかの部位破壊…」
そう冗談めいて呟きながらも飯山はRPGに次弾を装填する。
次こそはそう思っていた。
しかし、ドラゴンは口から火の粉を吐きながら怒りに満ちた目で…
村を見つめていた。
ドラゴンは空に向かって咆哮するとその翼を広げた。
戦車を完全に無視しはじめたのは意外だ。不測のそして最悪の事態。
「アイツ、俺らを無視し始めたぞ!」
「くそー!飯山、なに外してんだーー!!」
俺と田辺が叫ぶ。
なお、戦車内なのでこだましてかなりうるさい。
「追いかけるよ!」
山田さんはすぐに戦車を走らせる。
ドラゴンは尾がなくて安定性に欠けてこそいるがそれでも十分早い。
「田辺…いいか?」
「おう。どうした?」
俺は田辺の肩をたたいた。
「頼みがある。」
俺の提案は渋々可決された。
その案とは、戦車砲でドラゴンを撃墜すること。
「田辺頼んだぞ!」
「無茶言うなぁ…止まっていても難しいのに移動しながらの射撃。当たったら奇跡だよ。」
「田辺君頑張って。」
田辺は渋々承諾したが手が震えているのが見えた。
一刻を争う状況。これしか手がない。
さらに今装填手の飯山がいない。つまり外したら自発装填ができない。
それどころか目標は村へ向かっている。
つまり外れた砲弾が村に直撃する危険性もある。
村人全員の命が田辺にかかったといっても過言ではない。
「最大速度で目標に近づく!田辺君、一定速度60キロで行くから慣れて!」
「了解。」
戦車のガスタービンエンジンが轟く。
草原を疾走する戦車。
吐き気をこらえてみんな目標のドラゴンを睨むように見つめる。
「おーけー、おーけー…」
砲塔が左右に小刻みに動く。
目標までの距離も見誤ってはいけない。
きっとゲームよりシビアだ。
田辺は慎重に照準を合わせた。
「撃て!」
44口径120ミリの戦車砲から撃ちだされた砲弾は音速で目標へ突き進んだ。
砲弾はドラゴンの背中に命中し炸裂した。
あたりに飛び散る肉片と砲弾の破片。
「当たった…」
田辺は呆然と墜落するドラゴンを見つめていた。
「やった!」
「たなべーーー!!」
戦車は歓声で騒がしい。
この華々しい戦果!喜ばずにはいられない。
みなはしゃいだ。
ただ一人、戦車の外にいる飯山をのぞいて。
「ハッチあけてくれないのぜ…」
初投稿でした。
アーシュラ先生の眼鏡いい…