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    デート①

「アテはあるの?」

 彼女は首を横に振る。ないのか。

 私がなんとも言えないような顔をしていたのだろう、杏樹が慌てて、両手を振る。

「何も計画しないほうがかえって面白いかなーって。こう、ノリで!」

「ノリ、ねえ」

 杏樹の言葉を反芻する。「悪くない響きね。ノリ」

 向日葵が咲くように杏樹の顔が明るくなって、ぴょんぴょんと跳ねながら先行する。彼女は犬ではないため手綱もない。はしゃいだ拍子にどこかはぐれてしまわないかだけが心配ではあるものの、そこはノリでなんとかすることにした。杏樹の大好きな、ノリである。

 杏樹が最初に向かった店は、洋服店だった。どうやらそこは彼女にとっては行き慣れた店らしく、なんの抵抗もないままするりと入っていった。看板や字体からして明らかに洒落た雰囲気だったので、私は無意識下にたたらを踏む。そんな私を見かねてか、杏樹が私の服を引っ張った。私は、ずるずると店内に飲み込まれる。

 いかにも女の子の匂いがしていそうな店内だった。特別目に毒みたいな顔料色をした服やショッキングピンクの衣類はないものの、これはさすがに私のキャラとは沿っていないんじゃないかと思わざるを得ない品揃えである。一応この店の名誉を守るために言わせていただくが、あくまで私に合わないかもしれないというだけで杏樹を代表とする可愛らしい女の子には、多分似合う。大学生くらいのカップルも店内に二組ほどいるし、店員さんを見る限り特別センスが悪いわけではない。ただ、それが私の体型や顔、雰囲気とマッチングするのかはまた別次元の問題である。そこは相性なので、私や店の努力でもいかんともしがたい部分だ。

「はい!」

 未開のジャングルを歩く探検隊みたいな慎重さできょろきょろと店内を見渡していた私の胸に、何かが押し当てられる――服だ。見た感じ、ワンピースなのだろう。これを一体どうしろというのだ。

 疑問を練りこんだ私の目線に気付いた杏樹が、両手をぐっと握り締める。

「これ可愛いから、慧ちゃん着てみてよ!」

 持っているワンピースを見下ろす。「私が?」

「慧ちゃんが!」


ちょっと前に、「書くの楽しすぎわろりんぬ」と言っていた部分がここです。女の子同士がいちゃいちゃしているのはいいですね、心が一気に浄化されます。百合は人類の宝ですね

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