Get nervous!
明日から一週間が始まるので初投稿です。
「いやいや、ないっしょ、これは。」
辺り一面に広がる緑。遠くを見ても建物一つない。
そんな草原に男3人と戦車が一両。
「はは・・・。」
「とりあえず、久しぶり・・・。」
飯山、田辺、そして俺、権丈院。
三人は中学まで毎日一緒に遊ぶほどの大親友だった。
今では三人ともロクに学校も行かずに、VRばかりしているが・・・。
「んだよこれ、どうすりゃいいんだ・・・。」
いまだに俺たちは目の前の光景が信じられなかった。夢・・・じゃないよな。
自分の頬をつねってみる。痛い。
目の前には戦車。よくできたグラフィックだなぁ・・・。
バカみたいなことを考えていると中から一人の女性が下りてきた。
「は・・・?」
動揺を隠せない様子の彼女は俺たちより年上か。
髪を結い、眼鏡をかけている。いかにも真面目そうな風貌。
「とりあえず、状況を整理しようか・・・。」
俺たちは長きにわたる話し合いの結果。いろいろなことが分かってきた。
・彼女は俺たちが対面していた戦車の操縦手。一人で乗っていたらしい。
・彼女もまた、ゲーム終了時にこちらに飛ばされたプレイヤーの一人であること。
・俺たちは皆、ゲーム終了時の兵装をもってこの世界に飛ばされたこと。
・人はおろか建物一つ、このあたりでは見当たらないこと。
とにかく、このままでは埒が明かない。俺たちは戦車が動かせるかどうか、
まずはそこから試してみることにした。
俺たちはもちろん戦車の動かし方なんて知らない。
でもなぜか、戦車に乗り込んだ瞬間に、それが分かった。
まるでゲーム内で操作するように。俺たちはいとも簡単に戦車の構造をつかんでいた。
これは頼もしい。もしゲームと同じなら戦車は燃料切れを起こさず、弾薬は無限に補給できるし
傷も放っておけば治る。俺たちはこの世界で、無双して、英雄になれるかもしれない。
「いくぞ!」
彼女も気分が高揚しているのか、上機嫌でそう叫ぶ。
不安はない。戦車と、この兵装と、抜群のチームワークを誇る仲間たちがいれば何とかなるだろう。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
戦車は乗りこなせても、その振動は直に体に伝わる。
これは・・・あまり長時間は乗っていたくない・・・。
俺たちは北を目指して進む。森も山も見えない、草原が続く方角を目指して。
この世界に昼夜とか天候みたいな概念があるのかは分からないが、今のところは視界も良好だ。
俺たちは戦車の操縦手を務める山田さんと意気投合していた。
昨日の敵は今日の友ってやつだ。
「山田さんはこっち来る前は何やってたんすか?」
「外交官。FPSはストレス発散かな。」
「外交官⁉」
「君たちは?」
「俺たちは高校生ですけど・・・。」
俺たちが学校に行ってないことを伝えると、彼女は苦笑いした。
俺は多分、あの顔を一生忘れない。
「村だ・・・!」
田辺がそう叫ぶ。確かに村が見える。
俺たちはやっと人がいるところにたどり着いた。
人がいるところにたどり着いた。
人・・・?
異世界に送り込まれた俺たちが初めにみたのは、二足歩行で歩く動物たちの姿だった。
どうして俺たちはこんなことになっているんだ。FPSをしていただけなのに。
ケモナー層を狙って書きました。