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     デート④

「次はどこ行くの?」

 杏樹に引っ張られるまま、私は大型ショッピングモール内を歩く。私の右手には紙袋。

 なんと、あのワンピースを買ってしまった。

 私自身としては喉から手が出るほど欲しかったものではないのだけれど、試着を終えてふとワンピースの値札を見た瞬間にぎょっとした。

 安い。と、言うより、安くなっている。

 一体どんな理由があったのかは全く知る由もないけど、値札を見る限りなんと四割引。この“四割引”という三文字を見た瞬間、買わねばという使命感が芽生えた。お金は正直に言ってしまえば高校一年生にしてはそれなりにある。なにせいろんな親戚から毎月生活費が送られてきているのだ。言い方が悪いが、そんなにもらっても困る部分がある。よって、決意さえあれば買うことになんの障害もなかった。

「あの店、随分よかったね」

 思ったことを素直に口にすれば、杏樹が「でしょでしょー」と胸を張る。

「私、冴えない少女プロデューサーとして起業しちゃおっかな。大学出たら」

 息巻く杏樹は私を改造させる計画を立てているようで、何やら将来の展望まで考え始めた。尻尾がついていればきっとぱたぱたと振っているであろう杏樹の後ろ姿が、きゅっと方向転換する。その小さい体は、ゲームセンター内に飛び込んでいった。どうやら、今度はゲームセンターで遊ぶらしい。

 ゲームといえば。

 私は連想する。私が知りうる人間関係の中で最もゲームをしているんじゃないかという人は紛れもなく龍馬さんではあるが、彼はゲームセンターのゲームも得意なのだろうか。究極的な出不精であるためそもそもこんなところに来るのかもわからないけど、多分二回か三回ほどお金を落とせばコツを掴んでどんなに難しい景品でもゲットする様が浮かぶ。店としては、彼には来てもらったら困るはずだ。龍馬さんが引きこもりがちだということも考えて、世の中はバランスが取れているもんなんだな。と、妙に納得をした。

「わ!」

 杏樹の感嘆が聞こえる。彼女は、とあるUFOキャッチャーのガラス戸に仔犬のような顔を貼り付けていた。ぱたぱたと振られてる尻尾の音が、ぶんぶんに変わったような気がする。

 私も杏樹の隣まで歩き、ゲームの景品を見やる。ポスターで大きく宣伝してあるあたり、きっと何かしら人気のキャラクターなのかもしれない。私はテレビもそこまで観ないしSNSやネットに対しても疎いためそのキャラがどれほどにまで大きな人気を手中にしているのかわからないが、私はそこまで魅力的な存在だとは思えなかった。なにせ見た目が返り血を一身に浴びている六センチ近い熊のぬいぐるみで、少々グロテスクだ。


なんとか今日中の更新ができました。心の中ではすんごくひやひやしております。ともあれ、女の子同士のデートをかけるなんて本当に嬉しいです。心がみるみる浄化される気分ですよ

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