佐藤雅敏の勉学
世界史、国語、生物は得意でした。
ここら辺の地形を知るために地図を広げる。地図なんて久々に見たな。いや、紙媒体の物が久しぶりなのであってスマホでならたまに見るけど。
えーとこの街、レブタリアは……ハレラード公国の隅、帝国領近くに位置している。公国の首都カレーダルトはそんなに遠くないところだ。
また帝国の中心帝都バルガレスはここから300キロ先にあるらしい。帝国領の地図は不鮮明であまり書き込まれてない。やはり他の国とは違うようだ。
「帝都までは森と川と多少の山か……山脈はないし難しい道のりじゃないな」
まぁ行くとなればそれ相当の準備が必要だろう。
帝国領に入ってしまえば支援は期待できない。帝都までの間に4つほど街はあるが完全な敵地なのだ。
「うーんどうだろうね。地図にないだけで帝国軍の基地があるかもしれないし……」
「そうだね。私もマーレの言うとおりだと思うよ。道は簡単って言ったけどこの地図の川の流れはおかしい。本当はもっと大きな川かも。ここら辺は湿原の可能性もあると思うし」
確かに二人の言うとおり……あの巨大な爆炎に呑まれた街もこの地図上には存在していない。この未完成みたいな地図を頼りにすることは難しいかもしれないな。
湿原だとしたら俺は歩ける自信ないし……重装備にはキツイ。
だが逆に敵も同じだ。困難な地形には敵も多く配置されていない筈。見つからないように潜入するならねらい目じゃないか?
「帝都ってどんなとこなんだ?」
ふと思った。帝都……王都と同じような大きな街なのだろうか。
「昔の帝都のことなら書いてある本があったよ」
マーレが俺の前に本を広げる。本には挿絵付きで異変前の帝都が載っていた。
これを見る限り王都に匹敵する巨大な街であることは確かなようだ。平原に作られた複雑な都市。しかし、平原に作られているということは異変の影響を受けたかもしれない。やはりこの本も参考程度だろう。
目で見て判断するしかないのか。
「昔の帝国のことならこの本にいろいろ書いてあるね」
本自体はかなりおもしろかった。
文化の違いや元いた世界との違いを感じることもできた。
正直、かなり夢中になって読んでいた。
「マサトシ!この国も長く居るのはよくない!」
「おい!ここもはやく出るぞ!」
「なにごと!?」
静かな図書館にいきなり現れ叫ぶ2人…ジャスミンとリミエラだ。
「どうしたんだ二人とも……」
「「ここにも帝国軍がいるぞ!!」」
息の合う2人。慌てていたのはそういう理由でしたか。
「帝国ぐらいいてもおかしくはないだろ。帝国領に近いんだし」
「そうだが…問題はそこではなく……」
「私が一人殴り倒してしまってな……」
よくみるとジャスミンの後ろに倒れてる人影が…帝国の軍服を着ているような。
よくよく耳を澄ますと外が騒がしいし……
これはまたやばい感じか……
数学死すべし。




