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    ハイスクール②

 そもそも、

「なんで卑猥なの? そんなに卑猥な下着を持っているつもりはないんだけど」

 私の名誉のために言っておこう。私の下着は卑猥ではない。高校生が身に着けるにしては、相応のシンプルさを持っているものだ。生地にいかがわしい透過性もなければ、布面積が紐としか思えないような細いものでもない。

 どこが卑猥なのだろうか。

 杏樹は迫真の表情で、私に詰め寄る。

「だって黒なんだよ。その色だけで怪しいっていうかエロティックっていうか、下着じゃなくてもムラッとくる何かがあるんじゃないかな」

「黒色って理由だけで?」

 彼女は自信満々に頷く。私は何とも言えないような顔で、首を水平方向へ一度薙ぐ。

「じゃあ、この高校にいる生徒も全員卑猥ってことになるけど?」

 私の周りには、黒、黒、黒。男子は黒を基調としたブレザーに、女子は黒と白と織り交ぜたようなデザインの制服を着こんでいる。ちなみにこのデザインは、母校生徒ながらなかなかハイセンスではないだろうかと思っている。特に女子制服は、ピアノの鍵盤を彷彿とさせてどこか高級感もあるからだ。

 さておき。杏樹の理論をこの世界に投影してしまえば、私もそうだし杏樹本人も卑猥なカラーリングをした女子ということになってしまう。

「それでいいの?」

 私が確認すると、杏樹は沈黙する。しゅしゅると空気が抜ける風船の動きで、席へ腰を下した。「私が間違ってした」

「うん。知ってる」私はサンドイッチを齧る。レタスの瑞々しい歯ごたえと分厚いハムの旨みが、見事に中和している。さすがはキッチンの番人、美味しい。

 三分ほど無言の食事を挟み、杏樹が口を開く。

「慧ちゃん、もう履修する授業って決めた? 締切は今日だけど」

「うん、入学する前にもう決めてあったし」

 私たちの高校は少々特殊で、単位制だ。つまり、自分で好みの授業を取得することができる。つまり自分の身の丈に即したレベルの授業を受けることもできるし、一年生の段階で文系理系を決することもできる。このシステムがユニークで、私みたいに遠方からはるばるやってくる生徒も少なくないそうだ。

 私がもう授業を決めていたことに、杏樹はひとりきりの感心を示す。

「凄いね慧ちゃん」

「春休み中は、そのくらいしかすることなかったし」

 今となってはそうもいかないけど。私は心中で付け足す。

「やっぱりメガネを持ってる人は違うのかな」

「眼鏡は関係ないと思うけど」

 机の隅でお行儀よく脚を畳んでいる眼鏡に目線をよこす。


皆さんには身体上の弱点ってありますか? 僕は少し爪が柔らかいせいか、缶ジュースのプルタブ開けるときもビクビクしながら開けることがたまにあります。どうしてもダメだと思った時には、十円玉先生のテコの原理で何とかします

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