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引き籠りでFPSゲーマーの俺が異世界転移してアサルトライフルで無双したZE!  作者: ♰闇からいでし災厄♰
第四章 開戦!?異世界大戦!
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老人と街

人は成長する。だからこれはきっと彼らの成長譚なんだ。



俺が再び目を開けると部屋には眩い太陽の光が差し込んでいた。


改めてみるとこの部屋……ボロボロだ。

太陽光は壁の亀裂や天井の穴から差し込むものだった。


「目が覚めたか」


不意に声がした。

俺が周りを見ると1人の男が立っていた。

白い髭をたくわえた壮年の男だ。しかし、その風貌にはどこかただならぬものといった雰囲気がある。


しかし何か異質だ。

着物を着てるし刀を差している……どこか和風だ。この世界では異質に見える。


「みんなはどこに?」


俺が口にした疑問。

それを聞き、老人は顎髭を触りながら思考していた。


「この状況下で聞くことはそれか…いや、いい。他にもあるだろうがね、聞きたいことは。ひとつひとつ解決しよう」


老人は自分の近くの椅子を指差し座るように示した。


「ふむ。さて、まず名乗らせてもらおう。お互いを知ることは大切だと思わないかね?」


俺は返事も頷きもしなかった。

しかし、彼は笑顔で頷いた。


「儂はリグガルス。医者でもある。気楽に呼んで構わないぞ」


リグガルス。

聞いた事ない名だ。


「では君の最初の質問に答えよう」


リグガルスは俺の前の椅子に腰掛ける。


「君の友達は今別のところにいる。というのも、あのまま帝国の元に君を置いておくのもマズイと感じてな。仲間に関してだが助けられなかったと、そう言っておく」


助けられなかった?

その言葉が俺の胸に突き刺さった。


右目が火が灯ったように熱く痛むのを感じた。


「おっと、心配することはない。彼女は彼女で誰かが助けに来たようだ」


その言葉に俺は安堵した。

もしかしたら俺を落胆させないための嘘かもしれない。

しかし、それでも少しは安心できた。

安心することしかできなかった。


「ここは?ここはいったい?」


「うん。ここはカレーダルトからはだいぶ離れている。帝国領ミズバレード……昔はそこそこの街だった」


リグガルスは立ち上がると部屋を出ていった。

俺は慌てて後を追った。

置いてかれてはたまったものではない。

まだ足が痛むがとにかく歩いた。


外に出てその光景に唖然とした。


街はその面影を少し残し森の中に沈んでいた。空には木が枝を伸ばし、木漏れ日が街の跡を照らす。


「異変で滅びた?」


「そうだな…半分はあっていて半分はハズレだ。異変後も人はいた。しかし、今は儂1人だ」


確かに中には後から建てられたであろう新しい家もある。

しかし、どれも焼かれたり破壊されている。


この形跡は帝国軍に襲われた町々と同じ…


「リグガルスさんは何故1人でこの街に?」


「何故、か……望郷か、そんなところか。この街以外行くところもないからの」


俺たちは街を歩く。

異世界に来てから特に不思議な光景だった。街とそれを覆う森。不思議な魅力に包まれた廃墟。

しかし、リグガルスの顔は哀しげでどこか遠くを見ていた。


「君は王国の騎士だったね」


「あ、まぁ」


木の生えていないある程度大きな広場のようなところまで来て、リグガルスは不意に足を止めた。


「剣は?」


「得意ではないですか騎士としてそれなりには」


「ふむ……」


リグガルスは髭を触りながら少し考え、


「少し手合わせでもしてみるか?」


不意に地面に落ちていたものを拾い上げた。

それは木でできた剣だった。

老人はほいっとそれを俺に投げてきた。


剣はずっしりと重い。しかし、王国で使っていた鉄の剣よりかは軽い。

これくらいなら振れる。


「うん。きたまえ」


相手は老人。気をつけないと殺しかねない。


だが俺は思い知る。自分はもう昔の自分ではないことに。そして目の前の老人がただの老人ではないことに。


リュック汗が背中にたまる。

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