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    胸


 高みから降り注ぐお湯に顔を向けながら、私は汗を流す。時刻は午後九時すぎ。ついさっきまで私は輪廻さんと仮面をつけて対仮面の稽古をしてもらっていた。私がどれだけ頑張っても輪廻さんに軽々あしらわれるばかりで、ついに三十分間で一度も触れることができなかった。

 ノブを捻って湯を止める。湯気が風呂場中を満たし、ちょっとしたサウナのようでもあった。さすが元旅館といったところで、浴槽も一般家庭のそれと比べたらはるかに大きい。一気に五人から十人くらいは収容できてしまう。今は、私一人だ。

 ふうと一息つくと同時に、脱衣所へ続く扉が大きく開く。奥から、百華が突っ込んできた。

「ばーん!」

 とわけのわからない気合と共に風呂へとダイブ。そのはずみで飛び散った湯が、私の顔をしたたかに叩く。本当は怒って躾た方がいいのかもしれないけど、そんなことする余力もなかった。なにせ輪廻さんから実際に殴られるようなことはされずに寸止めで済んだものの、散々動き回らされたのだ。体中くたくたである。

 濡れた髪をぶんぶんと振ることで水をはじく百華はご機嫌だ。そのままの勢いで、自然な流れを駆使して私の胸に手を伸ばす。あまりに違和感のない流れのせいで、私は拒むことも受け入れることも忘れていた。

 百華の小さな手が、私の胸を鷲掴みにする。

 直後、幼女の顔が真顔になった。今までどことなくじゃれる子猫を思わせるお転婆てんばな表情をしていたのに、一瞬で真顔になった。口の形を「え」にして、私の顔を見る。合っていると思っていた計算問題を間違えて検算を繰り返すように、百華は私の胸を何度も揉む。

 現実を認識した百華が、愕然とした瞳で再び私を見上げてきた。

「揉むのはいいんだけど、そんな顔するのやめてくれないかな」

 普通に胸がないことをネタにされるよりも切実感が強くなる。とりあえず私は百華に「今のうちに牛乳を飲んでおきなさい」と道しるべを示し、風呂を出た。


なんか、変なタイミングですごくPV増えるタイミングとかありますよね。朝五時とかに一気に数字が増えたりしてて、なんで起きてるのみんなって気分になっております。その数字が正しいのかはわかりません

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