最後の逆転劇
初投稿…私は…まだ…初投、こ・・・
私はその「影」を一瞬見た。
正直、違和感しかない…こんな中世っぽいよくある異世界ファンタジーなのに私が見たのは似つかわしくないロボット…
こんなことをみんなに伝えたら笑われるかな。そう思うと私は口に出すことができなかった。
「とにかく広場へ!!聖騎士が何人かもういるはずだ!」
アーサーが苦痛に顔を歪めつつも凛として言う。
この人は凄いな…逃げずに戦う。私なんか逃げてばっかしなのに。
広場まではそんなに距離はないはずだ。だが壊れた建物や人の山が道を塞ぐ。
広場の方は炎に包まれている。
そして…死体の山が連なる。
帝国兵が少しと多くは王国の普通の人たち。
見ちゃいけない…耐えられない…
私は前を行く騎士の背中を見つめ歩く。頭の中を真っ白にしようとするたびに周りの景色に意識が映る。あんなにきれいな街だったのに…あんなに人がいたのに…なんで?
「お、おい…馬鹿な」
ナレガの声が聞こえて、私は広場についたことに…最悪の現状に改めて直面した。
広場にいた多くの人間は、もういない。形はそこにあるが喋ることも歩くこともない。形がある人は幸せだ。ほとんどの人は混ざり合い個人を見分けることができない。
地獄がどんなところかわからないけど、たぶんこんなところなんだろうな。
「そんな…ひどい…」
私はもう何も考えられなかった。
幸せな生活も友達も何もかも無くなって、異世界でこんな目にあって!私の何がいけなかったの!?何をしたっていうの!?
「剣を抜け…」
男の騎士…フリッツが静かに、冷たく、殺意のこもった声で言った。
アーサーが剣を抜く。迷彩服の男は銃を構えた。ナレガも近くに落ちていた剣を拾う。
私は子どもを後ろに庇い銃を構えた。
ジャスミンは撃たれた足からまだ血が滴っているが立ち上がり剣を持って私たちの前に立った。
皆が見つめる先、炎に照らされソレはいた。
「こんなことがあるか、フリッツ…」
「最悪だよ…」
ジャスミンは苦痛からか…それとも目の前のソレのせいか…眉をひそめる。フリッツは自虐的に口元を歪めた。
銀の装甲を纏った機械の兵士。魔導エンジンが伝えた魔力を受けて関節部は駆動音を立てる。小銃とブレードが取り付けられた腕。ナレガよりも大きな巨体が私たちの方を向いた。赤い目がこちらを見つめる。
「お前ら、これを知ってるのか?」
ナレガが機械兵を見つめたまま言う。
「あぁ…あいつはレガリア。王都の決戦兵器だったものだ…」
「お前らが作ったのか!?おいおい……じゃあなんであんなことになってるんだ?」
「レガリアはある事件で世界滅亡前に全滅させたはずなんだけど…生き残りがいたみたいね。」
私は顔が青ざめる。レガリアと呼ばれた機械兵の手が握っているものに気づいたのだ。
それは人の頭だ…
それも知っている顔…
「り、リザ?」
私が呟いた瞬間――
アーサーが斬りかかるのとレガリアが目からレーザーを放つのはほぼ同時であった。
レガリア試作85型(帝国軍兵器番号GH961)
脚部機能と装甲の強化により弱点を克服した。高い機動力を誇る。また目から極縮陽電子熱線を放つ機能が追加された。




