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「そんな風に言ってもらえるのは光栄です。丁重にお断りさせていただきます。」

作者: 咲良井 劉

この台詞が入れたいがために書きました。

後悔はしてない!(キリッ



「面白ぇ。今からお前は俺のオンナだ。」

声高だかに宣言する目の前の男。


はっきり言おう。こいつはアホかと。

そして、出来るならば24分前の自分を縄で縛ってでも止めるべきだった。


今日は朝からついてなかった。

朝の星占いは12位。

朝の電車は一本逃した。

必死にやって来た数学は自習に代わって、お昼はお弁当を忘れてしまい、バカ高いカフェテリアで泣く泣くお昼ご飯。これが悪夢の始まりだ。


偶々学食を運んでいた後輩(因みに私は2年で一之瀬は3年)が男に気付かずぶつかってしまった。その弾みで、トレイの上のオムライスが男の制服にベッタリ。

それにキレた男が取り巻きを使って罵詈雑言…教育的指導を始めたのだ。


正直呆れた。

ぶつかってしまったのは悪いがそこまでするか?と疑問視したい。


その男の名前は一之瀬 大輝。

P4のリーダーである。

P4とはなにか、と言われてしまえば説明が長くなってしまうため割愛する。まぁ、某少女漫画の金持ちボンボンの集団に似たようなものだと思って欲しい。


それよりも、一之瀬 大輝だ。

一之瀬コーポレーションの取締役の御曹司。

顔は目付きの悪いつり上がった黒目と黒の短髪が印象的。ただ、女子にはその男っぽい(私に言わせてみれば野生児)ところに惹かれるのか取り巻きも多い。

性格は残念だ。俺様…唯我独尊状態のバカ。御曹司ということで注意する大人がいなかったのか。

ただし、これも取り巻きの女子に言わせてみれば、ちょっと強引なくらいがカッコいいとなる。

生徒の過半数はこいつのカリスマ性に傾倒していたのだから、解せぬ。初対面の相手に「俺のオンナになれ」なんていうような男だぞ?



まぁ、そんなわけで普段から鬱憤が溜まっていた私。


後輩が見てられなくて思わず声を挙げてしまったのだ。

「服を脱げ」と。


ケチャップのシミは時間との勝負なのだ。

時間が経つにつれてシミは落ちにくくなる。

この学園は何もかもがバカ高い。シャツ1枚で5000円以上するとかバカだろ。と思う。

そんな貧乏性が仇をなして一之瀬のシャツをひっぺがし染み抜きを始めたのだ。

しばらくすればシミもなくなる。


「はい。これで汚れも落ちました。だから、もういいですよね。後輩苛めもそこまでにしといた方がいいと思いますけど?」

とシャツを押し付け、カフェテリアから出ようとしたのに…。



どうしてこうなった?



「おい、なんだよ。」

目の前の男は返事をしない私に焦れたのか、眉を潜めながら此方を見ている。


「はぁ…。そんなことを言ってもらえるのは光栄です。丁重にお断りさせて頂きます。」

そうやって頭を下げればそのまま校舎に向かう。


「あ、おい!待て、そこの女!」

「ぶっ…。文脈可笑しくね?」

「あーあ。大輝、振られちゃった?」

「振られてねぇ!!」


後ろで叫んでいる一之瀬を無視して校舎に向かう。

つか、名前も知らないなら声をかけてくるな。

私が歩く度にモーゼの海割れのように人波が割れる。そして、ひそひそ話と突き刺さる刺線。



「あー…食後のミルクティー飲み損ねた。」


続く…?

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