話し
「正直、話題はなんでもよかったんだけどね」
輪廻さんが苦笑する。「大事なことは意識を仮面や自分の心から切り離すことだったんだ。それゆえ、突拍子もないことを言って混乱させると、少しだけ仮面が外れやすくなる。逆に意識が心や願いに固執していると、仮面を外す手段は仮面そのものを粉砕する以外にないと思ってもいい」
「これは毎回輪廻の仕事だからな」
終わったことを悟ったのだろう。タンポポが、体をこちらに向けなおす。「女の下ネタは妙に生々しいっていうか、変に抉る感じがあるからな。精神的不意打ちにはもってこいってことで輪廻に任せてるんだ」
「タンポポもそれをされたことってあるの?」
すると何かを思い出したのだろう。彼は私から目を逸らす。
「まあ、そうだな」
俺の場合はもう少しショッキングなやり方だったけど。
タンポポがそう付け足すも詳しく話す気はないらしく、ゆっくりと手を叩き合図を放つ。
「よし、ちょっと早いけど晩飯の準備でもするか」
どこか逃げるように急かすタンポポの背中を見て、私はふと疑問を覚える。
タンポポが自分から、昔の話をしたことがあっただろうか?
多分ないはずである。私が舞踏荘に入ってまだまだ付き合いが浅いということもあるかもしれないけど、いつも説明するのは輪廻さんだ。輪廻さんが説明上手ということもあるかもしれないけど、私はなんとなく腑に落ちない。身体は前を向いているけど目線は横へ逸れている。タンポポはそんな感じがした。
そんな疑問も、空腹の前では簡単に屈してしまったということは言うまでもない。
ほんとサブタイトルには毎回悩まされます。まじ困っております。さておき、部活の仕事はいい感じに終わったので、しばらくまた安定した時間帯に投稿できそうです