引き籠り戦車分隊奮闘記 ~絶体絶命リアルウォーズ~
早く春が来てほしいので初投稿です。
「Go Go Go!」
「見えるか?」
CITV。すなわち独立熱線映像装置。
戦車に備わっているコレのおかげで、俺たちは暗闇の中でも奴の姿をとらえることができた。
しかしデカい・・・。15メートルはあるか?
そして早い。戦車でも追いつけない。
「山田さん!もっとスピードでないの?」
「これが限界!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
車内がガタガタ揺れる。龍との距離が縮まる。村が見えてきた。
「このままじゃ龍が先にたどついちまう!」
「一発撃つか?こっちを向いてもらうために。」
「村の方向には撃つなよ!巻き添えが出たら洒落にならない」
「弾は無限にあるんだ、適当な場所に撃て!」
各々が自由に騒ぎ立てる。砲塔がぐるぐる回る。
「とりあえず撃て!」
戦車は龍のいる方向とは真逆の、今まで来た道に向かって砲弾を飛ばした。
ものすごい衝撃と爆音。気絶しそうになる。
だが、龍を振り向かせるには十分だった。
「来るぞ!捕まれ!」
山田さんが来た道を引き返す。
村を巻き込まないために俺たちはできるだけ距離をとることにした。
闇夜に染まった草原を走り抜ける一両の戦車、それを追う漆黒の龍。
「山田さん、よけて!」
「はぁ?な、何を?」
黒龍が火球を飛ばす。戦車って火球耐えられるのか・・・?
「おわぁ!」
地面をえぐる火球。戦車砲に勝るとも劣らない。
こちらも応戦するが機関銃は龍の鱗にはじかれ、効いている様子がない。
戦車砲は遥か上空にいる龍を捕らえきれずにいた。
その間にも容赦ない火球の嵐。山田さんは後ろに目でもついてるのか、すべてを間一髪でよける。
「このままじゃいつか焼かれるぞ!」
草原の終わりが見える。砂浜・・・。海だ。
このまま先に進むことはできない。
「どうする?このままじゃ・・・。」
「ターンするぞ、つかまれ!」
言い終わる前に山田さんがアクティブターンをかます。
車内はめちゃくちゃに揺れ、飯山が吹っ飛ぶ。田辺は顔が青ざめている。
・・・このままじゃ全員の体がもたない。
何か打開策はないものか・・・。
「俺にさ、いい案があるんだけど。」
ひっくり返ったままの飯山が提案する。
飯山は昔からノリで動くやつだった。自分大好きで適当で、でもどこか憎めない。
ロケットランチャーを使うのも、爆発が派手で見てて気持ちがいいから。
部隊の中ではテクニックこそないものの、直感が働く。
分隊からはぐれては裏取りを行い、敵部隊を全滅させる。
彼は危ういが、見ててわくわくするパフォーマーでもあった。
「「「は?」」」
そんな彼の提案に俺たちは耳を疑った。
「だからさ、俺が外に出て、RPGで別方向から狙うんだって!」
彼はドヤ顔で、俺たちにそう言った。
やっぱこいつバカだ。
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